校長ブログ Blog
ジェンダーギャップを越えるSTEAM教育研究会
12月3日(日)、奈良女子大学を会場として、「ジェンダーギャップを越えるSTEAM教育研究会(プレ大会)」を開催しました。この研究会は、現代の日本社会の喫緊の課題である「女性の理工系人材の育成」について、実践例、有識者による提言、現状の分析等を手掛かりに、理数系教科の新しい教科指導・進学指導のあり方を研究するものです。
他の先進国に比べても、我が国の科学技術系の女性研究者が極端に少ないという現状の原因について、私見ではありますが、いくつかの事柄を考えています。
その一つに、女子生徒と理数科教育に関するステレオタイプ思考あるいはジェンダーイメージがあるのではと私は思います。「女子生徒は文学や教育は得意だが、物理や数学は苦手なはず」「大学進学も、男子は理系で女子は文系が適している」という偏った考え方を幼少から親や教員から聞かされ、生徒本人もそのように思い込んでしまっている可能性があります。このことは、特に日本の社会の問題、つまり、女性が、まず家庭において、そして学校・大学において、そして実社会においても、なかなか自信をもちにくい、自尊感情を高めにくい社会構造になっていることにも関連しているのではないかと思います。
もう一つは、理科や数学の教え方・学び方に関する問題です。他の学問領域でも同様ですが、理科・科学や数学に関しても、男性と女性では資質や能力に大きな差はないと私は思っています。しかし(以下のことは、下手にお話しすると、新たなステレオタイプ思考と見られてしまう可能性もありますが)、中学校・高等学校教育において、特に理科・科学あるいは数学の新しい内容を教える場合、その導入や展開の方法については、その教材の適切さや生徒の受け入れやすさにおいて、男子生徒と女子生徒によって差異・違いがあるのではないか、そして、そのことに留意した教授法を研究する必要があるのではないかと感じています。
理工系人材育成におけるジェンダーギャップ克服について、あるいは特に中学・高校での新しい理数系教育の可能性について、この教育研究会で様々な観点からの課題が提示され、協議できるのではと期待しています。