「SSH中高連携理科教材研究会」を開催しました
2011.02.12
2月12日(土)に、本校にて「中高連携理科教材研究会」を開催しました。
当日は、県内・県外の中学校・高校、大学の先生や学生・院生の方々に参加していただき、交流を深めることができました。今後も、このつながりを継続させて、地域の理科教育を支援する取り組みに発展させていきたいと考えています。
13:00~13:45 公開授業① 中学3年生 「中和と塩」 高校教員が行う中学出張授業
《単元設定の理由》
新学習指導要領への移行として、酸、アルカリ、中和の範囲が、中1から中3へと移項された。同時に水素イオンや水酸化物イオンといったイオンと関連付けた指導が復活した。
酸性、アルカリ性の水溶液の説明と異なり、中和反応では身近な例が挙げにくいため、図やイオン反応式での説明が中心となってしまう。しかし、化学的思考でイオン式や反応式を理解できていない生徒にとっては、現実味から遠く離れ、本来の中和反応とは関係のないところで壁を作ってしまい、理科離れへとつながると考えられる。
本校時では、「身の回りでも中和反応が起こっている」こと、「酸性の水溶液には、水素イオンが含まれている」こと、「金属を入れたときには、この水素イオンが水素となって発生している」ことを確認させることを通して、生徒の化学的思考を育成したい。
また、新学習指導要領では、課題研究に取り組む教科が示された。そのため、生徒実験では、「目的」を立てる、結果を「予想」する、実験結果から「考察」するというステップを明確にして進める。
実験1: 酸性雨を中和しよう
硫黄の燃焼による二酸化硫黄を生成。その水溶液を炭酸カルシウムの入った漏斗でろ過を行う。
実験2: 金属を加えて発生する水素と、水素イオンとの関係を調べよう
亜鉛の入った2本の試験管に、それぞれ硫酸と硫酸銅水溶液を加えて、発生する物質を確認する。



13:55~14:40 公開授業② 高校2年生 「中和と塩」 中和反応の定量分析
《目標》
○化学の知識は総合的に用いられるものであり、今までの学習内容から、単元を超えて広く知識を用いることで、理解することができる反応や現象があることに気付く。
○中和反応で生じる塩の陽イオンと陰イオンの組み合わせにより、沈殿が生じてイオン濃度が大きく変化することを確認する。
○中和反応による水溶液中のイオン濃度の変化と、水溶液の導電性の変化を関連付けて理解する。
○酸と塩基の中和反応を理解し、中和滴定を行うことにより、濃度未知試薬の濃度を求めることができる。
○中和滴定における実験操作を身に付ける。
《指導上の立場》
中学校理科において、1分野でイオンや水溶液の性質についてふれている。また、さらに高等学校でのこれまでの学習内容の中で、電解質とその水溶液の性質や、量的関係を利用した中和滴定、各種元素の化合物とその性質についてもすでに学習している。これらの内容がお互いに関係していて、知識を総合的に利用する場面があることと、過去の学習内容を復習するという意識をもたせて取り組ませたい。
実験: 沈殿する中和滴定
濃度の分かっている酸として硫酸を用いて、濃度のはっきりしていない水酸化バリウム水溶液の濃度を調べる。このとき、沈殿になってイオンが減少するので、テスターで電気抵抗を計測して中和点を見つける。



14:50~15:40 研究協議

15:50~ 実験交流会
