本校は中学校(女子校)を併設し、姉妹校として女子大学・大学院・大学附属幼稚園・大学附属小学校をもつ、120年の歴史がある女子校であるが、女性を取り巻く社会状況の変化に対応して、その社会的役割を再点検する必要に迫られている。それは、性別役割分業の影響下で、社会全体が女性の社会参加に消極的であったという歴史を反映している。特に、国際社会において、日本では科学技術分野での女性の活躍が極めて少ないことは、重要な社会的問題である。今、学校教育で、女性の理系科目への前向きな気持ちを育て、社会貢献できる科学技術者を養成できるプログラムの開発が期待されている。
2005年11月28日の第50回総合科学技術会議で検討された「科学技術に関する基本政策について」に対する答申(案)では、「人材の育成、確保、活躍の促進」における「多様で優れた研究者の活躍の促進」として「女性研究者の活躍促進」が取り上げられている。また、「理数好きの子どもの裾野を広げる取組の中で、女子の興味・関心の喚起・向上にも資する取組を強化する」ことが求められるとともに、「女性が科学技術分野に進む上での参考となる身近な事例やロールモデル等の情報提供を推進する」ことが指摘されている。
近年、確かに女子の大学生や大学院生・ポスドクの比率はかなり高いものになってきている。例えば、分子生物学会のポスター会場では、半分以上が女性の発表ということもあるようになってきた。しかしながら、研究者として自立している(自分で研究費を獲得して研究室を維持している)女性の数となると激減する。世界的に先進国でもフランスを除き、とても男女半々という数には達していないのが現状である。理系をめざす女子生徒が増えるためには、学問への興味刺激だけでなく、女性科学技術者を取り巻く現状の打破も大きな課題となる。独立した地位が与えられるチャンスがあるなら、研究者をめざす女性が増えても何ら不思議ではない。そのような状況へ移行するためには、社会の意識改革が必要であるとともに、過渡期において活躍する女性の登場が必要である。
また、女子生徒への薬学部への急激な進学は、女子の理系進学のきっかけになっているが、この現象は、「医薬分業」の推進、薬剤師需給の地域格差などを背景にしたものである。しかしながら、それを薬学部に起こったブームとして捉えるのではなく、女性が他の科学技術分野にも進出していけるような時代と認識していかなければならない。そのように考えると、現代の女子校の社会的な役割が女性の将来の可能性を拡げていくことにあるなら、理系への進学を支援する教育課程が必要である。
投稿者: 秋山繁治 日時: 2006年03月28日 14:11|パーマリンク
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