スーパーサイエンスハイスクール

集まれ!理系女子 第9回

SSH研究開発実施報告書/SSH関連 資料・報告書

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2006年3月

研究内容・方法について

2006.03.28

1.研究内容・方法
 本研究では、次の4項目を研究の柱にして、女子の理系進学を支援し、将来、科学技術分野で活躍できる人材を育成する。そして、取り組みを地域社会に公開することによって、女子生徒が科学分野へ夢をもって進んでいくことを積極的に受容できる社会へと意識変革を進めることにつなげたい。21世紀の社会が求める女子教育のモデルケースとなる教育システムの構築をめざしたい。
 (1)女性の科学技術分野での活躍を支援できる教育課程、教育内容の開発
 (2)「生命」を科学的に捉える視点の育成
 (3)女性の積極的に学ぶ姿勢とリーダーシップを育てる教材と指導法の開発
 (4)大学や研究機関と連携した教育体制の構築

投稿者:akiyama

「生命を」科学的に捉える視点の育成

2006.03.28

 「生命科学コース」では、2年次に学校設定科目(総合的な学習の時間)として「生命」(2単位)を設定した。「生命」をテーマにして、科学的な視点を基礎にしっかりと高校生の時期に考えておくことがこれからの教育に特に必要だと考えた。理系の進路において、特に医学や自然科学の視点は重要であると考え、研究者や医者などによる講義から知的な刺激を受けるとともに、発生生物学や分子生物学の分野の実験、生態学の視点での自然環境調査などを盛りこむことにより、「生命」を科学的に捉える視点の育成に効果がある授業を展開できると考えた。
 
 以上の研究に関する取り組みは次の通りである。
○学校設定科目「生命」:「生命科学コース」2年次、2単位
○「野外実習」
○研修旅行「環境学習」
○生命科学分野の先端技術・研究成果を生かした実験実習の充実

投稿者:akiyama

女性の科学的分野での活躍を支援できる教育過程、教育内容の開発

2006.03.28

(1)本校では平成18年度から普通科の中に、「生命科学コース」と「文理コース」の2コースを設定することを決定した。「生命科学コース」は、入学時より生命科学分野への進路を希望している生徒を対象にしたコースで、「文理コース」は、高2で文系理系を選択するコースである。コース制導入によって、理系への進学を早期に決めた女子生徒への適切で充実した支援が可能になると考えた。

 「生命科学コース」で、高校1年次から理系のコースを設定したのは、高度な科学技術の理解には早期から基礎的な素養を育てるのが好ましいと考えたからである。1年次には、同じ進路に夢を描いている仲間と共に学習に取り組むことで、目的意識を高め、基礎となる語学力の充実、理数系科目への取り組む姿勢を身につけるのに効果があると考えた。


(2)1年次から3年次まで、「実践英語」(各1単位)という学校設定科目を開講する。「実践英語」では、個々の生徒のレベルに合わせた英文の多読という手法を採用した授業を展開する。科学論文からの情報収集力や、国際社会で活躍していくために必要となる“使える”英語力の養成に効果があると考えた。


(3)1年次では、「生命科学基礎 」(1単位)という学校設定科目を開講する。
 生命科学の研究の基礎となる知識・技術(実験操作、統計処理、データベース検索、文献購読、プレゼンテーション技能)を学ぶことで、2年次の課題研究を円滑に進めることができると考えた。


(4)2年次では、「生命科学課題研究 」(2単位)という学校設定科目を開講する。
 「生命科学基礎」で培われた能力・技能を生かして、科学研究として課題に取り組むことによって、より高度な内容の興味や関心をもたせることができると考えた。


(5)校内・校外の宿泊施設での合宿や研修旅行で「野外実習」や「環境学習」を実施し、自然科学の手法を直接的な体験を通して学ばせたい。体験を通して、生徒の興味・関心や意欲の向上を促進する効果があると考えた。

[1]「野外実習」
 現代、多くの日常的な情報をインターネットやテレビなどのメディアから得ているので、生徒の生活も室内空間で過ごすことが多くなる傾向がある。特に女子生徒はその傾向が強いと思われるので、感受性の高い高校時代に、科学的な自然の理解や「生命」の畏敬の念を育てるために、野外体験は必要である。学年をおって、段階的な導入を考えたい。
  高1では、基本的な自然観察の視点を学ぶ(身近な自然を体験できる「岡山県自然保護
 センター」などの施設を利用して基礎的な知識を身につける)。
  高2では、研究レベルの自然観察の手法を学ぶ(鳥取大学の蒜山演習林などの森林環境
 で、専門家の指導の下で技術を身につける)。
  身につけた知識や手法を、「研修旅行」での実践によって定着させる。

[2]研修旅行「環境学習」
 「野外実習」で身につけた知識や体験を生かして、より自然の豊かな地域で、環境調査等の実習、研究者の指導を盛り込んだ研修をしたい。身の回りの環境との比較などを通して、環境問題を考える動機が強化され、知識だけでなく、自然の中に入っていくことに対する積極性を身につけることができると考えられる。
 これまでに研修旅行で1999年・2000年を沖縄本島で、2003年・2004年を石垣島・西表島で自然環境学習のテーマで実施してきた経験があるので、西表島を中心にしたコースで、研修内容を充実させた内容のものができると考えている。そして、さらに世界の環境問題に目を向ける研修として、ボルネオ島サバ州を中心にしたコースを企画している(※別紙2-3)。


(6)以上の研究内容に関する取り組みは次の通りである。
○「生命科学コース」の設定による独自の教育課程の編成
○学校設定科目「実践英語」      :「生命科学コース」1~3年次、各1単位
○学校設定科目「生命科学基礎」   :「生命科学コース」1年次、1単位
○学校設定科目「生命科学課題研究」:「生命科学コース」2年次、2単位
○学校設定科目「生命」         :「生命科学コース」2年次、2単位
○理科の単位数の重点配分      :「生命科学コース」3年間で19単位(最大25単位)
 理科総合A(2単位)生物Ⅰ(4単位)生物Ⅱ(6単位)
 化学Ⅰ(3単位)化学Ⅱ(4単位+選択2単位)物理Ⅰ(選択4単位)
○「野外実習」
○研修旅行「環境学習」

投稿者:akiyama

女性の積極的に学ぶ姿勢とリーダーシップを育てる教材と指導法の開発

2006.03.28

 従来考えられてきた男女の性格の特徴に、(1)男の積極的攻撃性と女の消極的防御性、(2)男の自立性・支配性と女の依存性・融合的同調性、(3)男の現状打破性と女の現状維持性などがあげられている。このような見方がステレオタイプ化されて、男であれば「男らしさ」、女であれば「女らしさ」として社会的に期待されてきた。しかしながら、現在では、その考え方が男女差別につながっていると考えられている。単なる性別による「区別」であり、不当ではないという意見もあるかもしれないが、男らしさに振り分けられた「積極性がある」「決断力がある」「さばさばしている」などがリーダー的資質なのに対して、女らしさに振り分けられた「消極的である」「よく気が付く」「優しい」は補助的な立場の人に求められる資質であることを考えると偶然ではないことが理解できる。
 
 能力の特性については「女は言語能力に優れており、男性は視覚・空間認識・数学的能力に優れている」とよくいわれるが、それが生物的背景に基づくかどうか検証するのはかなり難しい。性役割を強化している社会的な影響も考えられるからである。高校で進路を考えるときに「女なのに理系なの」と言われるように、無意識的に女性には「理系に行かないように」という抑圧がかかっている場合は多い。社会的な抑圧を取り除く努力なしに、女性の科学・技術分野での活躍を推進できない。
 
 理科好きにも拘わらず理系への進学をためらいがちな女子生徒に、積極的に理系の進路を選べる教育が必要である。理系分野で活躍する科学技術者の講演に積極的に女性を起用することや、実験や野外実習の指導者に、女性の研究者、大学生や大学院生を選ぶことによって、ロールモデルを提示し、身近な存在として認識させることによって、研究者として自立している女性科学技術者を育成していく効果を期待できると考えた。

 以上の研究に関する取り組みは次の通りである。
○学校設定科目「生命」:「生命科学コース」2年次、2単位
○「野外実習」
○研修旅行「環境学習」
○女性研究者・学生との交流を深める講義や実習の設定

投稿者:akiyama