2011年12月24日
2011年12月24日の朝日新聞に、第9回高校生科学技術チャレンジ(JSEC)でアジレント・テクノロジー賞を受けた「花酵母についての研究」が紹介されています。
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:12|パーマリンク | コメント (0)
2011年12月18日
2011年12月18日(日)の読売新聞に学生科学賞中央審査出品作品として、岡山県審査で優秀賞を受けた清心女子高校生命科学コース時間生物学グループの「デンジソウの就眠運動の解析」が紹介されています。
投稿者: 秋山繁治 日時: 16:18|パーマリンク | コメント (0)
2011年12月11日
2011年12月11日(日)の読売新聞に学生科学賞中央審査出品作品として、岡山県審査で岡山県知事賞(最優秀賞)を受けた清心女子高校生命科学コース発生生物学グループの「市街地近郊に棲むカメの研究」が紹介されています。

投稿者: 秋山繁治 日時: 16:21|パーマリンク | コメント (0)
2011年12月03日
17:45から表彰式が行われた。「グランドアワード」3件、「特別協賛社賞・協賛社賞」4件、「主催者賞」1件(この8件からISEF派遣者が選定)、「特別奨励賞」1件、「審査員奨励賞」3件が表彰された(合計12件)。本校は、「協賛社賞」のアジレント・テクノロジー賞を受賞することができた。文部科学大臣賞は、清真学園高等学校でした。


表彰

記念撮影

表彰のまとめ

最終審査進出者全員で記念撮影
投稿者: 秋山繁治 日時: 21:57|パーマリンク | コメント (0)
審査会は、10:30から12:45までで、順次まわってきた審査員に15分間のポスター発表をするかたちで行われる。休憩をはさんで、13:30から14:30の自由時間審査も設定されているが前半の時間にほぼ審査が終わる。ポスター発表の時間は、発表する生徒と審査員以外は会場に入れない。下の写真は、審査終了後のに会場が公開されたときに撮影したものである。


説明する生徒

自由が丘高校のブース

加古川東高校のブース

三田祥雲館高校のブース
投稿者: 秋山繁治 日時: 20:42|パーマリンク | コメント (0)
発表当日、午前8時に開場され、9時45分までにポスター発表の準備を鑑賞するように指示された。生徒3名が協力して、準備に取りかかった。


両面テープで固定
投稿者: 秋山繁治 日時: 10:32|パーマリンク | コメント (0)
2011年11月15日
「花酵母についての研究」が、朝日新聞・テレビ朝日主催の「高校生科学技術チャレンジ:Japan Science & Engineering Challenge(JSEC2011)」の予選を突破して、最終審査(全国大会)に行けることになりました。選抜されたののは、科学研究(物理学、化学、生物学、地学、数学、バイオケミストリー、植物学、動物学、環境科学、微生物科学、地球宇宙科学、医療健康科学、行動社会科学、老年学、コンピューターサイエンス、エンジニアリングなどの分野)30作品です。12月3日に日本科学未来館で発表します。
JSECのHP
http://www.asahi.com/shimbun/jsec/
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:40|パーマリンク | コメント (0)
2011年10月24日
「どんなによい考えでも、胸にしまっておくだけでは錆びてします。知恵は、表現する行為によって磨かれる。見たこと、読んだこと、聞いたこと、考えたことを、絶えず書きあらわし、言いあらわす努力を続けることによって、知恵はたくましくなる(詞集たいまつⅠ・むのたけじ)。今まで取り組んできた生物学や教材研究、授業実践について、きちんとまとめて発表していきます(・・・・なんとか頑張ります)。学校の研究誌(紀要)を原稿を他の先生方からも原稿をいただいて、来年の3月末(年度内)に発行もします。充実した内容になるように努力しますので、期待しておいてください。
投稿者: 秋山繁治 日時: 14:55|パーマリンク | コメント (0)
2011年10月18日
ZOOLOGICAL SCIENCE 28: 758–763 (2011)
Evidence for True Fall-mating in Japanese Newt Cynops pyrrhogaster
Shigeharu Akiyama, Yasuhiro Iwao and Ikuo Miura
The mating season of Japanese newt Cynops pyrrhogaster is generally thought to occur once a year in spring to early summer, during the months of April to June, as in many other Japanese amphibians. However, in fall, from September to October, we often observed breeding colored males demonstrating a mating behavior with females in the field. In this study, in order to identify their true mating season, we anatomically and histologically investigated the annual maturation cycle of gonads and reproductive organs, including cloacal spermathecae in females, and, using a molecular marker, identified the seasonal origins of sperm, which are released in spring to perform insemination. We found that, in fall, ovaries are somewhat immature, while the testes were mature and the sperm already stored in the deferent ducts. Females stored a significant amount of sperm in around 80% of the spermatechae examined in October and 100% in December. When artificially ovulated in March before contact with male partners after hibernation, the females spawned fertilized eggs and these developed normally. Finally, we identified heterozygous genotypes of the visual pigment gene for the two different population types in the embryos, which were derived from a female who established contact with males of the same population in fall and then switched to males from another population until oviposition in spring. We therefore, conclude that the true mating season of this species occurs from fall to early summer, interrupted only by winter, and lasts six months longer (from October to June) than generally believed.
Key words: fall mating, newt, spermathecae, sperm, maturation
投稿者: 秋山繁治 日時: 17:35|パーマリンク | コメント (0)
2011年10月10日
中高生対象の科学コンクール「第55回日本学生科学賞」の県審査で、応募作品40点から、最優秀の知事賞に本校の発生生物学グループの「市街地近郊の水田に棲むカメの研究」が輝いた。本校からは、他に時間生物学グループの「デンジソウの就眠運動の解析」が優秀賞を受けた。本校の2点の研究を含む6点が県代表として、11月12日から東京で行われる中央審査に、県代表として出品される。
投稿者: 秋山繁治 日時: 10:05|パーマリンク | コメント (0)
2011年09月23日
高校生によるポスター発表が12:00~15:30(説明時間12:00~13:00)が開催された。本校生命科学コースは「市街化が進んでいる水田地域でアカミミガメはどのように過ごしているか」を発表した。最後の表彰式では、日本動物学会の表彰されるとともに、北海道支部から「優秀賞」をいただいた。生徒にとって、大学の先生方に自分たちの研究成果を紹介させていただくとともに、アドバイスをいただき、充実した一日になった。
【審査員からのコメント】
とても意義深く、しっかりとした研究だと思います。ポスターの説明の仕方、データのまとめ方などとても上手で、感心しました。重要なテーマなので、さらに研究を続けられることを期待します。


研究者の発表の様子

公開シンポ「変わりゆく北海道の自然」

大学の研究者からのアドバイス

動物学会の表彰式

第82回大会実行委員長から「優秀賞」を授与

優秀賞の賞状
投稿者: 秋山繁治 日時: 21:31|パーマリンク | コメント (0)
2011年08月14日
慶應義塾大学信濃町キャンパスで、JST支援事業未来の科学者養成講座の個人科学研究発表会(高校生)が行われた。発表以外に、慶應義塾大学医学部谷口善仁教授の「メダカやゼブラフィッシュを使って生命現象を解き明かす」と三浦恭子先生の「ハダカデバネズミ:社会性制御機構、癌、老化研究のための新しいモデル動物」の2つの講演を聞くことができた。


ラウンジの壁の肖像

慶應義塾大学医学部井上教授の挨拶

慶應義塾大学医学部谷口善仁先生の講演
高校生の科学研究の口頭発表は、横浜雙葉、筑波大学附属駒場など関東の学校からだけでなく、南は宮崎北、北は群馬女子まで全国から13校で、14題であった。最優秀賞が1名、優秀賞が2名表彰された。「ツツジからの野生酵母の採取と分類」という演題で、本校の松本愛さんが優秀賞を獲得した。


高崎女子高校の発表

宝仙学園高校の発表

県立宮崎北高校の発表

立命館高校の発表

投稿者: 秋山繁治 日時: 17:27|パーマリンク | コメント (0)
2011年08月07日
今日は、岐阜に研修会場を移しました。アクア・トト岐阜という水族館です。


カメの特設展示の紹介

バック・ヤード・ツアー開始

飼育水槽

飼育水槽

アルビノのヘビ

巨大水槽を上から眺めると・・・
投稿者: 秋山繁治 日時: 21:41|パーマリンク | コメント (0)
2011年07月31日
第13回日本進化学会のイベントとして、高校生のポスター発表が京都大学本部百周年記念館国際交流ホールで開催され、本校のミシシッピアカミミガメについての研究が優秀賞を獲得しました。


カメについての研究

酵母についての研究

優秀賞の賞状
投稿者: 秋山繁治 日時: 19:17|パーマリンク | コメント (0)
2011年06月17日
6月17日の山陽新聞に、本校の秋山繁治教諭のアカハライモリの貯精嚢についての研究が、「雌のアカハライモリ独特の繁殖行動・秋にも交配精子保存」というタイトルの記事で紹介されました。
投稿者: 秋山繁治 日時: 21:53|パーマリンク | コメント (0)
2011年06月05日
地域から見つめ直そう。環境のこと。食のこと。岡山県備中県民局環境課の企画の「環境体験コーナー」に出品した。これまでの環境問題に関連した課題研究の成果を紹介した。


食べ物が中心

生の魚もあった

本校の科学研究のポスター展示
投稿者: 秋山繁治 日時: 14:30|パーマリンク | コメント (0)
2011年04月06日
【広島大学学位請求論文要旨】 Zoological Science受理
Evidence for the true fall-mating in Japanese newt Cynops pyrrhogaster
(日本産アカハライモリにおける秋交配の証明)
秋山 繁治
アカハライモリは日本の固有種であり、本州、四国、九州および隠岐、壱岐、佐渡、五島および大隅群島に広く分布している。日本には3種類のイモリが生息しており、本土のアカハライモリに加え、奄美や沖縄にはシリケンイモリとイボイモリが分布している。我が国に生息する他の両生類はすべて体外受精を行うのに対し、イモリ類は、体内受精という異なる繁殖様式を備えている。アカハライモリの雄は繁殖期になると、尾の側面から腹側に掛けて紫色の婚姻色を呈し、雌の目の前で尾を振るわせて雌を誘った後、精包を放出する。雄に追随した雌はその精包を肛門から取り込み、肛門背側に多くの管状構造として存在する貯精のうに精子を蓄える。やがて成熟卵が輸卵管を通り、肛門を通過する際に貯精のうの精子と受精し、受精卵として体外に放出される。体外受精を行う両生類は交配時期と産卵時期がほぼ一致しているのに対し、イモリの雌は体内に精子を保存し、体内受精を行うため、交配が直接産卵を誘導しない。よって、交配時期はそのまま産卵時期を意味せず、交配後長い時間を経過したのち産卵が起こりうる。
アカハライモリでは、これまで春から初夏に掛けての2−3ヶ月が交配期であると考えられてきた。ところが、本研究者は秋にも、野外でたびたびイモリの交配行動を観察し、雄の婚姻食も確認した。ただし、雌の産卵は確認していない。一方、1931年には筒井が、1961年には岩澤が同様にイモリの交配行動を秋に観察しており、岩澤と石井(1990)は精巣の重量が9月−10月に最大になること、アンドロゲンの分泌が春と秋の2度、ピークに達することを明らかにしている。さらに浜口ら(2010)は、雄の脳におけるニューロステロイドの産生酵素遺伝子Cyp7Bの発現が秋に高まることから、秋における雄の交配行動を生理学的に支持している。このような背景から、アカハライモリでは交配が秋にも行われている可能性が十分に考えられる。一方、アメリカのイモリでも同様の秋交配が観察され調べられてきたが、雄の精子形成や雌の貯精のう内の精子の量は個体によって程度が異なことから、秋はあくまで偽繁殖期(false breeding season)であると解釈されている(Gergits and Jaeger, 1990; Sever et al., 1996; Sever, 1997)。
そこで本研究では、我が国のアカハライモリの交配が実際に秋に行われているのかどうかを明らかにするため、生殖腺や生殖器官の成熟の季節変化、雌の貯精のうにおける精子数の年周変化を調べた。さらに、秋に精子が雌に取り込まれるかどうか、その精子が春の産卵で実際に受精に使われるかどうかについて、DNA分子マーカーを用いて調べた。
卵巣と輸卵管の重量について、体重に対する相対値を調べたところ、卵巣と輸卵管の重量はともに、繁殖後の7−8月の夏に最小となり、秋に向けて徐々に増えていた。卵巣内の卵母細胞を観察すると、7月には未熟な卵母細胞で占められたが、9月には徐々に成熟の進んだ褐色の細胞質をもつ卵母細胞が増え、3月には既に十分成熟した卵母細胞が多数観察された。輸卵管は5月にはゼリーが上皮細胞に蓄積し肥厚していたのに対し、9月にはゼリーが見られず、上皮細胞が整列して単層構造を示し、縮んだ状態にあった。
一方、精巣の重量は逆に10月から6月に掛けて低く、7月から上昇した。イモリの精巣は、精子が充満した部分と精子形成を行う部分の2つの領域に分かれており、精子が充満した部分の大きさは年を通じて変化しないが、精子形成を行う部分、つまり精原細胞から精子細胞を含む領域の大きさが変化を示した。よって、精巣重量の少ない時期には精子形成の領域が小さく、逆にこの時期には輸精管内の精子数が大幅に増えていた。一方、精巣の重量が大きい9月には精子形成領域が大きかったが、輸精管内では精子が少なく、8月にはほとんど見られない状態にあった。輸精管の精子数は12月から5月にもっとも多かったが、9月からは既に増えだしていることがわかった。
雌の貯精のうにおける精子数について、すべての貯精のう内の精子数を測定することは困難であるため、組織切片を観察した貯精のうの内、20%以上の貯精のうに精子が含まれている場合、20%未満の場合、なしの場合の3つのタイプに分けて調べた。その結果、繁殖後の8月と9月にもっとも少なく、10月から精子を含む貯精のうが大幅に増えている事がわかった。
以上の結果から、雌雄生殖腺の成熟は繁殖後の8月頃にもっとも低下すること、その後10月には最大まで達しないもののある程度の成熟度に達している事がわかった。そこで、12月に冬眠中の雌を野外から捕獲し、雄と接触させることなく3月に排卵を誘導したところ、使用した雌3個体すべてが受精卵(受精率70,73.3, 22.7%)を生んだ。これは、12月の雌は既に精子を取り込み、保持していたことを示している。一方、6月に産卵した雌をそのまま飼育し、秋に排卵させても受精卵は生まなかった。しかし、9月と11月に捕獲した雌2個体と4個体は12月にそれぞれ排卵誘導によって受精卵(受精率100%)を生んだ。このことは、春の精子は夏を越えて秋まで維持されないこと、そして、雌は秋に精子を取り込み、保持していることを示している。最後に、秋の精子が春の受精に使われている事を直接証明するために、岡山と大分の集団を使い、3月に捕獲した冬眠中の雌を別の集団の雄と一緒に飼育し、5月に自然産卵および人工排卵によって産卵を誘導した。岡山と大分の集団は、視物質遺伝子の塩基配列の違いに基づき、HincIIの制限酵素切断によってお互いのゲノムを識別することができる。岡山雌が自然産卵した8胚を調べたところ、2個体は岡山、6個体は雑種であった。さらに、人工排卵によって、岡山の雌6個体はすべて岡山の胚だけを生んだが、大分の雌1個体は大分の胚2個体と1個体の雑種、残り3個体の雌は合計35個体の雑種胚を生んだ。以上の結果から、精子は秋に取り込まれ、しかも春の精子と共に、春の受精に使われている事が直接に証明された。
本研究は、日本に生息するアカハライモリの雌が秋に雄から精包を受け取り、春に新たに取り込んだ精子と共に春の受精に使用して産卵していることを明らかにした。したがって、これまで4月から6月、春から初夏までがアカハライモリの交配期(繁殖期)とされていたが、10月から6月までが真の交配期(繁殖期)となり、これまで知られていたよりも6ヶ月近くも長いことになる。ただし、冬は冬眠するため、実際には11月頃から3月までの期間は冬によって中断されている。では、日本の両生類の中で、なぜイモリだけがこのように長い交配期間をもつのだろうか。アカハライモリの属するCynopsには合計8種存在し、そのうち6種は中国のいずれも緯度が低い南部に生息している。従って、Cynops属イモリの起源は中国にあり、日本のアカハライモリは最も緯度の高いところに適応していることになる。中国のCynops属イモリの交配期はおよそ3月から7月と報告されており、アカハライモリの近縁種で奄美、沖縄に生息するシリケンイモリの交配期は1月から6月とされている。よって、日本に侵入して進化したCynopsは、繁殖期が冬の方へと伸長し、本土に分布を拡大しながらさらに秋まで交配期が伸長した可能性が考えられる。しかし、本土では寒い冬が存在するため、長い交配期が冬で遮断されたことになる。現在のところ、中国のCynopsにおける真の交配期が調べられていないので、詳しい推測は困難であり、中国のCynops自体がすでに長い交配期を備えている可能性も否定できない。今後の研究の進展が期待される。
本研究は、アカハライモリの交配期が秋にはすでに開始していることを明らかにした。これまで、日本の両生類では春を中心とした一続きの交配期が一般的に信じられてきたが、本研究は、秋に開始し、しかも冬期で一旦遮断され初夏まで続く長い交配期が存在することをイモリで証明した。これまでの常識を大きく覆す発見である。


発表の様子
投稿者: 秋山繁治 日時: 20:38|パーマリンク | コメント (0)
2011年04月05日
4月6日(水)に広島大学大学院理学研究科生物科学専攻の学位論文公聴会で研究成果を発表します。論文題目は、「Evidence for the true fall-mating in Japanese newt Cynops pyrrhogaster(日本産アカハライモリにおける秋交配の証明)」です。
http://www.hiroshima-u.ac.jp/sci/gakuironbun/bio/
投稿者: 秋山繁治 日時: 12:34|パーマリンク | コメント (0)
2011年03月12日
3月11日の北海道のコンベンションセンターでポスター発表をしてる最中に地震があった。天井からつるされた大きな照明などが揺れたので怖がっている人もいた。夕方、ホテルでテレビにスイッチをいれて初めて震災の詳細を知った。12日の神戸空港行の飛行機で、遅れはあったものの無事に帰ることができたのは幸運であった。12日の日本生態学会のプログラムの一部は中止され、参加者の帰路の交通の確保のための集会が緊急に開かれていた。
優秀賞
コンクリート化された水田地域のクサガメとミシシッピアカミミガメの行動
【要旨】
外国から移入されたカメの生態系への影響が心配されている。近年,カミツキガメやワニガメなどがヒトに危害を与える可能性があるということで,特定動物に指定されているが,カメの仲間で生態系への影響を最も懸念されているのはミシシッピアカミミガメである。その理由は,「ミドリガメ」という名で,ペットとして多い時は年間100万匹以上が日本に輸入され,把握できないほど多くの個体が全国各地に生息している状況に陥っているからである。
この状況を踏まえて,その行動を解析し、ミシシッピアカミミガメの在来種のクサガメへの影響を調べることを目指した。方法は,(1)標識再捕法(捕獲個体を標識し、再捕獲できた場所を記録)と(2)テレメトリー法(小型発信器取り付けた個体を受信機で追跡)を使った。調査データから①行動範囲,②移動パターンを解析した。
今回の調査で分かったことは,①現在の両種の生息数の比は約1:1の比にまで至っており,ミシシッピアカミミガメがクサガメを駆逐している状況にある。②ミシシッピアカミミガメの方が行動範囲が広い,③両種ともコンクリート化された水路より,コンクリート化されていない水路を好む傾向があること等が判った。
優良賞
地球温暖化防止における森林の役割(様々な森林による二酸化炭素吸収量の推定)
【要旨】
CO2の増加による地球温暖化や人間活動による生物多様性の危機が問題となっている。このような地球環境問題に対して森林の役割を明らかにすることを目指した。方法は、人工林および遷移段階が異なる森林で、樹高・直径・樹齢を5年間調査し、そのデータから樹木による1年当たりのCO2吸収量を求め、さらに樹木の種多様性や森林の構造との関係を解析した。
結果は、CO2吸収量は、1年間で人工林では100m2当たり140kg、天然林では100 m2あたり260kgになった。天然林は人工林と比べて、樹種の多様性が高く、樹高の高低に大きく差がある複雑な階層構造を示した。その結果、光合成を効率よく行ってCO2吸収量が多くなったと考えられる。また、アカマツは他の樹木と比べてCO2吸収量が高いことがわかった。これは、直径や樹高の成長量が大きいためCO2吸収量も多くなったと考えられる。
結論として、天然林は人工林に比べてCO2吸収量が多いことがわかった。日本人1人が1年で家庭で排出するCO2は約2.0tなので、人工林100m2で処理できるのは約0.07人分、天然林でも約0.13人分にしかならない。CO2の急激な増加が環境問題になっているが、その解決には、自然度の高い森林生態系を守っていくとともに、私たち自らがCO2の排出を抑制する生活に変えていく必要がある。
投稿者: 秋山繁治 日時: 23:55|パーマリンク | コメント (0)
2011年03月11日
早朝に神戸から飛行機で札幌に向かった。昼食をとってから、発表会場に向かった。岡山では雪の心配などしたことがなかったので、積雪が珍しかった。


コンベンションセンターに到着

会場の様子

本校の森林についての発表

カメについて英語で発表
投稿者: 秋山繁治 日時: 22:53|パーマリンク | コメント (0)
2011年03月01日
Miyuki SUZUKI, Seishin Girls’ High School
Sella TAKEI, Seishin Girls’ High School
Shigeharu AKIYAMA, Seishin Girls’ High School
and
Jyunji SANO, Faculty of Agriculture,Tottori University
Abstract
The aim of the present study is to clarify the role of forests in the absorption of carbon dioxide. In order to determine forest CO2 absorption capacities, we conducted a five-year investigation of artificial and natural forests, examining tree height, diameter and age. We then analyzed these data with regards to the forest structure and diversity of tree species. We found that artificial and natural forests absorbed CO2 at rates of 139 kg/100 m²/year and 261 kg/100 m²/year, respectively. Compared to artificial forests, the
natural forests had a complex hierarchical structure containing a wide range of tree types and trees of differing heights. We hypothesized that these characteristics allow natural forests to achieve a more efficient rate of photosynthesis. Moreover, we found that red pine trees, in particular, have a high CO2 absorption rate because of their rapid growth. We concluded that natural forests have a significantly greater ability to absorb CO2 than artificial forests. A typically Japanese person emits approximately 2 tons of CO2 per year from household, indicating that only 7% and 13% of the annual emissions from a single person can be absorbed by 100 m² of artificial and natural forests, respectively. These results suggest that not only the protection of natural forests, but also fundamental changes in our lifestyle are necessary to stem the rise in CO2 emissions.
Bulletin of Okayama Prefectural Nature Conservation center (18):37-45,2011
投稿者: 秋山繁治 日時: 10:07|パーマリンク | コメント (0)
井上智香子、原悠歌、秋山繁治(指導教諭)
(ノートルダム清心学園・清心女子高等学校・生命科学コース)
【目的】
近年、外国から移入されたカメの生態系への影響が心配されている。カミツキガメやワニガメなどがヒトに危害を与える可能性があるということで話題になったが、より大きな問題は生態系そのものへの悪影響である。そして、帰化種のカメで生態系へのもっとも大きな影響が懸念されているのがアカミミガメである。アカミミガメは、「ミドリガメ」という名で、ペットとして多い時は年間100万匹以上が日本に輸入され、現在、把握できないほど多くの個体が全国各地に生息している状況に陥っているからである。
本研究では、水田地帯でのアカミミガメの生態を明らかにすることを目指した。現在、農業の効率化を進めるために、水田地域では圃場整備や、水路のコンクリート化が進んでいる。そして、その人為的な環境の改変によって野生生物の生存に危機を与えているとも言われている。そのような環境でも急激に生息数を伸ばしているのがミシシッピアカミミガメである。今回は、その行動を詳細に調査することによって、生息状況を知るだけでなく、同所的に生息する在来種のカメへの影響を明らかにするための知見が得られると考えた。
【方法】
カメの調査は、2009年度から学校周辺の水田地帯で捕獲調査を実施して、研究に十分な個体数が生息していることを確認しているので、行動範囲、移動パターン、移動経路を調べるために、テレメトリー法(各個体の継続的な移動を知る)と標識採捕法(全体的な大きな移動傾向を知る)を並行して行った。テレメトリー法については、雌雄各2匹ずつ計4匹に小型発信機をつけ、受信機を用いて毎日1個体ごとの居場所を確認(追跡)する作業を行った。また、月1回、用水路沿いに定点を設定し一斉にトラップを仕掛け、6時間後に回収するという捕獲調査も行った。
【結果】
・調査地約17haの範囲でアカミミガメ114匹が確認できた。
・雌雄とも7月、10月に移動が活発である。
・通常は水路に生息しているが、水田に水が入っている7月は、水田内でも確認できた。
・9月上旬(越冬時期の前)からコンクリート化されていない水路に集まる傾向がある。
・同所的に、在来種のクサガメ84匹が生息している。
【考察】
・7月に移動が活発なのは、繁殖の機会を増やすためだと考えられる。
・7月はどの水田にも水が入り、エサの豊富な水田への行動範囲を広げたと考えられる。
・10月に移動が活発であったのは、越冬に向けて餌を探しているためだと考えられる。
・ミシシッピアカミミガメの多さから、同所的に生息するクサガメを駆逐している可能性がある。
投稿者: 秋山繁治 日時: 09:16|パーマリンク | コメント (0)
池上裕莉香、秋山繁治(指導教諭)
現代社会では、人為的な開発による自然環境の改変に加えて、少子化や核家族化などの人間関係の変化が進み、生命の誕生や死を身近に経験することが少なくなってきている。そのような変化の中で、生命の大切さや思いやりの気持ちを育むための教材として、これまで日本の学校で歴史的に維持されてきた「学校飼育動物」の重要さが増していると考えられる。しかしながら、鳥インフルエンザの影響、資金不足、世話の負担などが原因で飼育数が減少していることも予想される。これまで、1999年から出身小学校を訪問しての調査を継続して行ってきたが、より広範囲に多くの学校の情報を得るために2008年は小学校対象で、2009年は幼稚園対象でアンケート調査を実施した。
【目的】
小学校や幼稚園での動物の飼育状況を調べ、学校飼育動物の意味を再考するためのデータを提供する。
【方法】
幼稚園344園を対象に飼育動物についてのアンケートを実施した。203園(59%)から回答を得た。2008年に実施した小学校のデータと比較して考察した。
【結果】
①幼稚園では、基本的に動物を飼っている(203園中202園)
②多く飼育されているのはウサギである(94%)。
③飼育をやめた動物では鳥類が多い。
④飼育上困っているのは、病気への対応である。
⑤動物についての基礎的な知識が不足している。約半数(43%)がウサギの雌雄さえ区別できない状況である。
⑥動物が死んだ場合は、「ゴミとして処理する」が多い(67%)。
投稿者: 秋山繁治 日時: 09:14|パーマリンク | コメント (0)
脇坂芽依、秋山繁治(指導教諭)
ミシシッピアカミミガメは通称ミドリガメと呼ばれ、ペットとして多い時は年間100万匹以上が日本に輸入されたカメである。大きく成長し飼いきれなくなったカメが野外に捨てられ、現在、把握できないほど多くの個体が全国各地に生息している状況に陥っており、駆除の対象にもなっている。
【目的】
カメの基本的な体のつくりと生殖器官の構造を観察する。
【方法】
m-アミノ安息香酸エチルメタンスルホナート(5%)を2mlずつカメの脚の付け根、首のつけ根に数回注射し麻酔した。
①甲長(背甲と腹甲の最小直甲長 )と体重を測定する。
②首の頸動脈を切って、血を抜く。
③腹を上に向け、甲羅の横を筋に沿ってのこぎりで切断する。
④腹甲をこじ開け、ハサミで腹甲を完全に切り離す。
⑤脂肪を取り除き、卵巣と輸卵管を摘出する。
⑥摘出した輸卵管の中の卵については、その一部をピンセットで割って胚を取り出し、甲長(背甲と腹甲の最小直甲長 )と体重を測定する。
⑦カメの骨格の標本を作製する。
【結果】
・輸卵管では、7月には殻のついた卵が観察できたが、10月には卵は見られなかった。
・輸卵管から取り出した卵は、正常に発生した。
・卵巣の状態は、7月と10月で差がなかった。
【考察】
・産卵が10月には終わっている。
・輸卵管内の卵は、受精を完了し、正常に発生できる段階にある。
・7月に輸卵管内にある卵が1シーズンに産卵する卵である。
投稿者: 秋山繁治 日時: 09:11|パーマリンク | コメント (0)
2011年02月06日
応募件数は72件、今日は予備審査を通った32件が、ブース形式でポスター発表を行いました。生命科学コースの環境化学グループが「きらり科学の目賞」を、時間生物学グループが「優秀賞」を受賞しました。
投稿者: 秋山繁治 日時: 21:43|パーマリンク | コメント (0)
2011年01月29日
発表件数は、口頭発表18件、ポスター発表38件で、生命科学コース「時間生物学グループ」2名が参加しました。
発表後に審査講評と表彰式が行われ、5件が優秀賞として表彰されました。本校の発表も、優秀賞に選ばれました。
投稿者: 秋山繁治 日時: 20:47|パーマリンク | コメント (0)
2010年11月04日
デンジソウは、水生シダで、水分が多い時は小葉2対が十字形につくので”田の字”に見えることから”デンジ”ソウの名がある。若い葉は水上に出て、2枚ずつ小葉を合わせて、就眠運動をする。本校の生命科学コースの時間生物学グループは、その就眠運動に着目して研究を進めている。ちょうど今、胞子葉の先に円形の胞子のう果が1~3個できている。
かつては水田雑草として扱われ、駆除しにくい厄介な草として扱われていたが、現在は見るのも難しい状況にある。希少種としてビオトープ施設等で、水草として栽培されることが多い。ウォータークローバーという呼称がある。環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定。


胞子のう果

楕円形で荒い毛が生えている
投稿者: 秋山繁治 日時: 15:11|パーマリンク | コメント (0)
2010年11月03日
岡山県審査を通過後、中央審査へ提出する論文を校正を加えて提出した(提出期限は11月5日)。COP10が日本で開かれた年に、私たちが「森林の多様性と二酸化炭素吸収量(地球温暖化防止における森林の役割)」と題した研究をまとめたことは偶然だが、地球環境問題に重要なメッセージを伝える機会を与えていただいたと感じている。以下は、最後の記した「まとめと今後の課題」の本文である。
今回の研究で得られたデータから、私たちの排出する二酸化炭素量は、森林の吸収できる二酸化炭素量をはるかに超えていることを再確認した。森林を天然林と人工林に分けて比較すると、天然林の方が人工林よりも二酸化炭素吸収量が多かった。天然林は樹高が多様であるため、光や空間を効率的に利用し、結果として二酸化炭素吸収量が多くなると考えられる。樹木の多様性を更に考察した結果、種数、樹齢の多様性と炭素貯蔵量には正の相関が認められた。これらのことから、天然林の中でも特に、多様な樹木をもつ森林を守ることが重要だと考えられる。さらに、遷移の進んだ森林ほど炭素貯蔵量が多く、二酸化炭素吸収における極相林の重要性が示唆された。
近年、大気中の二酸化炭素の急激な増加と生物多様性の減少が地球規模の環境問題になっているが、その解決に向けて私たちに求められているのは、二酸化炭素排出量を抑制するライフスタイルに改めることと、自然度の高い森林生態系を守っていくことである。
今後の課題は、森林の管理と二酸化炭素吸収量の関係を明らかにすることである。日本の森林の40%を占める人工林での間伐不足などによる森林の荒廃が問題になっている。そのため、間伐などの管理の違いによって二酸化炭素吸収量がどのように変化するのかを調べる必要がある。

投稿者: 秋山繁治 日時: 11:47|パーマリンク | コメント (0)
2010年10月30日
2010年10月10日に第54回日本学生科学賞の科学論文審査形式での審査(岡山県)が行われ、生命科学コース・発生生物学グループの「地球温暖化防止における森林の役割」が優秀賞を受賞しました。県代表として6件が中央審査に出品されますが、選抜されました。今日は、表彰式が岡山県生涯学習センターでありました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 12:20|パーマリンク | コメント (0)
2010年10月10日
【要旨】
アカハライモリの秋から春にまたぐ多重交配について
−両季節の精子が受精に利用されている遺伝学的証拠−
The multiple mating of Japanese fire belly newt in spring over fall:
Genetic evidence for insemination with the spermatozoa incorporated in both seasons
○秋山繁治(清心女子高校)小泉雄紀・三浦郁夫(広島大学・大学院理学研究科・両生類研究施設)
アカハライモリ(Cynops pyrrhogaster)の野外における繁殖期は基本的に春(4月から7月)であるが、実際には、秋(10月11月)にも配偶行動を観察することができる。本研究では、この秋交配が春同様、真の交配であるのかどうかを検証するため、解剖学的及び遺伝学的調査を行った。
まず、組織学的に一年間の貯精嚢中の精子の状態を調べると、8月9月にはほとんど精子が見られず、卵巣にも成熟した卵が少ない。したがって、8月までに繁殖期は終焉し、そこから新たに次の繁殖可能な状態に向かうと考えられる。実際、10月にはホルモン注射による産卵誘発で受精卵が得られたことから、秋には既に精子が取り込まれ、卵も生理的に受精可能な状態に達していることがわかった。
次に、秋に取り込まれる精子と春に取り込まれる精子を区別するため、生息地の異なる個体(岡山産と大分産)を材料に用い、視物質遺伝子の配列の違いを同定してマーカーを確立した。そして、2つの集団の雄を秋と春、それぞれ別々に導入して、産まれた受精卵の遺伝子型を解析した。その結果、1)秋の精子は春まで受精能を維持しているが1年は持たないこと、2)秋と春の精子は両方が使われるが、使用パターンは個体によって異なることが判った。以上から、アカハライモリの交配は、本来、秋に始まって春まで続く長いものであるが、そこに冬眠が挟まった結果、現在のような二重の繁殖形態になったと考えられる。また、春の精子の取り込み率は卵の受精率とは無関係であることも判明した。


ポスター発表
投稿者: 秋山繁治 日時: 21:06|パーマリンク | コメント (0)
2010年09月25日
今年の本校からのエントリーは、4件。高校生だけの発表会に比べて、大学の研究者が親切にアドバイスをくれることが大変ありがたい。発表の前と後で、生徒の気持ちに大きな変化が起こることを感じる。SSH校の関係者だけでなく、他の多くの高校生や研究者と接することを肥やしにしてより大きく成長して欲しい。


発表会場はどこかな?

コンクリート化された水田地域のカメの行動

デンジソウの生態研究

岡山県内幼稚園の飼育動物の現状分析

ポスター発表会場の様子

表彰式の様子
投稿者: 秋山繁治 日時: 23:57|パーマリンク | コメント (1)
2010年05月01日
Seishin Girls’ High School
AKIYAMA Shigeharu
1. Introduction
Twenty years ago, my colleague brought to my biology laboratory a cluster of strange-looking banana shaped egg sacs from the paddy fields. In those days, I did not really like walking in the mountains or paddy fields. I hated the bees and snakes in these places. Nor did I care much for the amphibians. However, as I observed those eggs incubating, something changed and I became interested in the small creatures inside. These eggs later hatched and from them came some kind of fish with external gills. They turned out to be what are called clouded salamanders. Two years later, I was able to have those salamanders lay unfertilized eggs in my laboratory and after that my chief interest became focused on how to fertilize salamander eggs in my laboratory. I have since succeeded in breeding numerous kinds of amphibians such as “Oita salamanders” and “Anderson’s alligator salamanders”.
My laboratory, now filled with the various kinds of creatures I have bred, might well be called an amphibian zoo. My students visit my laboratory every day to feed the creatures and study their behavior. Doing outdoor research with my students has allowed me to witness first hand the destruction of amphibian habitats. This has encouraged me to start thinking about what things can be done to improve the current situation. I have also realized that there is a strong connection between what is happening in amphibian habitats and greater environmental issues.
Indeed, I myself have learned tremendously through keeping those small creatures. Through my experience teaching students about breeding amphibians, I better understand the educational value hands-on encounters with natural world. Simply put, in science, “knowledge” is not enough. We need “real experience”. We need to touch; to feel; to hear, smell and taste (Please do not eat the salamanders). I believe that such contact with nature is instrumental for cultivating student interest in science as well as nourishing a scientific way of thinking.
2. Real-life Encounters with Creatures
Two primary objectives of science education at the elementary school level are cultivating a love of nature and developing the ability to solve problems. All elementary school students take the subject “Seikatsu-ka”, in which they experience taking care of animals. I decided to give my students the assignment of writing a research report on how their own elementary schools are taking care of their school pets and how they are using those pets for educational purposes. I have been giving this research assignment to my students annually since 1999. To my surprise, some students enclosed in their report a photo of a notice attached to the animal cages which read, “Keep away from this cage! Students responsible for feeding only!” I thought to myself, what is the point of keeping animals if nearly no one can interact with them? Not surprisingly, my students seem to be lacking in memories of seeing their school animals. I thus decided a few years ago to send out questionnaires to all the elementary schools in my prefecture, Okayama, in order to find out how they were taking care of their animals. This research revealed some eye-opening results.
Rabbits – cute and cuddly - are the most popular animals kept at schools here. However, 54 percent of the schools surveyed could not tell whether their rabbits were female or male. As a result, 65 percent were keeping males mixed with females and 91 percent were keeping their rabbits without using any kind of population control treatment. Some schools were keeping as many as 40 rabbits. Since the school teachers do not have the proper understanding of the animals’ behaviors, they are confronted by numerous difficulties. However, what surprised me most was that during the past ten years three students were denied entry when they tried to visit the elementary school from which they graduated. I do not know exactly the reason the students were prevented from seeing the animals, however the schools might be aware of some problems in their dealings with their pets.
The Governmental Educational Council feels keeping animals at schools helps deliver the Heart-Enriching education they wish to give students. At schools, however, numerous problems prevent this from happening: teachers’ lack of knowledge, insufficient financial support for keeping animals, and the burdens of keeping living creatures. These conditions, as well as the current issue of “Bird Flu” make many educators reluctant to keep animals at school.
So when asked the question: “What would make you sadder, the death of a pet at home or the death of a pet at school?, nearly all students reply “a pet at home.” The reason for this reaction simple: the more contact children have with an animal, the more attachment they will feel to it. So yes, rabbits can be good creatures to keep at school, so long as we limit their number to two or three and use suitable population control treatments. Using animals to enrich the hearts of students is good thinking, but the teachers need to be knowledgeable and the students must be able to have contact with the animals.
3. Female students’ lack of encounters with nature
Here in Japan, only a limited number of females are active in scientific fields. As a result of cultural norms and historical circumstance, our country has held a negative attitude toward women’s participation in prominent academic occupations. A white paper from the Ministry of Education showed that even elementary school students have strong ideas of gender roles. The paper pointed out that “all children are having fewer and fewer opportunities for contact with nature and the world beyond the home, the kind of experiences that are crucial for children’s further development.” Having less contact with nature might be one of the main causes for children’s – and especially women’s - decreased interest in science fields.
Seventh graders were asked, “Do you go catching insects?” 59.3 percent of boys interested in science answered “yes”, whereas only 35.9 percent of boys with no interest in science answered “yes”. The girls’ reactions were very different from those of boys. Only 35.9 percent of girls interested in science answered “yes, I go catching insects” whereas 27.7 percent of girls without interest in science answered “yes.”
The survey indicates that girls are likely to have much less contact with nature compared to boys, most likely due to biased views of gender roles. When students do experiments in class, girls are likely to assume assisting roles to boys, and not take on leading roles. The fact that only a limited number of girls take courses in science is, I believe, in part a result of their limited opportunities for experiencing nature. So, in order to increase the number of female scientists, we need to have programs that enable girls to experience nature first hand.
4. Building a program around contact with nature in the high school education curriculum.
Since my school is a girls’ high school, all the activities, such as Student Council activities as well as club activities, are carried out by female students. This also means that our school provides an ideal circumstance for training girls to positively take leadership in school activities. I therefore initiated the program for female students to cultivate their interest in scientific fields. I believe in the value of this because Japan has only a limited number of female scientists as compared with the rest of the world.
In 2006 we were designated by Ministry of Education as a Super Science High School and for the past four years, we have been building a unique school curriculum. We also established the “Life Science Course” in our school curriculum in which we provide students with numerous opportunities for field study. We focused on this because in Japan, the life science field is among the most popular areas for female scientists.
5. Content of our educational program for “Life Science Course” The Life Science Course incorporates three core elements in order to give students hands-on experience in the natural world: ① Study Workshops which foster students interest in scientific fields; ② Experiments with university researchers; ③ Research assignments. All of these programs are being carried out with the gracious assistance of neighboring university researchers
① Study Workshops
Our program provides a 5-day Field Study Workshop for first year students, and a 4-day study workshop in Okinawa for second year students. A Study Workshop in Borneo is available for students of all grades, if they wish to participate.
At the Field Study Workshop, students learn about the forests and environmental issues from university lecturers and from hands-on research training. Activities include measuring and calculating the amount of carbon dioxide absorbed by an assigned area of the forests.
At the Okinawa Study Workshop, students listen to research workers’ lectures concerning the behavior of local animals such as wildcats and bats. They also have a chance to observe the plants and animals in mangrove forests as well as sea life while snorkeling and kayaking.
At the Borneo Study Workshop, students attend Sabah University where they listen to lectures on plants and animals by resident professors. They also observe the plants and animals of Kinabalu Park(World Heritage) as well as the area along the Kinabatangan River. During this program, our students have the opportunity to interact with Malaysian high school students by giving presentations on their individual research in English.
② Experiments at neighboring universities
In addition to ordinary classes, we visit our neighboring universities which allows our students to gain experience doing experiments with professional researchers. In the classes called “Life Science PracticeⅠ”and “Life Science PracticeⅡ”, our students learn applied life science at a level far beyond the that of high school science textbooks.
For “Life Science PracticeⅠ”we have formed a relationship with Fukuyama University. This relationship makes it possible for our students to get inside the university research laboratories. The students learn the fundamentals of the specialized areas of marine biotechnology and applied biological science.
For “Life Science PracticeⅡ, we have formed a relationship with the Okayama University of Science. There students are able to practice such things as DNA extraction.
③ Research Assignments
Students can choose the research topics from three different groups. I instruct the group of students whose interests are urodele amphibians and yeast.
The aims of our research on the urodele amphibians are as follows: to establish the procedures of artificial fertilization, to raise the ratio of normal hatching, to prolong the capability of eggs and sperm to achieve fertilization, to find the proper density for keeping larvae, feeding them and preventing canibalism.
As for our research on yeast, we are tackling the issues of classifying yeast extracted from flowers and fruits As the yeasts inhabit the different kinds of flowers, analyzing the relations between the yeasts and the flowers may reveal something useful in understanding the ecosystem and related ecological issues. We classify the yeasts in accordance with the shapes observed under microscopes, the DNA arrangements, the electrophoretic karyotyping, and their fermentation capacities.
6. The program’s effects on our students The SSH (Super Science High School) project offered us the opportunity to build an unprecedented program for female students. Focusing on providing practical “encounters” with nature, our curriculum forces our students to take positive leadership in their research activities, and to develop their presentation skills which are integral for communicating with an international audience. The other favorable effects on our students are shown in the charts below.
This year, our students are not planning to go out to distant areas for their
research activities. We have chosen to stay in our local area and take a closer look at natural creatures around our school - our institution stands on a hill surrounded by trees and paddy fields.
Currently, observing the plants on the hill and the creatures inhabiting in paddy
fields are among the students’ research assignments. Students are now eager to find out about the behaviors of the local Reeves’s pond turtles and Red-ear sliders. They will employ the “mark-and-recapture method” as well as “biotelemetry”. We would like to further continue providing education focusing on this kind of contact with animals and with nature.
I would like to finish with an interesting bit of information from a survey conducted by Dr. Hishoshi Nakano. In that survey one third of elementary school children answered yes when asked whether they thought dead people could live again. This was reported in newspaper articles, and critics suggested that something was desperately lacking in the education curriculum. What was lacking, many argued, was the ‘Heart-Enriching education’ which is to say the study of life and the living world. But without encountering that living world as it is, such heart-enriching education is simply not possible. I wonder if this is only true with elementary school children. What about junior high school students and high school students? What about college students, and moreover, even adults?
It is my firm belief that in our age, for all generations, real-life encounters with nature are indispensable to our education, and to live our lives as humans.
投稿者: 秋山繁治 日時: 13:42|パーマリンク | コメント (0)
2010年04月19日
1. Introduction
Twenty years ago, my colleague brought to my biology laboratory a cluster of strange-looking banana shaped egg sacs from the paddy fields. In those days, I did not really like walking in the mountains or paddy fields. I hated the bees and snakes in these places. Nor did I care much for the amphibians. However, as I observed those eggs incubating, something changed and I became interested in the small creatures inside. These eggs later hatched and from them came some kind of fish with external gills. They turned out to be what are called clouded salamanders. Two years later, I was able to have those salamanders lay unfertilized eggs in my laboratory and after that my chief interest became focused on how to fertilize salamander eggs in my laboratory. I have since succeeded in breeding numerous kinds of amphibians such as “Oita salamanders” and “Anderson’s alligator salamanders”.
My laboratory, now filled with the various kinds of creatures I have bred, might well be called an amphibian zoo. My students visit my laboratory every day to feed the creatures and study their behavior. Doing outdoor research with my students has allowed me to witness first hand the destruction of amphibian habitats. This has encouraged me to start thinking about what things can be done to improve the current situation. I have also realized that there is a strong connection between what is happening in amphibian habitats and greater environmental issues.
Indeed, I myself have learned tremendously through keeping those small creatures. Through my experience teaching students about breeding amphibians, I better understand the educational value hands-on encounters with natural world. Simply put, in science, “knowledge” is not enough. We need “real experience”. We need to touch; to feel; to hear, smell and taste (Please do not eat the salamanders). I believe that such contact with nature is instrumental for cultivating student interest in science as well as nourishing a scientific way of thinking.
2. Real-life Encounters with Creatures
Two primary objectives of science education at the elementary school level are cultivating a love of nature and developing the ability to solve problems. All elementary school students take the subject “Seikatsu-ka”, in which they experience taking care of animals. I decided to give my students the assignment of writing a research report on how their own elementary schools are taking care of their school pets and how they are using those pets for educational purposes. I have been giving this research assignment to my students annually since 1999. To my surprise, some students enclosed in their report a photo of a notice attached to the animal cages which read, “Keep away from this cage! Students responsible for feeding only!” I thought to myself, what is the point of keeping animals if nearly no one can interact with them? Not surprisingly, my students seem to be lacking in memories of seeing their school animals. I thus decided a few years ago to send out questionnaires to all the elementary schools in my prefecture, Okayama, in order to find out how they were taking care of their animals. This research revealed some eye-opening results.
Rabbits – cute and cuddly - are the most popular animals kept at schools here. However, 54 percent of the schools surveyed could not tell whether their rabbits were female or male. As a result, 65 percent were keeping males mixed with females and 91 percent were keeping their rabbits without using any kind of population control treatment. Some schools were keeping as many as 40 rabbits. Since the school teachers do not have the proper understanding of the animals’ behaviors, they are confronted by numerous difficulties. However, what surprised me most was that during the past ten years three students were denied entry when they tried to visit the elementary school from which they graduated. I do not know exactly the reason the students were prevented from seeing the animals, however the schools might be aware of some problems in their dealings with their pets.
The Governmental Educational Council feels keeping animals at schools helps deliver the Heart-Enriching education they wish to give students. At schools, however, numerous problems prevent this from happening: teachers’ lack of knowledge, insufficient financial support for keeping animals, and the burdens of keeping living creatures. These conditions, as well as the current issue of “Bird Flu” make many educators reluctant to keep animals at school.
So when asked the question: “What would make you sadder, the death of a pet at home or the death of a pet at school?, nearly all students reply “a pet at home.” The reason for this reaction simple: the more contact children have with an animal, the more attachment they will feel to it. So yes, rabbits can be good creatures to keep at school, so long as we limit their number to two or three and use suitable population control treatments. Using animals to enrich the hearts of students is good thinking, but the teachers need to be knowledgeable and the students must be able to have contact with the animals.
3. Female students’ lack of encounters with nature
Here in Japan, only a limited number of females are active in scientific fields. As a result of cultural norms and historical circumstance, our country has held a negative attitude toward women’s participation in prominent academic occupations. A white paper from the Ministry of Education showed that even elementary school students have strong ideas of gender roles. The paper pointed out that “all children are having fewer and fewer opportunities for contact with nature and the world beyond the home, the kind of experiences that are crucial for children’s further development.” Having less contact with nature might be one of the main causes for children’s – and especially women’s - decreased interest in science fields.
Seventh graders were asked, “Do you go catching insects?” 59.3 percent of boys interested in science answered “yes”, whereas only 35.9 percent of boys with no interest in science answered “yes”. The girls’ reactions were very different from those of boys. Only 35.9 percent of girls interested in science answered “yes, I go catching insects” whereas 27.7 percent of girls without interest in science answered “yes.”
The survey indicates that girls are likely to have much less contact with nature compared to boys, most likely due to biased views of gender roles. When students do experiments in class, girls are likely to assume assisting roles to boys, and not take on leading roles. The fact that only a limited number of girls take courses in science is, I believe, in part a result of their limited opportunities for experiencing nature. So, in order to increase the number of female scientists, we need to have programs that enable girls to experience nature first hand.
4. Building a program around contact with nature in the high school education curriculum.
Since my school is a girls’ high school, all the activities, such as Student Council activities as well as club activities, are carried out by female students. This also means that our school provides an ideal circumstance for training girls to positively take leadership in school activities. I therefore initiated the program for female students to cultivate their interest in scientific fields. I believe in the value of this because Japan has only a limited number of female scientists as compared with the rest of the world.
In 2006 we were designated by Ministry of Education as a Super Science High School and for the past four years, we have been building a unique school curriculum. We also established the “Life Science Course” in our school curriculum in which we provide students with numerous opportunities for field study. We focused on this because in Japan, the life science field is among the most popular areas for female scientists.
5. Content of our educational program for “Life Science Course”
The Life Science Course incorporates three core elements in order to give students hands-on experience in the natural world: ① Study Workshops which foster students interest in scientific fields; ② Experiments with university researchers; ③ Research assignments. All of these programs are being carried out with the gracious assistance of neighboring university researchers
① Study Workshops
Our program provides a 5-day Field Study Workshop for first year students, and a 4-day study workshop in Okinawa for second year students. A Study Workshop in Borneo is available for students of all grades, if they wish to participate.
At the Field Study Workshop, students learn about the forests and environmental issues from university lecturers and from hands-on research training. Activities include measuring and calculating the amount of carbon dioxide absorbed by an assigned area of the forests.
At the Okinawa Study Workshop, students listen to research workers’ lectures concerning the behavior of local animals such as wildcats and bats. They also have a chance to observe the plants and animals in mangrove forests as well as sea life while snorkeling and kayaking.
At the Borneo Study Workshop, students attend Sabah University where they listen to lectures on plants and animals by resident professors. They also observe the plants and animals of Kinabalu Park(World Heritage) as well as the area along the Kinabatangan River. During this program, our students have the opportunity to interact with Malaysian high school students by giving presentations on their individual research in English.
② Experiments at neighboring universities
In addition to ordinary classes, we visit our neighboring universities which allows our students to gain experience doing experiments with professional researchers. In the classes called “Life Science PracticeⅠ”and “Life Science PracticeⅡ”, our students learn applied life science at a level far beyond the that of high school science textbooks.
For “Life Science PracticeⅠ”we have formed a relationship with Fukuyama University. This relationship makes it possible for our students to get inside the university research laboratories. The students learn the fundamentals of the specialized areas of marine biotechnology and applied biological science.
For “Life Science PracticeⅡ, we have formed a relationship with the Okayama University of Science. There students are able to practice such things as DNA extraction.
③ Research Assignments
Students can choose the research topics from three different groups. I instruct the group of students whose interests are urodele amphibians and yeast.
The aims of our research on the urodele amphibians are as follows: to establish the procedures of artificial fertilization, to raise the ratio of normal hatching, to prolong the capability of eggs and sperm to achieve fertilization, to find the proper density for keeping larvae, feeding them and preventing canibalism.
As for our research on yeast, we are tackling the issues of classifying yeast extracted from flowers and fruits As the yeasts inhabit the different kinds of flowers, analyzing the relations between the yeasts and the flowers may reveal something useful in understanding the ecosystem and related ecological issues. We classify the yeasts in accordance with the shapes observed under microscopes, the DNA arrangements, the electrophoretic karyotyping, and their fermentation capacities.
6. The program’s effects on our students
The SSH (Super Science High School) project offered us the opportunity to build an unprecedented program for female students. Focusing on providing practical “encounters” with nature, our curriculum forces our students to take positive leadership in their research activities, and to develop their presentation skills which are integral for communicating with an international audience. The other favorable effects on our students are shown in the charts below.
This year, our students are not planning to go out to distant areas for their research activities. We have chosen to stay in our local area and take a closer look at natural creatures around our school - our institution stands on a hill surrounded by trees and paddy fields.
Currently, observing the plants on the hill and the creatures inhabiting in paddy fields are among the students’ research assignments. Students are now eager to find out about the behaviors of the local Reeves’s pond turtles and Red-ear sliders. They will employ the “mark-and-recapture method” as well as “biotelemetry”. We would like to further continue providing education focusing on this kind of contact with animals and with nature.
I would like to finish with an interesting bit of information from a survey conducted by Dr. Hishoshi Nakano. In that survey one third of elementary school children answered yes when asked whether they thought dead people could live again. This was reported in newspaper articles, and critics suggested that something was desperately lacking in the education curriculum. What was lacking, many argued, was the ‘Heart-Enriching education’ which is to say the study of life and the living world. But without encountering that living world as it is, such heart-enriching education is simply not possible. I wonder if this is only true with elementary school children. What about junior high school students and high school students? What about college students, and moreover, even adults?
It is my firm belief that in our age, for all generations, real-life encounters with nature are indispensable to our education, and to live our lives as humans.
Shigeharu AKIYAMA, Seishin Girls' Upper Secondary School, Okayama
Society of Japan Science Teaching
SCIENCE EDUCATION MONTHLY
2009/Vol.58/No.689
投稿者: 秋山繁治 日時: 22:30|パーマリンク | コメント (0)
2010年03月29日
東京大学教養学部駒場キャンパスで、高校生対象の科学研究の発表会がありました。本校の以下の発表が優秀賞をいただきました。

花酵母の採取・分離と花の種類との関係
発表者 竹居セラ [顧問 秋山繁治]
【要旨】
酵母は出芽または分裂によって増殖する、球形に近い単細胞の子嚢菌である。パンや清酒用として工業的に利用されたり,遺伝子工学の研究に利用されたり,人間生活に深く関わっている。酵母は嫌気呼吸(嫌気的な条件下では解糖系からアルコール発酵へと代謝が進む)を行い,アルコール発酵を行う代表として教科書で取りあげられている。しかしパン酵母も,好気的条件下では呼吸(TCAサイクル)により多くのエネルギーを得ている。嫌気的条件下では,野生の酵母はすべてアルコール発酵を行うのだろうか。
野生の酵母は,花や果実に比較的多く生息しているといわれる。花をつける植物は蜜を求めてやってくる昆虫によって花粉が運ばれ,その繁殖が助けられている。花の蜜はまた,酵母の増殖にも役立っている。花に生息している酵母は,昆虫の体に付着して別の花へと運ばれ,そこで新たに増殖を開始する。そのため,花の酵母と虫とは,生態学的に緊密な関係にあると予想される。
【目的】
以上のような背景をふまえ,本課題研究では,様々な花を採取し、それらに生息している野生の酵母を分離・採取し,(1)リボソームRNAをコードするDNAの配列や電気泳動核型をもとに,採取した酵母を分類する,(2)花の種と酵母の種との関係を微生物生態学的に解析する,(3)採取した野生酵母のアルコール発酵能の有無を検定する。以上の実験・研究を通して,自然界に存在する微生物のうち,「酵母」に分類される真核微生物の多様性,生態,機能およびその生息する花との関係について考察することを目的とする。
【材料・方法】
今回は2008年10月下旬より2009年6月上旬の間に,二子山周辺や花屋などで採取した64種の花について,柱頭,やく,花びらの中心などを綿棒でこすり取り,分離源とした。分離用の培地にはYPG(Yeast extract 1%,Peptone 2%,Glucose 2%),YPM(Yeast extract 1%,Peptone 2%,Malt extract 2%),PDA(Potato dextrose agar)の3種を用いた。培地にはクロラムフェニコールを最終濃度100g/mlとなるように添加した。分離源を各液体培地に懸濁し,懸濁液を各平板培地にスプレッドして,25〜28℃で数日〜10間培養した。形成されたコロニーの観察と細胞の顕微鏡観察によって、大きさ,形状,色,つやより,酵母と推定されるものを選択し,各々新しい培地に移し,最終的に独立コロニーとして分離した。分離した菌株は染色体DNAの電気泳動核型や18SrDNAの塩基配列によって同定を試みた。また簡易アルコール発酵試験(ダーラムテスト)も行った。
【結果】
現在までに,約60種の花より,菌株約100種を分離したが,実際に酵母と判定できたものは7種であった。顕微鏡観察により,細胞の形状は卵型,楕円型,円錐型,レモン型などであった。大きさは短径3〜5m,長径5〜10mの範囲であった。同一の花から数種類分離される場合と,全く分離されない場合があった。花屋の花や冬に採取された花からは,酵母,カビ,細菌は多くは採取されなかった。また,アルコール発酵能をもつ野生の酵母は採取されていない。数種の分離菌株について,rDNAの塩基配列決定を試みた。
【考察】
現在までに,酵母の分離培養技術はほぼ確立できたと考えている。今回花をサンプリングしたのは,昆虫が頻繁には飛来しない丘の上(倉敷市二子山)である。そのため,低地で花を採取すれば,より多くの菌株を採取できると推測される。また採取場所を固定し(モデル地区を設定し),年間を通じて分離を継続することで,花と酵母の関係をより正確に知ることが可能になると考えている。
投稿者: 秋山繁治 日時: 19:53|パーマリンク | コメント (0)
2010年03月21日
会場は熊本大学で、高校生の発表件数は30件、本校からは2テーマの発表を行いました。発表は偶数番号と奇数番号に別かれ、約45分ずつのプレゼンテーションを、審査員をはじめとして、学会に参加していた大学生、大学院生、大学教授の方々に向けて行いました。発表後、表彰式が行われ本校の「眠る植物と時差ぼけについての研究」が最優秀賞を頂きました。昨年に続いて、2年連続の最優秀賞受賞となりました。

※各受賞校と研究テーマは以下の通りです。
最優秀賞(2件)
長崎県立長崎北陽台高等学校「シロツメクサの維管束の研究」
ノートルダム清心学園清心女子高等学校「眠る植物と時差ぼけについての研究」
優秀賞(5件)
自由ヶ丘高等学校「2種トビムシの総生産量推定について」
長崎県立長崎北陽台高等学校「クロマダラソテツシジミの雌個体における翅表の青色燐粉の発達条件について」
愛媛県立松山南高等学校「ケールとブロッコリーのF1はどのような形質が発現するのか?」(ダイコンコンソーシアム関連発表)
暁高等学校「バッタは炎天下に居られるのか? ~バッタの体温調節~」
長崎県立諌早高等学校「組織培養 ~絶滅危惧種ヒゴダイを救え~」
投稿者: 秋山繁治 日時: 22:23|パーマリンク | コメント (0)
2010年03月05日
晴れの国における男女共同参画社会の構築を目指してをテーマに、2つの講演がされた。一つは、「さんかく岡山における事業推進の現状と課題」と題して、岡山市男女共同参画社会推進センター企画調整監の真邉和美さんが、もう一つは、「理系女性はなぜ少ないか」と題して、SSH事業で女性の理系支援を研究課題に据えた取り組みの紹介をさせていただいた。
投稿者: 秋山繁治 日時: 20:28|パーマリンク | コメント (0)
2009年12月16日
日本理科教育学会の月刊誌「理科の教育」12月号は、体験活動を充実させた教育実践の特集が組まれてる。本校の生命科学コースの取り組みを「実際に”触れること”が科学的思考を育てる」(p22~25)と題して紹介しました
http://wwwsoc.nii.ac.jp/sjst/magazine/m2009/m2009_12.html
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:24|パーマリンク | コメント (0)
2009年11月20日
11月14・15日に、「第53回日本学生科学賞」の中央予備審査が行われ、本校の「眠る植物と時差ぼけについての研究」が、高校の部で全国20位以内に入り、中央最終審査へと進むことになりました。中央最終審査は12月22~24日に東京の日本科学未来館で、ブース発表形式で行われます。
投稿者: 秋山繁治 日時: 13:25|パーマリンク | コメント (0)
2009年11月18日
清心女子高等学校が主催して、10月31日に開催した「第一回 集まれ、理系女子!女子生徒による科学研究発表交流会」の様子が、サイエンス・ニュース・ネットワークのHPで紹介されています。
※ 「集まれ!理系女子第一回女子生徒による科学研究発表交流会」の当日配布したパンフレットのPDFが以下からダウンロードできます。理系進学を考える資料、メッセージ、ポスター発表の題目・発表者、口頭発表の題目・発表者・要旨を掲載したものです。
http://www.nd-seishin.ac.jp/highschool/lifescience/exchange01.html
投稿者: 秋山繁治 日時: 09:32|パーマリンク | コメント (0)
2009年11月01日
ポスター発表58テーマ(中高生48テーマ、女性科学研究者10テーマ)、口頭発表中高生8テーマであった。参加者総数は272名でした。内訳は、発表者182名(高校生150名+引率教員22名+女性研究者10名)・来賓15名・本校教職員15名・当日参加60名(大学関係28名+高校関係4名+保護者18名+その他10名)


森林のCO2吸収量推定の発表

植物の体内リズムの発表

カメの行動追跡の発表

明治学園中学校の口頭発表

島根県立益田高校の口頭発表

広島県立国泰寺高校の口頭発表

清心女子高校の口頭発表

宇野加津子先生の講演
投稿者: 秋山繁治 日時: 18:40|パーマリンク | コメント (0)
2009年09月30日
申し込み状況(2009年9月29日)
実施案内 http://www.sbj.or.jp/news/news_20090826-1.html
【高校生・口頭発表】
① 岡山県立倉敷天城高等学校 加藤成恵 齋藤朱里 滝満里子(江口仁一)
「測量と誤差」
② 広島県立広島国泰寺高等学校 福本洋美 清水彩香(棟田 陽)
「水ロケットの飛行距離の研究」
③ 岡山県立岡山一宮高等学校 岸実奈美 金山千晴(三島誠人)
「植物の子孫を残すための戦略」
④ 明治学園中学高等学校 福永結香(森永香織)
「マダイを主としたスズキ目の顎骨」
⑤ 清心女子高等学校 鈴木美有紀 三宅舞(秋山繁治)
「オオイタサンショウウオの飼育下での効率的な繁殖方法の確立を目指して」
⑥ 島根県立益田高等学校 和崎理恵(毛利裕子)
「卵殻の形状より鳥類と爬虫類の系統関係を明らかにする」
⑦ 武庫川女子大学附属中学校・高等学校 競 和佳、内田 翔子 (坂本正孝 平松山治)
「甲子園浜の渡り鳥」
⑧ 岡山県立玉島高等学校 石井美咲 佐藤萌香 村井文香 山下知香枝(金関美津夫・佐藤重範)
「振り子を用いた重力加速度の測定誤差の解明」
【高校生・ポスター発表】
【数学】
① 金光学園高等学校 高田 帆乃実 筒井 沙季(成田知弘)
「ルービックキューブ」
② 岡山県立岡山一宮高等学校 蜂谷 美晴 何森 詩奈 平田 栞(岡田 裕次)
「数独研究」
③ 岡山県立岡山一宮高等学校 二宮 南 元長 愛(大林 勝志)
「効率的な用紙の貼り方」
【物理】
① 岡山県立天城高等学校 亀岡美咲 新中良美(江口仁一)
「超伝導」
② 清心女子高等学校 廣江瑞季 大村早希 釋 成美 城内瑞穂 田中智子 藤井宏美(藤田八洲彦・宮崎)
「デジタルオシロスコープを使っての磁石の強さの測定」
③ 広島県立広島国泰寺高等学校 福本洋美 清水彩香(棟田 陽)
「水ロケットの飛行距離の研究」
【化学】
① 清心女子高等学校 久保優香,古川礼子,稲見桃子,土佐若奈(山田直史)
「紫キャベツ液に替わる身近な指示薬のスクリーニング」
② 清心女子高等学校 小川紗代子 加藤奈々 杉山舞 中西敦美 西真友子 西原夕理松尾有紗 松本海里(山田直史)
「抗酸化物質がおよぼす、果物電池の内部抵抗への影響」
③ 清心女子高等学校 福井彩,有川知里,貞國麻里恵,吉村瑛美,佐々木麻裕,中村志穂,
日笠美耶,宮本稚子,吉本彩子(山田直史)
「調理がおよぼす、食品中の抗酸化力への影響」
④ 清心女子高等学校 小林美貴 種岡千遥 西美来 野口詩織 野道優衣 原まりか 山本奈央(坂部高平)
「化学物質と濃度による発芽の差異」
⑤ 清心女子高等学校 小林美貴 種岡千遥 西美来 野口詩織 野道優衣 原まりか(坂部高平)
「イオン液体の性質とエステル化反応への利用」
⑥ 玉川学園高等部中学部 安西恵美 谷本 愛実(原 美紀子 渡辺康孝)
「光の吸収と化学構造関係からわかること」
⑦ 玉川学園高等部中学部 都倉直子 中小路 麻衣(原 美紀子 渡辺康孝)
「過マンガン酸カリウム比色法によるCOD測定方法の検討」
⑧ 玉川学園高等部中学部 松尾 彩花(石井 晶 原 美紀子)
「ウコン染めの場合分けによる色合いの違いを考察する」
⑨ 岡山県立玉島高等学校 佐藤梨香(中藤千代雄)
「食品から着色料を取り出す」
⑩ 岡山県立玉島高等学校 流尾真衣(上池栄司)
「食品添加物は本当に必要か」
【生物】
① 宮崎県立宮崎北高等学校 林 里采 藤本めぐみ 本部汐里(西水流 舞)
「大淀川流域周辺におけるミヤコグサの収集とパスポートデータの作成」
② 明治学園中学高等学校 福永結香(森永香織)
「マダイを主としたスズキ目の顎骨」
③ 島根県立益田高等学校 和崎理恵(吉岡淳)
「卵殻の形状より鳥類と爬虫類の系統関係を明らかにする」
④ 清心女子高等学校 清野裕子 竹居セラ 鈴木美有紀 三宅舞(秋山繁治)
「人工林と自然林ではどちらの二酸化炭素吸収能力が高いか 」
⑤ 清心女子高等学校 三宅舞 鈴木美有紀 竹居セラ 清野裕子 堂面結衣 高田たまみ(秋山繁治)
「オオイタサンショウウオの幼生飼育において生存率に影響を与える要因を探る」
⑥ 清心女子高等学校 鈴木美有紀(秋山繁治)
「岡山県内小学校の飼育動物の現状分析」
⑦ 清心女子高等学校 竹居セラ 清野裕子(秋山繁治)
「花酵母の採取・分離と花の種類との関係」
⑧ 清心女子高等学校 高田たまみ(秋山繁治 下岡りり)
「コンクリート化された水田地域のクサガメとアカミミガメの行動」
⑨ 清心女子高等学校 青山真子 荒川好恵 竹入美佳子 末次佳代 永井由子 信江琴音 三村茜 三好悠香(田中福人)
「花の開閉リズムの環境への適応」
⑩ 清心女子高等学校 青山真子 荒川好恵 竹入美佳子 末次佳代 永井由子 信江琴音 三村茜 三好悠香(田中福人)
「植物の時差ぼけについての研究」
⑪ ノートルダム清心中・高等学校 山下智子 西田加奈 上原奈々(唐立裕子)
「アオムシコマユバチの生活史」
⑫ 金光学園高等学校 中野 あや(石井佳恵 有馬佳澄)
「運動と暗記」
⑬ 金光学園高等学校 石本 茉子(平川真太郎)
「スクミリンゴガイの孵化率」
⑭ 玉川学園高等部中学 若林美咲 堤 理紗(森 研堂 福島康弘)
「ザリガニ触覚からのインパルス計測」
⑮ 玉川学園高等部中学部 小林 朝紀(森 研堂 高橋宗良)
「ラットは光の点滅パターンを識別できるか」
⑯ 岡山県立玉島高等学校 宍貝 翔子 (守時 基文)
「サニーレタスの生育に必要な元素」
⑰ 岡山県立玉島高等学校宍貝翔子(守時基文)
「⑰ 岡山県立岡山一宮高等学校 岸実奈美 金山千晴(山崎 淑加)
「植物の子孫を残すための戦略」
⑱ 岡山県立岡山一宮高等学校 岡村 琴江・小野 詩織・菅 礼佳(日笠 修一)
「変形菌の走性」
【地学】
① 明治学園中学高等学校 田中美蘭 村上真映 藤岡夏子(森田珠妃)
「北九州の地層について」
② 市川高等学校 岩崎比菜 井本朱香 山下奈緒子(庵原 仁)
「大川(暗門川)における河床礫の特徴と変化」
③ ノートルダム清心中・高等学校 中田智絵 山崎えりな(唐立裕子)
「学校周辺の地質調査~岩石薄片作成と模型作り」
④ 玉川学園高等部中学部 小山 里実(吉田朱 小林慎一)
「オリオン大星雲の見え方の変化ー明るさを変えて白黒からカラーに見える瞬間を探るー」
⑤ 岡山県立玉島高等学校 原田瑞穂(今村和義)
「活動銀河核の分光観測とブラックホールとの関連」
⑥ 岡山県立玉島高等学校 岡本奈波(今村和義)
「天の川銀河の星の数と分布」
【環境】
① 島根県立益田高等学校 村田美貴子 水津貴子(佐々木典子)
「生物あふれる人工砂浜海岸をつくる」
② 清心女子高等学校 小林美貴 種岡千遥 西美来 野口詩織 野道優衣 原まりか 山本奈央(坂部高平)
「グリーンカーテン」
③ 金光学園高等学校 松枝 春奈 井上 果咲 村上 絵莉子(小畑嘉奈子)
「ミジンコの水質浄化」
④ 岡山県立玉島高等学校 山田悠海(田辺博章)
「水の浄化」
⑤ 武庫川女子大学附属中学校・高等学校 塩川 敦子 田淵 純子 土日 あずさ(坂本正孝)
「パソコンの3R」
⑥ 岡山県立一宮高等学校 政安理沙 松井保子 李瀅妍(安東知之)
「笹ヶ瀬川の水質検査」
【教育活動】
① 武庫川女子大学附属中学校・高等学校 平岡 あや乃 岡 希美 綿谷真未 (曽我 真一)
「井蛙目線の女性雇用問題意見書」
【女性研究者ポスター発表】
① 川崎医科大学 前田 恵
「スギ花粉アレルゲン結合糖鎖の構造解析と花粉症治療薬としての可能性」
② 川崎医科大学 熊谷直子
「アスベスト曝露の細胞傷害性T細胞分化への影響」
③ 岡山大学自然科学研究科生物科学専攻 下岡リリー(村上柳太郎)
「ショウジョウバエ中腸の部域分化におけるHOX遺伝子の役割」
④ 川崎医科大学 清蔭恵美
「嗅球におけるドーパミン系ニューロンは複数にわたる糸球体間の神経回路を形成する」
Dopaminergic periglomerular cells form novel multiglomerular circuits
⑤ 川崎医科大学 簗取いずみ
「ヘムと非ヘム鉄の輸送と代謝」
HEME AND IRON TRANSPORT SYSTEMS IN NON-POLARIZED AND POLARIZED CELLS
⑥ 福山大学工学部建築・建設学科 藤原 美樹
「文学作品にみえる室内意匠」
⑦ 福山大学生命工学部生命工学科 杉原千紗(久冨康資)
「サッカロマイセス科酵母における種多様性と生殖隔離」
⑧ 福山大学大学院生命工学専攻 仲西 彩(原口博行)
「葉緑体の光化学反系Ⅰ・Ⅱにおける光ストレス緩和機構」
⑨ 岡山大学医学部客員研究員・(株)NeoCel技術顧問 小坂美津子
「イモリの再生現象に学ぶ」
投稿者: 秋山繁治 日時: 11:41|パーマリンク | コメント (0)
2009年07月29日
午後は、樹木の測定方法について学んだ。胸高直径、樹高、樹齢を測定する実習を行った。


測高竿による樹高の測定

成長錐を使った樹齢の測定

超音波機器を使った樹高の測定
投稿者: 秋山繁治 日時: 18:34|パーマリンク | コメント (0)
2009年06月09日
昨日は、8個のトラップ(①~⑧の番号))のトラップ④1個だけで6匹のカメが取れた。授業前に、点検に行くとトラップ3個で捕獲できた。トラップ①で、2匹(クサガメ1匹・アカミミガメ1匹)、トラップ⑤で3匹(アカミミガメ3匹)、トラップ⑥で1匹(クサガメ1匹)であった。


トラップ⑥にクサガメ1匹
投稿者: 秋山繁治 日時: 10:53|パーマリンク | コメント (0)
2009年05月20日
岡山市に暮らし活動するすべての人たちの手本になる特色あるESD・環境活動であるということで、「平成20年度ESD・環境活動発表交流会特別賞」をいただきました。受賞理由は、「女性の科学技術分野での活躍を支援できる女子校での教育モデルの構築」を目的に、学校全体が組織と生徒の動きがうまく連動しながら、生きものの”命”をテーマにサンショウウオの保護活動などに取り組んでいること」が評価されました。賞には「女性の視点で命”を大切に楽しみな科学の未来賞」という名前がついていました。表彰式は、6月12日に市長室で行われるということです。生命科学コース2年生2名と教員1名が出席する予定です。


ESD活動の概要を報告
投稿者: 秋山繁治 日時: 13:44|パーマリンク | コメント (0)
2009年05月19日
清心女子大学附属小学校の国際コースの授業を見させていただいた。国際コースでは、恵まれた設備が整えられ、少人数(定員15名)で、英語を使った授業が盛り込まれたカリキュラムになっている。今回は、理科の授業で、外国人講師が主に授業を展開し、日本人スタッフ1がサポートする体制で進められていた。今回、見学させていただいて、語学として英語を学ぶだけではなく、数学や理科という論理的な内容を英語で教えていることが、魅力になっていると思った。


板書もすべて英語

元気よく、答える

質問に対応
投稿者: 秋山繁治 日時: 16:50|パーマリンク | コメント (0)
2009年05月16日
日本動物学会、日本植物学会、日本生態学会合同の”生物系三学会高知大会が、高知大学で開催された。高校生ポスター発表の部に参加し、最優秀プレゼンテーション賞と優秀プレゼンテ―ション賞をいただいた。

■HZP-07(動物分野)
「オオイタサンショウウオの幼生期の生存率に影響を与える原因は何か」
鈴木美有紀,、三宅舞, 竹居セラ, 清野裕子,三村茜、*秋山繁治
【要旨】近年、世界的規模で両生類が激減している。その主な原因として、自然環境の人為的変化や気候の温暖化、ツボカビ病などによる伝染病が考えられている。そのような状況に対して、保護に役立てるという目的で両生類(特に有尾類)の飼育と繁殖に1989年から約20年間、取り組んできた。オオイタサンショウウオについては1997年から孵化から成体まで飼育し、水槽内での繁殖や人工受精にも成功している。
孵化直後から変態までの幼生時は、サンショウウオの飼育過程において特に個体数が激減する時期である。そのため幼生の安全で効率的な飼育を研究目的とし、さまざまな条件下で飼育を行った。今回は密度や餌の与え方などの条件を変えて、個体数の変化や四肢欠損個体の出現率を調べた。その結果、密度が高いほど共食いが起こって四肢欠損個体の出現率が高くなり、死亡率が上昇することがわかった。最終的に、水換えと餌やりが1日1回という飼育条件で最適の飼育方法を見つけることができた。また、これまでの幼生期の観察で、共食い個体(共食いをして巨大化した個体)が出現することが観察されており、これが個体数の激減に大きく影響していると考えられるので、幼生飼育時の行動を高感度カメラで17日間継続して録画し、共食い個体を観察し、行動を分析した。


■HEP-06(生態・環境分野)
「人工林と自然林ではどちらが二酸化炭素吸収能力が高いか」
竹居セラ、清野裕子、鈴木美有紀、三宅舞、永井由子,*秋山繁治
【要旨】多くの生物は酸素呼吸によって二酸化炭素を放出するが、一方で植物が光合成によって二酸化炭素を吸収することによって生態系のバランスが維持されている。近年、化石燃料の消費を中心にした人間の活動によって二酸化炭素排出量が年々増加し、伐採によって森林が急速に減少していることが、自然環境への影響が心配されている。地球的規模で二酸化炭素の吸収する役割という視点で考えると、“森林”はとても重要だと考えられるので、“森林の二酸化炭素吸収能力”を再認識する目的で、2006年から鳥取大学フィールドサイエンスセンター教育研究林「蒜山の森」で、樹木の調査を行ってきた。2006年・2007年はヒノキの人工林で、2008年は自然林で調査を行った。
年輪数から樹齢を、樹高および直径の測定から乾材積を求め、その乾材積から木全体の体積を求めた。また、その質量の2分の1を炭素と仮定し、木全体に含まれる炭素量を概算し、樹齢から1年当たりに固定される炭素量を求めた。さらに日本における1年あたりの二酸化炭素排出量のデータから、そのすべてを吸収するために必要な森林の面積を人工林と自然林でそれぞれ計算した。結果を比較したところ、自然林の方が人工林に比べより高い二酸化炭素吸収能力を持っていることがわかった。自然林は人工林と比べて、樹種が多く、樹高の高低に大きく差があり、その結果として効率よく光合成をおこなって二酸化炭素を吸収していると考えられる。


投稿者: 秋山繁治 日時: 21:05|パーマリンク | コメント (0)
2009年03月22日
【報告】
愛知県を中心とし全部で10校・25テーマの研究が発表され、本校の時間生物学研究班も2つの研究テーマの発表を行いました。発表は奇数番号と偶数番号に別れてそれぞれ1時間15分ずつのポスター発表であり、発表後は質疑応答も行われました。本校以外にもSSH校が参加しており、愛知県立岡崎高等学校、名古屋市立向陽高等学校、名城大学附属高等学校が参加していました。発表後、発表者を含めた参加者による投票により、25テーマのうち5件が最優秀賞、4件がオンリーワン賞、残りが優秀賞として表彰されました。本校の研究は「花時計の作成と花の開閉リズムの解析」が最優秀賞、「カタバミ科2種の就眠運動リズムの解析」がオンリーワン賞を受賞しました。本校の参加者は発表者の2名だけだったので、組織票は期待できないので、純粋に研究内容が評価されたのだと思います。

最優秀賞…投票用紙の「最も良い研究と思われるもの」の項目で多くの票数を獲得した研究が受賞
オンリーワン賞…投票用紙の「オリジナリティにあふれ、今後の進展が特に期待される研究」の項目で多くの票数を獲得した研究が受賞
投稿者: 秋山繁治 日時: 20:19|パーマリンク | コメント (0)
2009年03月14日
岡山理科大学で、女性技術者の講演会があり、その後で研究交流会があった。「校内に生育するマツの比較とマツの気孔の汚れについての調査」と「飼育下におけるオオイタサンショウウオの人工繁殖」をポスター発表した。


「オオイタサンショウウオの人工繁殖」の発表
投稿者: 秋山繁治 日時: 20:48|パーマリンク | コメント (0)
2009年03月08日
岡山ESDプロジェクトや岡山市環境パートナーシップ事業に参加している団体や学校が、お互いに交流し、情報交換する場として、ESD・環境活動交流会”エコ・ワールド・カフェin岡山”が岡山大学創立50周年記念館で行われました(13:00~17:00)。「清心女子高等学校生物部」は、岡山ESDに初期から参加しています。女子の理系進学支援という目的で設定した「生命科学コース」について、生物部の生徒に説明してもらいました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 18:22|パーマリンク | コメント (0)
環境研究発表交流会(主催:岡山大学ユネスコチュア・岡山市・岡山ESD推進協議会)が、岡山大学創立50周年記念館でおこなわれました(9:00~12:00)。内容は、岡山の自然環境や野生生物の現状についての専門家の講演と、中高校生の環境をテーマにした研究交流会で構成されていました。本校からは、科学部が1テーマ、生物部が3テーマのポスター発表をしました。


生物部のポスター
投稿者: 秋山繁治 日時: 17:32|パーマリンク | コメント (0)
2009年03月04日
岡山市立万富公民館で行われた「第4回淡水魚保全シンポジウム岡山大会」(主催 おかやま水辺のいきものネットワーク、淡水魚保全研究会)に参加した。生物部は「オオイタサンショウウオの人工繁殖」のタイトルでポスター発表した。この日は、秋篠宮様が来られており、本校生徒に質問されていた。秋篠宮が来られるということで、会場には厳重な警備体制がひかれていて、ものものしい印象を受けた。

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:19|パーマリンク | コメント (0)
2009年01月24日
オオイタサンショウウオについては、今まで室内での人工受精、水槽内での自然産卵などを行ってきたが、野外で産卵を観察できたのは2回目。1回目はカメラやビデオを携帯していなかったので記録できなかったが、今回はじっくり観察できた。往復で1000km、出かけた甲斐があった。水槽での自然産卵と比較したかたちで、レポートにまとめたい。


産まれた卵嚢に抱きつく雄(中央)
投稿者: 秋山繁治 日時: 23:40|パーマリンク | コメント (2)
2009年01月22日
昨年から、土砂の流入で乾燥化が進んで、カスミサンショウウオが産卵できなくなった場所(玉野市)の復旧作業をしている。春に掘った穴に水が溜まっていたので、今日は、さらに掘り下げるとともに、流出する水路を造成した。あいにくの雨だった。
幼生の放流は今年の春に実施したが。性成熟には最低2年かかるので、今年産卵するとは考えられない。卵嚢が確認できれば、隠れていた成体が産卵にきたものと考えられる。産卵期の調査が必要だ。

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:54|パーマリンク | コメント (0)
2009年01月18日
2003年発行の『水環境学会誌(日本水環境学会)』のVol.26 No.5に投稿した「ため池の脊椎動物(魚と両生類)」から抜粋
両生類の生息については,ため池を含む水田環境が大きく変化したことから派生した影響が大きいことがわかった。また,管理されてきた従来の里山環境が失われてきたことと,人為的な圧力が大きな影響を及ぼしていることもわかった。農業については,担い手が少なく,しかも高齢者が多いことなど社会的な問題も含んでいるので,簡単に元にもどせるものではない。農業のあり方を変えるには,効率化を優先してきた社会システムそのものを再考する世論が必要である。このような状況で,私たちにどのようなことができるだろうか。一番大切なのは「多様な生物が生きられるような環境にしたい」という共通認識を社会全体でもてることである。私は,教員としての立場から,次世代への自然環境の理解を進める教育が「共通認識」に資せる役割は大きいと考える。
岡山県内の中学理科教師(231人)に両生類についてのアンケートを実施したことがある。教科書に載っている,アカハライモリを直接見たのが64.9%,それに対して,教材として利用したのはわずかに3.9%であった。教師自身が見た経験はあっても,実際に授業で使われることは少ない。さらに,高校では,生き物に触れる機会はもっと少ないことが想像できる。身近な生物に触れる自然体験を豊かにすることから,自然への理解が進み,そのことが自然環境へ目を向けさせることにつながるのだと考えている。
そして,「保全」の考えを「影響が少ないようにする」視点から「身近な自然を取り戻す」前向きな視点へと変換して取り組むことが今の大人の世代から次の世代へわたす最大の贈り物になるのではないかと考える。
サンショウウオ類については,トウキョウサンショウウ,カスミサンショウウなどについての生息調査や繁殖実験がなされている。石川県羽咋市では1979年にホクリクサンショウウオを天然記念物に指定して,増殖池の造成などの取り組みもなされている。
投稿者: 秋山繁治 日時: 23:05|パーマリンク | コメント (0)
2003年発行の『水環境学会誌(日本水環境学会)』のVol.26 No.5に投稿した「ため池の脊椎動物(魚と両生類)」から抜粋
最近,各地で「トノサマガエルをあまり見なくなった」などと,よく知られている両生類すら少なくなっているとことを示唆する話を聞くことが多くなった。次に,両生類の生息に悪影響を及ぼす環境について考えてみたい。
まず,最も大きく影響しているのは,水田の宅地化によって水田そのものが減少したことである。さらに,生産効率を上げるための農法の変化や,それに伴う圃場整備の影響も大きい。稲作が機械化され水田に水を張る時期が遅くなり,稲の成育期以外は乾田化された。そして,圃場整備によって水田の区画は大型化され,畦は直線的に区画整理され,水田側溝はコンクリートのU字溝に変わり3方コンクリートの水路に流れ込む排水路の役割に特化した。水路の流れは生物を寄せ付けない速い流れになっている。乾田化によって湿地を失い,水路は生物が棲む場所ではなくなってきているのである。
水田の乾燥化で,湿田を消失したことが大きく影響した例は,絶滅危倶II類(VU)に選定されているダルマガエルがある。トノサマガエルに比べて,足が短くジャンプカが弱いので移動する能力が低く,湿地に住み着くような生活をしてきたので,湿地そのものの減少という変化をまともに受けて激減している。また,サンショウウオ類の産卵には,ため池に近い場所が利用されるが,そのような場所にある水田は人手が入りにくいので放棄されて乾燥化してしまっている。
水田側溝にはコンクリートのU字溝が使われており,陸上と水域を分離する「死のトラップ(落とし穴)」になっている例が報告されている。私自身も,水路工事後の乾燥化した河川の底に卵をもったカスミサンショウウオが死んでいるのを目にしたことがある。工事後数年間は生きながらえた成体が産卵Lにくるが,徐々にその数は減少していくのが常である。また,宅地開発が山際の領域まで進み生息地の一部が埋められ,残された繁殖場所が住宅団地に接してしまっている場合も多い。そのような場所はコンクリートで側面が固められ,排水のためのコンクリート水路が整備されている。
また,自然が残り,カタクリなどの貴重な植物が繁殖する場所は観光地として整備される場合があるが,このような際にも,建物が立てられ,美観のために水路がコンクリート化されるので,地掘りの水路は乾燥したコンクリート水路になってしまっている。
次にゴミの投棄によって生息地が汚染される場合がある。サンショウウオ類の場合,多くの産卵が確認される場所は,まだ開発が進んでいない場所が多い。そのような場所は人里離れた環境であるため不法投棄の場所になりやすい。実際に岡山県内のカスミサンショウウオの生息地でも,冷蔵庫や自転車,バイク,瓦礫などが産卵場所に投げ込まれている状況がある。大型ゴミ引取りの有料化の煽りを小動物が受けている。
さらに,ペットショップにサンショウウオが売られている場合がある。岡山県では,カスミサンショウウオが販売されている。人間のペット指向の多様化を受けて,これまで家庭で飼育されることが少なかった両生類すら乱獲される可能性があるのかもしれない。生活力の強い帰化生物によって,生態系のバランスが崩れ,もともといた日本の生物が減少したり,絶滅したりする。ウシガエル(北アメリカ原産)は食用目的で移入されたが,今では野生化している。目の前に動くものは何でも口に入れることから,他のカエル類なども捕食していることが考えられる。他には,害虫駆除のために移入されたオオヒキガエル(北アメリカ・南アメリカ原産)などの影響も心配されている。
投稿者: 秋山繁治 日時: 23:00|パーマリンク | コメント (0)
2003年発行の『水環境学会誌(日本水環境学会)』のVol.26 No.5に投稿した「ため池の脊椎動物(魚と両生類)」から抜粋
両生類の「両生」とは,陸上でも水中でも生きれるという意味ではなく,陸上と水中の両方がないと生きていけない,つまり陸上生活に移行したものの完全に適応できず,陸上と水中の両方の環境を必要とする仲間であることを意味する。日本に生息する両生類は,大きく分けると,カエル目(有尾目)と,サンショウウオ目(無尾目)に分けられるが,種によって水辺環境の利用の仕方は大きく異なっている。
カエル類では,アフリカツメガエル(アフリカ原産)のように成体になっても上陸しないで,一生を水中で過ごす種もあるが,日本で生息する種はすべて,貯化した幼生は水中で成長するが,成体になると陸上で生活する。成体の生活の場は水辺であって水中ではない。ヒキガエルは典型的で,春に池で産卵すると,次の繁殖期まで水辺を離れてしまう。ニホンアカガエルやこホンアマガエルも,繁殖期が終われば,周囲の草むらや林の中に生活場所を移している。
サンショウウオ類は,大きくサンショウウオ科とイモリ科に分けられるが,サンショウウオ科では,さらに産卵する水辺環境の違いから止水性と渓流性に分けられ
る。ため池周辺の環境を利用するのは止水性の種である。西日本では,カスミサンショウオと絶滅危倶II類(VU)に選定されているオオイタサンショウウオがいる。繁殖期に湧水が流れ込むため池の浅い溜まりや水田側溝(止水)に入り,雌は一対の卵嚢を木の枝などに産みつける。繁殖期以外は陸上で過ごしている。イモリ科では,アカハライモリがよく知られているが,成体になっても水中で過ごすことが多く,冬期も水中の泥の中で数百匹が塊になって過ごしていることもある。
投稿者: 秋山繁治 日時: 22:19|パーマリンク | コメント (0)
2008年11月22日
岡山理科大学主催の「わくわく科学の広場」で、物理・化学・生物といった科学の基本から、ロボット工学や電子顕微鏡といった先端科学技術まで、幅広い分野のイベントを用意されていた。本校の課題研究が夏のSSH生徒研究発表会で科学技術振興機構理事長賞を受けたということで、研究内容の発表の依頼があった。午前と午後の2回、発表を行った。


今回は2年生の山下さんが発表

昼食は大学生の模擬店で

午後の発表の様子
投稿者: 秋山繁治 日時: 20:35|パーマリンク | コメント (0)
2008年10月26日
広島県に残されたダルマガエル3集団の遺伝的特徴
小泉雄紀(広島国際学院大・工・バイオ)・内藤順一(広島県立祇園北高校)・秋山繁治(清心女子高校)・藤谷武史(東山動物園)・佐々木健(広島国際学院大・工・バイオ)・三浦郁夫(広島大・院理・両生類研)
Genetic characterization of the three populations of the endangered Daruma Pond Frog, Rana porosa brevipoda, remained in Hiroshima Prefecture
Yuki Koizumi, Jun-ichi Naitou, Shigeharu Akiyama, Takeshi Fujitani, Ken Sasaki and Ikuo Miura
広島県のダルマガエルについて現在確認されている集団はわずか3集団にすぎない。いずれも、個体数が少なく近交弱勢が懸念され3集団間の相互交配も検討されている。
本研究ではこれら3集団の遺伝的特徴を明らかにする目的で、核由来のSOX3遺伝子、ミトコンドリア由来のCytochrome b遺伝子およびD-loop領域について塩基配列を決定し、3集団同士および他県の集団と比較した。比較には岡山県(瀬戸町)、愛知県(師勝町)の集団および茨城県(潮来市)のトウキョウダルマガエルと広島県(吉舎町)のトノサマガエルを用いた。
その結果、SOX3とcyt bに関しては広島3集団と岡山集団の間に大きな違いは見られなかった。D-loop領域に関してはその反復領域における反復単位の塩基配列と繰り返しパターンに注目した。まず、反復単位は2種類に大別でき、これをタイプA、タイプBとした。広島3集団および岡山の集団ではタイプA、Bともに塩基配列の違いはなかった。一方、愛知の集団には両タイプに加え、タイプAの1塩基欠失型が見られた。トウキョウダルマガエルに関してはA、B両タイプともに変異型のみで、トノサマガエルではタイプBの変異型4種類のみが見られた。反復単位の繰り返し数に関して広島と岡山の集団を比べた場合、安田集団ではタイプBの繰り返し数が多く、岡山ではタイプAの繰り返し数が多いことがわかった。以上の結果、広島3集団は基本的に岡山集団と遺伝的に極めて近いと考えられるが、D-loop領域の反復単位の繰り返し数に違いを確認した。
投稿者: 秋山繁治 日時: 19:29|パーマリンク | コメント (0)
2008年10月24日
学校飼育動物の1999年からの生徒の調査記録を以下のHPで公開しました。
生徒の課題として実施してきたので、1999年は、HTML形式にするところまでがおこなっていたのですが、レポートの提出だけになっていた時期もあり、すべてのデータを公開できる状況ではありませんが、整理できたものだけを掲載しています。2007年度から、課題の与え方や方法を見直したので、徐々に充実させてることができると考えています。2007年度は、岡山県下の小学校、中学校にアンケートも実施させていただいたので、その結果も公開させていただく予定です。
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:27|パーマリンク | コメント (0)
2008年10月03日
期日 平成20年10月31日(金)~11月1日(土)
会場 ノートルダム清心学園清心女子高等学校
岡山県倉敷市二子1200 (JR中庄駅よりJRバス・タクシーで8分)
日程
10月31日(金)
13:30~ 受 付
13:55~14:40 生命科学コース公開授業①
14:50~15:35 生命科学コース公開授業②
15:40~16:10 研究協議
11月 1日(土)
9:00~ 受 付
9:40~11:20 生命科学コース公開授業③
11:30~12:30 記念講演 『理系に行こう』
講師 治部眞里氏(独立行政法人科学技術振興機構)
13:10~13:30 SSH事業概要説明
13:30~15:00 生徒課題研究発表
15:00 閉 会
【具体的な内容】
生命科学コース公開授業(①②は10月31日,③は11月1日)
① 13:55~14:40
1年生 生物Ⅰ「両生類の発生」(高校特別教室棟1階 生物教室)
2年生 化学Ⅰ「有機化合物の性質」(高校特別教室棟1階 化学教室 )
② 14:50~15:35
1年生 実践英語「科学英語」(会議室棟2階 第1会議室)
2年生 化学Ⅰ「有機化合物の性質」(①より継続)
③ 9:40~11:20
1年生 「発生学」(会議室棟2階 第1会議室)
講師 Raj Ladher氏
(発生・再生科学総合研究センター感覚器官発生研究チーム)
生徒課題研究発表(11月1日)13:30~15:00
・森林のCO2吸収量の推定(生命科学コース1年生)
・微小磁石の配列(文理コース2年生・数理科学グループ)
・イオン液体中でのエステル化反応(生命科学コース2年生・化学グループ)
・生物リズムの研究(生命科学コース2年生・時間生物学グループ)
・サンショウウオの人工繁殖(生命科学コース3年生・発生生物学グループ)
投稿者: 秋山繁治 日時: 23:16|パーマリンク | コメント (0)
2008年09月29日
高知市曙町の高知大朝倉キャンパスで開かれている日本植物学会で26日、高知、岡山、香川3県6校の高校生が学会発表に挑戦した。未来の科学者を育てようと企画され、高校生たちは専門の研究者からの鋭い質問に懸命に答え、学会の雰囲気を体験。研究者からは「高校生らしい自由な発想や将来有望な研究もあり面白い」との声が聞かれた。
・・・・
岡山県の清心女子高は、花と葉の開閉メカニズムの解析をした。タンポポの花は、恒暗、恒温条件下でも一定の周期で花の開閉を繰り返すことから、体内時計が開閉を制御していることを発見。一方、カタバミは体内時計だけでなく、光にも反応して複合的に葉の開閉を行うことを見つけた。
・・・・・(2008年9月29日 読売新聞)
投稿者: 秋山繁治 日時: 20:07|パーマリンク | コメント (0)
2008年09月13日
明日8月13日は、清心学園文化祭。廊下にこれまで学会などで発表したポスターを掲示した。当日は、生命科学コースの説明会やSSH課題研究の部屋で、SSH研究発表会での本校の発表を公開する予定にしている。


東側から廊下をみると

有尾類の説明。縦115cm。

学会発表に使ったポスター。縦135cm。
投稿者: 秋山繁治 日時: 09:52|パーマリンク | コメント (0)
2008年09月07日
日本動物学会が、福岡大学で開催された。今回は生徒に発表させる前の下見の意味で出かけた。自分自身はポスターで「サンショウウオの人工繁殖」と題して、オオイタサンショウウオの人工受精と水槽内での繁殖行動の観察をセットで発表した。高校生は最終日にポスター発表が設定されていた。思ったより高校生が気軽に発表できる雰囲気であった。


口頭発表の様子

私のポスター発表

高校生のポスター発表
9月5日ポスター発表P会場
飼育下でのオオイタサンショウウオの人工繁殖
Reproduction of the Japanese Salamander Hynobius Dunni in Captivity
秋山 繁治 Akiyama Shigeharu(清心女子高等学校)
「卵から飼育した成体で繁殖させることを目指して,1997年からオオイタサンショウウオを飼育してきた。同じ飼育条件でも、性成熟には個体差が大きい。10年間の飼育観察から、早いものでは2年目から繁殖可能であることを確認した。繁殖可能な状態に成熟したものの割合は年を経るごとに段階的に増加している。また、受精はゴナドトロピン注射による産卵誘発でおこなったが、卵嚢を水に触れさせていない状態であれば、受精能力を3日以上保持していることも確認した」
投稿者: 秋山繁治 日時: 20:09|パーマリンク | コメント (0)
2008年08月25日
各グループの指導は、(1)は広島大学理学部両生類研究施設・山口大学理学部・川崎医科大学、(2)は岡山大学理学部、(3)は福山大学生物工学部の先生方を中心に協力していただいております。高校の部活動に、それぞれのテーマの専門家と相談しながら研究を進めていけるような大学の雰囲気を持ち込むことを目指しています。高校の勉強は、大学受験のためだけになりがちですが、部活動が大学の研究への接点となって、若い世代の研究者を育てることにつながっていけばよいのではないかと考えています。
本校のSSHの研究課題は「“生命科学コース”の導入から出発する女性の科学技術分野での活躍を支援できる女子校での教育モデルの構築」ですが、120年以上の歴史があり、旧来の女子教育の呪縛から逃れにくい学校が先進的に女子の理系への進学を支援することは、社会の意識を変えるきっかけとして重要であると考えています。女子校の構成者は女子だけなのですから、部活動や実験・実習などすべての教育活動において女子がリーダーシップをとらざるを得ない状況にあります。そのことは逆に言えば、リーダーシップを養成し、積極性を身につけるのに適した環境であるともいえるのではないでしょうか。部活動での研究活動以外にも、“蒜山の森”(鳥取大学)での調査活動、大学に出向いての実習(岡山理科大学・福山大学)、沖縄研修(琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底実験所)、ボルネオ海外研修(マレーシア国立サバ大学)などの自然科学を学ぶ基礎となる教育活動を盛り込んでいます。
女子理系が極端に少ない日本社会にあって、本校生物部での教育活動が、女性の科学分野での可能性を広げる一つの取り組みとして有効であると信じています。


生命科学の実習

マレーシアサバ大学での研修

SSH生徒研究発表会でJST理事長賞
【参考文献】
1)秋山繁治:孵化後実験室内で飼育し産卵したカスミサンショウウオ,両生爬虫類研究会誌,No.41.P1-5(1992)
2)秋山繁治:有尾類の保護を考える,岡山県自然保護センターだより,Vol.14 (3).p2-6(2005)
3)秋山繁治:ため池の脊椎動物・魚と両生類,水環境学会誌,Vol.26 No.5.p18-21(2003)」
4)座談会「女性理系はなぜ少ないか」,大学時報(日本私立大学連盟),No.310.p14-25(2006)
5)秋山繁治:女子の理系進学を支援するSSHの取り組み,理科教育の現状とSSH校実践シンポジウム講演集(日本科学教育学会中国支部),p2-7(2007)
投稿者: 秋山繁治 日時: 11:22|パーマリンク | コメント (0)
(3) 生物工学グループ
高等学校の教科書では,酵母は出芽という無性生殖を行う生物の例として取りあげられていますが、酵母はすべて無性的に増殖するものなのか。また、自然界には多くの酵母が存在しますが,なかには有性生殖を行うものもいるのか、出芽ではなく分裂によって増殖する酵母はいないのか。酵母はアルコール発酵をおこなう例として扱われていますが,野生の酵母はすべてアルコール発酵をおこなうのか、アルコール以外に,私たちの生活に有用な物質を作り出す酵母はいないのかなど、酵母についての疑問点を解決すべく、研究しています。
現在、花や果実に比較的多く生息しているといわれる“花酵母”(野生の酵母)の取得に取り組んでいます。花をつける植物は蜜を求めにやってくる昆虫によってその繁殖が助けられていますが、花の蜜は酵母の増殖にも役立っているのです。蜜の近くで生息している酵母は,花粉と同じように昆虫に付着して別の花へと運ばれ,そこで新たに増殖するわけですから、同じ酵母がいろいろな花に分布していることが予測されます。花の種類と分布する酵母の種類の相関を分析することによって、生態系の理解が深まるのではないかと考えています。
日常的には学校内(それ以外に、鳥取大学蒜山演習林の野外実習や西表島の研修のとき)で開花している花の蜜に近い部分から酵母を採取し、純粋分離し、①光学顕微鏡観察による形態的な分類、②リボソームRNAをコードするDNAの塩基配列や電気泳動核型をもとにした分類,③発酵能力の確認などをして、④酵母の種類を特定する作業を行っています。将来は、⑤花の種と酵母の種との相関の解析,⑥酵母の胞子形成能の確認,⑦性を持つ酵母菌株の検索,⑧人間生活に有用な菌株の発見、などの研究を進めていく予定です。

投稿者: 秋山繁治 日時: 11:07|パーマリンク | コメント (0)
(2) 時間生物学グループ
動物、植物、菌類、藻類など、ほとんどの生物は昼夜のサイクルに合わせて時を刻んでいます。人間が朝起き、昼間働いて、夜は眠るという生活リズムを持つのはそのためです。時間と植物の生理的な現象の関係についての研究で有名なものに250年以上前にカール・フォン・リンネが作った“花時計”があります。しかしながら、現在でも開花時刻を正確にまとめてつくられた花時計は少ないので、周辺に多様な野草が生息しているという自然豊かな本校の環境を生かして、身近な植物を扱ったオリジナルな花時計をつくろうということで研究を始めました。
現在、開花時刻が何によって左右されているのか、開花が体内時計によって行われているのかを調べています。例えば、ムラサキカタバミやタンポポでは、昼間は花を開き、夜間は閉じる現象がみられますが、そのリズムが体内時計によって制御されているかどうかは、生物を昼夜サイクルのない恒常条件にした場合との違いを比較することによって証明できます。さらに、植物のもつ体内時計による花の開閉リズムと葉の就眠運動リズムとの関係性の解析にも着手しています。

投稿者: 秋山繁治 日時: 09:30|パーマリンク | コメント (0)
(1) 発生生物学グループ
サンショウウオ科を含む両生類は,近年その数を激減させています。その原因は,大規模な土地開発による生息地の消失,それにともなう汚水の流入などの環境悪化,水田の乾燥化,ペットとしての捕獲,外来生物の影響などがあります。本校では,1989年から岡山市内のカスミサンショウウオの生息地で,個体数が激減している地域の卵嚢を持ち帰り,卵から幼生上陸直前まで飼育し,放流する活動を行うとともに,飼育下での繁殖にも取り組んできた歴史があります。今までにカスミサンショウウオ・オオイタサンショウウオの2種で飼育下の繁殖に成功しています。
現在、オオイタサンショウウオとカスミサンショウウオを用いて,人工受精の方法の確立と孵化後の幼生の良好な飼育条件を見つけることを目指しています。具体的には、人工受精については、受精後の正常発生率を上げることや、卵や精子の受精能力の保持期間を延ばすことを、そして、幼生の飼育については、飼育密度、餌、共食いの影響などを調べて好ましい条件を見つけることを研究しています。

投稿者: 秋山繁治 日時: 09:20|パーマリンク | コメント (0)
本校は創立120周年を迎えたカトリック系の併設型中高一貫の女子校です。岡山駅から下りの新幹線で南向きの車窓から小高い丘の上にある白い校舎を見つけることができます。倉敷市内にありますが、通学範囲は広く、生徒の79.6%がバスや電車などの交通機関を使って通学し、8.3%が寄宿舎で生活しています。普通科の中に文理コース(高校二年生で文系・理系への進学を選択)と生命科学コース(入学時から生命科学分野への進学に特化)を設定しています。進路は、4年制大学が78%、短期大学が8%で、専修学校を含めて99%が進学しています。
生物部の歴史は、1984年に生物同好会(1997年に部に昇格)として始まったので、今年でちょうど25年目を迎えたことになります。最初は、理科の授業で使うレベルの設備を使って、生徒各々が自分で見つけたテーマを研究して行く形に留まっており、部の特徴となるような継続した取り組みがないという悩みがありましたが、1989年に体育の教師が偶然持ち込んだカスミサンショウウオの卵を産卵するまで飼育した成果が地元の新聞に掲載されたことがきっかけになり、有尾類の飼育と繁殖が中心テーマになりました。さらに、2006年に文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けたので、クリーンベンチやオートクレーブなどの実験機材を整備できたのをきっかけに、SSHの生物分野の研究を中心的に進める部として再出発しました。昨年度から3つのグループに分かれて研究に取り組んでいます。


開花サイクルの記録

サンショウウオの飼育
投稿者: 秋山繁治 日時: 09:08|パーマリンク | コメント (0)
2008年08月05日
口頭発表題目 「サンショウウオの人工繁殖」 1826ノートルダム清心学園清心女子高等学校
1.日本のサンショウウオの現状
両生類の「両生」は、水中でも陸上でも生きられるという意味ではなく、幼生は水中、成体になって陸上で過ごす、つまり、水中と陸上の両方の環境がないと生きていけないことを意味する。両生類は、有尾目(オオサンショウウオ科、サンショウウオ科、イモリ科)と無尾目に大きく分けられる。日本に生息しているサンショウウオ科(サンショウウオと略記)は、18種である。
孵化したサンショウウオの幼生は、鰓呼吸をしながら水中で生息する。変態し肺呼吸ができるようになった成体でも、ほとんど水辺を離れない生活をしている。卵や幼生段階でその多くが他の動物によって捕食されるため、生活史の初期段階生存率は低く、成体になってからの高い生存率と長い寿命が種の存続を維持しているといえる。繁殖可能な成体は、多くの犠牲を払い生き残った貴重な個体ということになる。
2.生物部の研究
人為的な圧力が、世界的な規模で両生類の生存に大きな影響を及ぼしていることが話題になっている。私たちにどのようなことができるか考え、サンショウウオの人工繁殖について研究を始めた。この研究は、カスミサンショウウオ(1989年~)と絶滅危惧Ⅱ類のオオイタサンショウウオ(1999年~)について、“幼生の飼育”と“繁殖方法の確立”を目指して取り組んできた。
“幼生の飼育”…自然界では、捕食・水量の変化・水質などが影響する。幼生の死亡率が高いことから、飼育下で、密度・餌の与え方・共食いの生存率への影響を調べ、人為的に保護する方法を探求した。
“繁殖方法の確立”…水槽での“自然産卵”や飼育個体から卵と精子を採取しての“人工受精”に挑戦した。“自然産卵”には、隠れ家になるような自然を模した環境が必要であることがわかった。また、“人工受精”では、繁殖可能になるまで2年以上必要であることや、卵は摘出後、1日以上受精能を保持することがわかった。
現在、低温条件の影響、成長の性差や雌雄を決定する遺伝子についても実験を進めている。
投稿者: 秋山繁治 日時: 09:44|パーマリンク | コメント (0)
2008年08月04日
SSHに指定されて3年目で、口頭発表とポスター発表がある。今日は最終的なチェックとして福山大学生命工学部の秦野先生、川崎医科大学の西松先生に来ていただいた。本日の意見を参考に、校正して完成させ、明後日は東京に向かう。十分、生徒たちは厳しい指導に耐え、よく頑張っってくれたと思う。


口頭発表の練習風景
投稿者: 秋山繁治 日時: 18:07|パーマリンク | コメント (0)
2008年05月18日
5月17日に生物系三学会中国四国支部大会(in広島大学)が行われ、生命科学課題研究の中の3テーマが研究発表(発表総数51件)を行いました。発表後、動物分野、植物分野、生態分野のそれぞれの分野で、最優秀ポスター賞・1件、優秀ポスター賞2件が発表されました。植物分野で、本校の「植物のもつ体内時計についての研究」が最優秀ポスター賞を受賞しました。

本校の生徒の発表の様子



投稿者: 秋山繁治 日時: 14:20|パーマリンク | コメント (0)
2007年11月18日
以下の日程で行われた。「マイクロチップを使ったアカハライモリの水田付近での移動の追跡の試み(Tracking of Cynopus Pyrrhogaster with micro chip in paddy fields)という題目で、ポスター発表した。
17日(土) 一般講演(口頭・ポスター),懇親会
18日(日) 一般講演(口頭・ポスター),シンポジウム,総会,自由集会
場所が沖縄ということもあってか、昨年より参加者も多く、琉球大学の先生方の尽力もあって活気ある大会になった。


ポスター発表はロビー

教科書検定についての学生の看板
投稿者: 秋山繁治 日時: 21:39|パーマリンク | コメント (0)
2007年11月17日
マイクロチップを使ったアカハライモリの水田付近での移動の追跡の試み
Tracking of Cynopus Pyrrhogaster with micro chip in paddy fields
秋山繁治(清心女子高)
動物の生態調査に、標識再捕法が使われるが、両棲類の標識方法として、カエル類には指切り法がよく使われてきた。この方法はカエル類には有効であるが、イモリ類のように再生力がある動物には使用できない。アカハライモリは腹部の模様による個体識別が行われているが、本研究は、多くの個体を確実に識別できる手段として、マイクロチップを体腔に入れる方法を使った。2001年6月から、岡山県苫田郡鏡野町の河川へ流れ込むコンクリート製側溝がある水田地域で、マイクロチップで標識した個体を放流し、再捕獲した位置を記録した。
調査水田で捕獲数が最も多かったのは、2002年・2003年ともに、積雪が溶けた4月(田に水が張られる前)と積雪前の11月(米を収穫した後)で、側溝(長さ54m)内で1,000匹を越えていた。標識した個体の移動に関しては、側溝内を移動し、側溝から河川の出水口へ流されたものは元の側溝には戻らないと考えていたが、一部戻っていることが確認できた。中でも最も移動したのは、河川の出水口で見つけた個体が70m離れた側溝で確認できたものである。また、約2m高い位置にある土手の道路を挟んで反対側にある水田に移動しているものもいた。アカハライモリは、陸上を移動することによって、水田側溝から河川への出水口に出た場合でも、流されてしまうのではなく、土手や道路を越えた水田地域に移動していることがわかった。なお、2001年に放流した標識個体185匹で、2007年11月に再捕獲できたのは10匹(5.4%)であった。


生物部の生徒もイモリの捕獲調査に協力
投稿者: 秋山繁治 日時: 22:49|パーマリンク | コメント (0)
2007年11月10日
平成16年の助成を受けた研究のうち11件のテーマについて口頭発表が、岡山コンベンションセンターで行われた。「オオイタサンショウウオの教材化について」の演題で発表させていただいた。性成熟及び人工受精について報告した。詳細は、福武教育文化財団教育研究叢書第20集p17-19に掲載されている。

投稿者: 秋山繁治 日時: 20:53|パーマリンク | コメント (0)
2007年09月26日
「中学生・高校生バイオ研究発表会」で日本生物工学会から以下のK-15の発表が”奨励賞”を受けました。

柴田千穂子(2年)・奥智美(2年)・近藤裕季(2年)・長井香依(2年)・樋口智香(2年)・前田祐伽(2年)
秋山繁治(指導教員)・清心女子高等学校(岡山県)
【研究の背景】
高等学校の生物の教科書では,酵母は無性生殖を行う生物の例として取りあげられ,出芽により増殖すると記載されている。多くのキノコ,カビ,そして細菌にも「性」の機構が存在することが明らかにされつつあるが,酵母はすべて無性的に増殖するだけなのだろうか。自然には数多くの酵母が存在するが,その中には有性的に遺伝子交換を行いながら増殖するものはいないのだろうか。また出芽ではなく,分裂によって増殖する酵母はいないのだろうか。
一方,酵母は嫌気呼吸を行い,アルコール発酵を行う代表として取りあげられている。しかし教科書で取り扱うパン酵母も,嫌気的な条件下では解糖系からアルコール発酵へと代謝が進むが,好気的条件下では呼吸(TCAサイクル)により多くのエネルギーを得ている。嫌気的条件下では,野生の酵母はすべてアルコール発酵を行うのだろうか。また,アルコール以外に,私たちの生活に役立つ物質を作り出す酵母はいないのだろうか。
野生の酵母は,花や果実に比較的多く生息しているといわれる。花をつける植物は蜜を求めてやってくる虫によって花粉が運ばれ,その繁殖が助けられている。花の蜜はまた,酵母の増殖にも役立っている。花に生息している酵母は,虫の体に付着して別の花へと運ばれ,そこで新たに増殖を開始する。そのため,花の酵母と虫とは,生態学的に緊密な関係にあると予想される。
【研究の目的】
以上のような背景をふまえ,本研究課題では,清心女子高校のある倉敷市二子山,鳥取大学蒜山演習林,西表島などより,様々な花に生息している野生の酵母を分離・採取し,(1)リボソームRNAをコードするDNAの配列や電気泳動核型をもとに,採取した酵母を分類する,(2)花の種と酵母の種との関係を微生物生態学的に解析する,(3)採取した酵母の胞子形成能を調べ,性を持つ酵母菌株を検索する,(4)採取した野生酵母の働きを調べ,人間生活に有用な菌株が見いだされるか検定する。以上の実験・研究を通して,自然界に存在する微生物のうち,「酵母」に分類される真核微生物の多様性,生態,
機能およびその有用性について考察することを目的とする。
【材料・方法】
今回は2007年5月下旬より9月上旬の間に,二子山周辺で採集した約40種の花について,柱頭,やく,花びらの中心などを綿棒でこすり取り,分離源とした。分離用の培地にはYPG(Yeast extract 1%,Peptone 2%,Glucose 2%),YPM(Yeast extract 1%,Peptone 2%,Malt extract 2%),PDA(Potato dextrose agar)の3種を用いた。培地にはクロラムフェニコールを最終濃度100 g/mlとなるように添加した。分離源を各液体培地に懸濁し,懸濁液を各平板培地にスプレッドして,25~28℃で数日~1週間培養した。形成されたコロニーの,大きさ,形状,色,つやより,酵母と推定されるものを選択し,各々新しい培地に移した。各コロニーを形成している細胞を顕微鏡観察し,酵母と判断されるものについて,再度単コロニー分離を行い,独立コロニーとして分離した。分離した菌株は,分離用培地で作製した斜面培地で,4℃で保存した。
【結果】
現在までに,約40種の花より,酵母と思われる菌株約20種を分離した。顕微鏡観察により,細胞の形状は卵型,楕円型,円錐型,レモン型などであった。大きさは短径3~5 m,長径5~10 mの範囲であった。同一の花から数種類分離される場合と,全く分離されない場合があった。数種の分離菌株につい
て,リボソームDNAの塩基配列決定を試みた。

投稿者: 秋山繁治 日時: 23:47|パーマリンク | コメント (0)
「中学生・高校生バイオ研究発表会」で日本生物工学会から本校のK-14の発表が”優秀ポスター賞”を、K-15が奨励賞を受けた。全体では最優秀ポスター賞が1件、優秀ポスター賞が3件、奨励賞が3件であった。

開花と体内時計との関係
岡部友紀(2年)・田村佳子(2年)・中澤夢加(2年)・安田愛(2年)・渡辺有紀(2年)
田中福人(指導教員)・清心女子高等学校(岡山県)
【研究背景と目的】
時間と植物の生命現象の具体的な話題として花時計がある。最初の花時計として知られているのは250年以上前にリンネが作ったものである。現在でも花時計は作られているが、身近な野草について開花時刻を正確にまとめたものは少ないので、学校のまわりに生息する野草について調べたら面白いと考えた。また、それと同時に、開花時刻が何によって左右されているのか、開花が体内時計によって行われているのかについても非常に興味を持った。本校は倉敷市二子山の上にあり、周辺にはさまざまな野草が生育する。そこで、学校周辺の身近な野草についての花時計の完成と、開花時刻が左右される要因と開花に対する体内時計の存在を解明することを目的とし、実験を行った。
【材料・方法】
4月初旬から7月中旬にかけて、校内に生息するマツバウンラン、ナガミヒナゲシ、アブラナ、セイヨウタンポポ、ムラサキカタバミ、カタバミ、カラスノエンドウの7種の野草の観察を行い、開花時刻が分かるように約一時間間隔で写真撮影を行った。さらに、野外のムラサキカタバミ、オニノゲシ、ヒメジョオンを鉢に植替え、温度25℃、明暗12時間周期の条件下で開花の様子をビデオ撮影した。また、花のついている地上部を切り取り、養分補給のため規定濃度に薄めたハイポネックス中で栽培し、温度25℃、恒明条件下で育成し、開花のようすをビデオ撮影した。
【結果・考察】
野外での観察結果から、カタバミは10時、ムラサキカタバミは11時、セイヨウタンポポは10~11時に開花することが分かった。カラスノエンドウとナガミヒナゲシは詳しい開花時刻は分からなかったが、それぞれ昼過ぎと、夜中から明け方にかけて開花することが分かった(図1)。調査した時期の日の出は5時前であり、それぞれの種の開花時刻と日の出時刻との間には大きな差がある。また、セイヨウタンポポは4月中旬では10~11時に開花し、16~17時に閉花したが、5月中旬では8時前に開花し、15時過ぎに閉花した。4月中旬の平均気温は15~16度であり、5月中旬の平均気温は18~19度であったので、温度が開花時刻に大きく影響していると考えられる。しかし、個体を鉢に植替え、温度一定条件下で観察を続けた結果、オニノゲシは7~11時半にかけて開花し、ヒメジョオンは9時から11時にかけて開花、16~18時にかけて閉花し、ムラサキカタバミは8~14時半にかけて開花、16~1 7時30分にかけて閉花することが観察された。つまり、開花時刻は温度変化によって前後し、開花そのものについては体内時計が存在することが示唆された。
投稿者: 秋山繁治 日時: 22:02|パーマリンク | コメント (0)
2007年05月20日
生物系三学会中国四国支部大会で、19日の高校生のポスターでは、生命科学コースの前田さん、安田さん、渡邊さんの3人が発表し、20日の植物学会の口頭では、田中福人先生が発表した。生徒は、優秀プレゼンテーション賞を受賞した。


説明している安田さん。
高校生ポスター題目”ヒノキによる二酸化炭素吸収 量の推定”
(前田佑伽、安田愛、渡邊有紀、秋山繁治 清心女子高等学校)
【要旨】
地球上の多くの生物は酸素呼吸をして二酸化炭素を放出しているが、 その二酸素化炭素の多くを植物が吸収することによって生態系が維持さ れていると考えられる。近年の伐採によって、急速に森林が減少してい ることの生態系や地球環境への影響が心配されている。今回、樹木が二 酸化炭素をどのくらい吸収しているかという視点で森林を調査し、ヒト に換算して何人分の二酸化炭素を吸収できるか推定した。
調査地は、鳥取大学フィールドサイエンスセンター教育研究林「蒜山 の森」のヒノキ人工林である。年輪数から樹齢を、樹高および直径の測 定から幹材積を求め、その幹材積から木全体の質量を求めた。また、そ の質量の2分の1を炭素と仮定し、木全体に含まれる炭素量を概算し、 樹齢から1年あたりに固定される炭素量を得た。次に日本におけ る1年あたりの二酸化炭素排出量のデータから1人当たりの炭素排出量 を求め、木の炭素量を1人当たりの炭素排出量で割った。その結果、調 査したヒノキ林1ヘクタール当たり、日本人約5.5人分の二酸 化炭素を吸収することが分かった。


田中先生の口頭発表の題目は、”GISH実験の間期核シグナル強度データに基づくゲノム近縁度の予測の試み”
投稿者: 秋山繁治 日時: 22:44|パーマリンク | コメント (0)
2006年10月22日
広島大学で、10月21日・10月22日の二日間、日本爬虫両棲類学会が開催された。約150人。


学部前の”ニュートンのリンゴ”についての看板
口頭発表が54題、ポスター発表が38題であった。口頭発表は、Powerpointを使った発表が圧倒的に多かった。2001年がスライド発表が基本的だったことを考えると時代はパソコン時代に移行したといえるのではないだろうか。

広島市安佐動物園の桑原先生から、両棲類が感染する病気として”ツボカビ病”が世界的に猛威を振るっているという報告があった。もし、この病気が日本に入ると、両棲類の生息に危機的な打撃をあたえることになるので警戒が必要だと訴えていた。
投稿者: 秋山繁治 日時: 23:18|パーマリンク | コメント (0)
飼育下におけるオオイタサンショウウオの繁殖
Reproduction of the Japanese Salamander Hynobius Dunni in Captivity
秋山繁治(清心女子高)
繁殖技術の確立は、研究材料とする際に重要であると同時に、種の保護を講じるためにも必要である。オオイタサンショウウオ(大分県国東市産)について、卵から飼育した成体での繁殖を目指して1997年から飼育してきた。飼育個体(2005年2月230匹・2006年2月194匹)の体重・体長・頭胴長を記録し、2006年2月から3月に人工授精にも取り組んだ。体重・体長・頭胴長の記録から、性成熟は、同じ条件で飼育しても、個体差が大きく、成熟したものの割合が年を経るごとに段階的に増加しいく形で進んでいくものであり、早いものでは2年目(成熟個体の割合27%)で成熟することもあるが、増加率が4年目までが大きく、その後小さくなるので、4年目(成熟個体割合92%)で成熟に達することがわかった。また、雄の性成熟の方が早いこともわかった。人工授精にはゴナドトロピン(HGC)注射を用いた。雌は、注射後約3日で卵嚢を排出できる状態になる。2006年は、2年目1匹、3年目8匹、4年目13匹、5年目13匹から卵嚢を採取した。9年目の雌でも性徴が見られることから、9年間は産卵が可能であることも確認した。精子は、雄にHGC注射後、3~4日後に腹部を搾れば精子が採取できる。人工授精は、水に触れさせていな状態の卵嚢に、精子を塗り、その後注水する方法でおこなった。今回の人工授精での正常発生率は最高で9.9%であり、野外での正常発生率(調査地2006年調査96.3%)と比べて、明らかに低いものであった。さらに正常発生率をあげる方法を確立したい。
爬虫両棲類会報第2007巻第一号p59-60掲載
投稿者: 秋山繁治 日時: 18:19|パーマリンク | コメント (0)
2006年10月18日
(1) 講演会および交流会の開催
清心女子高等学校、岡山理科大学附属高等学校女子生徒をはじめとした近隣の高等学校女子生徒および教員、保護者を対象として、講演会を行う。講師は2名で、1名は学外から招聘する。学外講師には女性の理系進路選択に関する全般的な話と講師自身のキャリアパスや研究内容について講演していただく。もう1名の講師は岡山理科大学理学部臨床生命科学科講師の工藤芳子で、臨床検査技師の技能を生かした国際貢献(途上国における臨床検査システムの構築の援助)について講演していただく。
講演会終了後に交流会を実施し、参加女子生徒に講演会講師および岡山理科大学女性教員・女子学生と交流してもらう。
外部講師は以下の方に確定しました.
治部 眞里(じぶ まり) 文部科学省 科学技術政策研究所 上級研究官
日程は12月16日(土)の午後になりました.
(2) 水質調査に関する出張講義の実施
清心女子中学校および清心女子高等学校の生徒を対象として水質調査に関する出張講義を行う。川の汚れという身近な題材を扱うことで環境科学に関心を持ってもらうと同時に、川の汚れを知るにはある程度の科学的素養が必要となることを理解してもらう。また、事業3(笹ヶ瀬川水質一斉調査)、事業4(生徒主体の水質調査)の内容を紹介し、参加者を募る。
<講義内容>
環境問題を考える原点は、地域社会を構成する個々の住民の環境に対する意識にある。例えば、近くを流れる川が汚れているかどうかが気になれば、まず、考えるよりも川に出かけてウオッチングした方がよい。ウオッチングの仕方にも色々あるが、その1つに水質の測定がある。どのようにして測定すればよいのかといった心配はいらない。今では、パックテストなどを用いて簡単に測定する方法が開発されている。得られた測定結果をどのように判断すればよいか。それを周りの人に説明してわかってもらうにはどうすればよいか。このような話を中心に講義を行う。
(3) 笹ヶ瀬川水質一斉調査への参加
事業2(水質調査に関する出張講義)で川の汚れに対する関心をもった生徒に、「岡山理科大学環境教育地域支援研究会」が大学生・高校生・中学生・地域ボランティアなどと協働で行っている笹ヶ瀬川水質一斉調査(春と秋)の秋の部に参加してもらい、自ら測定をしていただく。
(4) 生徒主体の水質調査の指導
事業3(笹ヶ瀬川水質一斉調査)に参加して測定手段を体得した女子生徒のうち、自分たちで、さらに近隣の河川等についての化学的・生物学的水質調査を行うことを希望する生徒に対して、「岡山理科大学環境教育地域支援研究会」のメンバーの教員を中心として、その調査計画などの指導を行うとともに、その実施についてバックアップを行う。この調査は清心女子高等学校および清心中学校の科学部部員が中心となって行われる予定であり、科学部の活性化も期待できる。
(5) 水質管理室見学の実施
事業6(分子生物学実習の実施)の参加者に、本学に設置されている水質管理室の見学を行う。水質管理の仕事で活躍する女性職員が見学を担当することにより、ひとつのロールモデルを提示する。
(6) 分子生物学実習の実施
清心女子高等学校生徒を対象として、分子生物学関係の実習を行う。実習前に、DNAとはどのようなものか、細胞内での存在、化学構造、複製、働きについて講義を行なう。また、DNAを研究することで、何を知ることが出来るのか、基礎と応用の両面から説明する。実習では、DNAの抽出、増幅、断片化、塩基配列の決定などを行う。
(7) 医用科学教育センター見学の実施
事業6(分子生物学実習の実施)の参加者に、生命科学の応用としての医用科学について興味を持ってもらうために、岡山理科大学の敷地内にある加計学園医用科学教育センターを見学してもらう。医用科学教育センターには、人工心肺装置、人工呼吸器、人工透析装置、超音波画像診断装置など臨床工学技士を養成するための最新の医療機器が完備されている。医療機器に直接触れ、動作を体験してもらう。
(8) 臨床検査技師実習・見学の実施
事業1(講演会および交流会)の参加者のうちの希望者などを対象として、臨床検査技師に関する講義、実習、交流会、および、病院見学を行う。講義では、「臨床検査」という仕事および臨床検査技師という資格について講義で説明する。実習では、血液スライド標本による形態の学習などにより、臨床検査と生体について理解を深める。交流会では、昼食を兼ねて講師および臨床検査技師を志す女子学生との交流会を行う。病院見学では、岡山市内の大規模病院内にある検査室を見学する。
(9) 女子院生による高校での授業補助
岡山理科大学の女性の大学院生等が、清心女子高等学校の生物・化学実験を扱う授業で実験操作の指導を行う。理系に進学し、研究活動にも携わっている女子大学院生が高等学校での教育活動に関わることによって、身近な理系のロールモデルを提示する。
(10) 効果の検証および啓蒙活動
本業務の効果を検証するため、各事業(事業1~9)の後に参加者に感想等を書いてもらう。また、清心中学校および清心女子高等学校の生徒を対象として、全事業の開始前および終了後に進路希望等のアンケート(2回とも同じ質問項目)をとり、意識の変化を調べる。
より広い対象への啓蒙活動として、事業の報告、参加者の感想、女子中高生の理系進路選択を支援する情報などを掲載したホームページを作成する。また、報告書を近隣の中学校・高等学校等に配布する。
投稿者: 秋山繁治 日時: 21:25|パーマリンク | コメント (0)
科学技術人材養成等委託 女子中高生理系進路選択支援事業
題目「環境科学と生命科学を中心とした女子中学校・女子高等学校との連携」
目的・概要 我が国における科学技術分野への女性の進出は欧米諸国と比べて著しく遅れており、「科学技術創造立国」日本を支える人材供給の観点から、また、男女共同参画社会形成の観点から、その是正は急務であると言える。岡山理科大学は、本年度採択された「女子中高生理系進路選択支援事業」において、主に女子中学校・女子高等学校との様々な連携事業を行うことを通じて、この問題の解決に寄与したいと考えている。
女子中高生に対して理系進路選択支援事業を行う場合、中学校および高等学校と全面的に連携して授業や学校行事に組み入れた形で行うことが効率的であるが、男女共学校だと女子生徒のみに特化した行事(特に授業)を行うことは難しい面がある。その点、女子校の場合は連携事業が自動的に女子生徒のみを対象としたものとなる。また、女子高等学校は一般に文系色が強い場合が多いので、これを変革することには特別の意義がある。幸い、岡山県には本年度よりスーパーサイエンスハイスクールに指定され本格的に理科教育に力を入れつつある清心女子高等学校があり、清心女子高等学校および系列校である清心中学校(女子校)が全面的に我々と連携する意思があることが確認できたので、両校との連携を中心に事業を展開していきたい。同時に、本学の関連校である岡山理科大学附属高等学校および近隣の高等学校とも可能な部分で連携を進めたい。
今回の事業は、連携の条件が整っている環境科学分野と生命科学分野にある程度特化した形で進める予定である。本学には「岡山理科大学環境教育地域支援研究会」という教員組織があり、中学校・高等学校と連携して地域の河川の水質調査等を行ってきた。これまで清心女子高等学校および清心中学校はこのようなタイプの取り組みを本格的には行っておらず、先方も連携に意欲的である。また、生命科学はもともと女子生徒に人気のある分野である。本学には生命科学に関係する学科が多数存在し、それらの学科には大学院生を含む女子生徒が多数在籍していることも好条件である。
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投稿者: 秋山繁治 日時: 21:08|パーマリンク | コメント (0)
2006年06月29日
生徒と水田で調査をして、”赤いカブトエビ”がいるということで、よく見ると体全体に赤が目立つ。メラニン色素がない・・・、つまり、「アルビノ」だろうか。


全体的に赤色が目立つ。
投稿者: 秋山繁治 日時: 22:06|パーマリンク | コメント (1)
2006年06月27日
二子の校舎の坂道を下ると、水田が広がっている。清心中学・高校は、マスカット球場や川崎医大が近いので、少しは都会化と思われるかもしれないが、実は緑に恵まれた環境に立地している。つまり、田舎にある。生物の一時間の授業内に水田で生物を捕獲し、教室に持ち帰ることも可能である。


注意深く観察。実物は感動をよぶ・・。

タッパーに入れられた獲物たち。
投稿者: 秋山繁治 日時: 11:47|パーマリンク | コメント (0)
2006年06月26日
カイエビに卵を確認したが、ホウネンエビもよく見ると、尾部近くの管の中に卵が確認できる。


雄の第二触角。交尾期に雌をつかむ器官。
投稿者: 秋山繁治 日時: 20:10|パーマリンク | コメント (0)
2006年04月01日
■海外研修をただの観光旅行にしたくなかった
最近では、生徒も教師も海外へ出かける機会が多くなった。その原因は、国外への修学旅行や海外研修、海外視察などが増えたこともあるが、家族で海外へ行くことが多くなったこともあると思う。また、学校でも、いろいろな国からの留学生や教師に接する機会も増えた。現在本校にも、外国人の英会話教師が三人いる。十数年前、本校に勤め始めたとき、アメリカ人教師にとまどっていた自分が、いまでは彼らとスポーツを楽しんだり、英語の表現でわからないところを尋ねたりするようになり、自分自身の感覚も変わっている。
投稿者: 秋山繁治 日時: 17:15|パーマリンク | コメント (0)
山陽新聞 「談論風発」のコーナー 2002年12月朝刊
岡山県性教育協議会で、教師対象の性教育についてのアンケートを行ったことがある。「性教育が必要ですか」という質問に、 97%が「必要である」という答えであった。その理由については、全体的には「自分を大切にして欲しい」という、生徒への直接的な要望をあげているが、男性や年齢の高い世代では「性道徳の低下」という社会への影響を理由としてあげる比率が高くなっている。
この背景には教育活動についての考え方に性別や世代によって大きな違いがあることを示している。教育活動を個人の幸福に帰着させるものと考えるか、または教育活動を社会に対する役割を果たすものと考えるか、の違いを表している。前者から見れば、後者は個人を大切にする視点を欠いているととらえられるし、逆に後者から前者をみれば、個人主義だととらえられることになる。
性教育の必要性は多くの教師が認めているが、性別や世代によって求める方向が異なり、そのことが性教育を進めにくくしている。
小冊子「ラブアンドボディ」
性教育が必要だといわれながら、なかなか進まない状況で、中学生に必要な性の基礎知識を与えるということで、全国の中学生に「思春期のためのラブ&ボディBOOK」(母子衛生研究会作成)という小冊子を配布する計画がなされ、話題になった。
配布直前になって、「ピルの勧めになる」「コンドームの使い方を中学生に教えるのはゆきすぎだ」などの意見が出され、結局、配布は中止にされた。しかしながら、一方で「寝た子を起すな」的な考えでは、現状に対応できないとし、配布すべきだったという意見が今もある。
今、高校3年生の性交体験者は4割を越し、未成年の中絶者が年々増えている状況を考えると、私自身は「避妊を教えることが、性交をすすめる」と危惧するより、学校教育で必要な性の基礎知識を的確に与えることを優先したいと思う。
広い視点で性教育を考える
「中絶をする」、「望んでいないのに出産・子育てをする」ということは、避けるべきである。そのために性の知識を的確に教えることが必要である。しかしながら、性教育を生命尊重の視点だけで考えて欲しくない。
性については、「女子高生の性の乱れ」と表現されるように女性の性経験ばかりに好奇の目を向け、中絶や望まない妊娠などで「傷つくのは女だけだ」といわれるように、男女で非対称的な意識の歪みが現在でも存在し、また、同性愛などの性的なマイノリティに対する偏見も根深い。
性教育は、性のあり方によって差別されない社会をつくっていく役割も担っていかなければならない。自分自身の人権意識を高め、そして、最終的に、生徒が自分自身で考え、どのように行動するかを選べる力(自己決定力)を持つようになることを願って性教育に取り組みたい。
総合的な学習のテーマに「性」
来年度から高校でも新教育課程が始まり、「総合的な学習」の時間が盛り込まれ、今までの教科の枠を越えた授業が誕生する。「総合的な学習」を、人間として生きる力を身につけるために設定するなら、「性」も大きな一つのテーマになるのではないだろうか。
山県性教育協議会 秋山繁治
投稿者: 秋山繁治 日時: 17:15|パーマリンク | コメント (0)
2005年8月 現代性教育研究月報vol.23,No.8,p1-5.(PDF)
■はじめに
中学校では2002年度、高校では2003年度から学年進行で、「総合的な学習の時間」が実施されている。生徒が自ら学び自ら考える力や学び方やものの考え方などを身に付けさせ、問題を解決する資質や能力などを育むことを目的にするということであったが、文部科学省の義務教育に関する意識調査(2005)で「総合的な学習の時間」について、中学校の教員の過半数が否定的な評価をしていることが分かった。57%が「なくすべき」としている。否定する理由は、「基礎的・基本的な学習がおろそかになる」、「教科との連携が不十分で学力が身に着かない」など学力低下を懸念するものが多かった。また、高校の教員でも、ベネッセ総研の調査(2003)で、約6割が、否定的な評価であった。「生徒の個性が伸ばせる」という点について、「あまりそう思わない」と「全然そう思わない」を合わせると64.6%。「生徒が興味関心を持つ」に63%、「生徒に自ら考えさせる力をつける」に56%が否定的であった。そして、指導方法について、「どのようにやったらよいのかわからない」が69.7%であった。
今、多くの教員が総合学習という新しい枠組みに対して、従来の教育観で捉え、不要論を唱える中で、私自身は、高等学校の「総合的な学習の時間」の枠は横断的な学習ができる点で、大きな可能性をもっていると考えている。そして、「性」を中心にすえた展開によって、人間関係の希薄化する社会で、「生きる力」を育てる教育が実践できるのではないかと考えた。今回は、「総合的な学習の時間」の導入に先駆けて、本校独自の自由選択科目「発展科目」(高2対象2単位)の枠の中で1999年度から開講している授業「生命」について報告したい。
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投稿者: 秋山繁治 日時: 17:15|パーマリンク | コメント (0)
2006年03月29日
アカハライモリの貯精嚢精子の季節変動
秋山繁治(清心女子高等学校,山口大学・理工・自然共生)・岩尾康宏(山口大学・理工・自然共生)
アカハライモリ(Cynops pyrrhogaster)の雌は雄から受け取った精包(精子)を貯精嚢内に蓄え,産卵時に未受精卵を総排出腔内で受精させる。産卵期は4月から7月であり、この時期に配偶行動が見られる。
一方、秋(10月頃)にも配偶行動がみられ、晩秋からホルモン注射によって雌は受精卵を生む。
これらは,雄から雌への精子の受け渡しが本来の繁殖期以外にもおこなわれている可能性や,渡された精子が雌の貯精嚢中でかなり長期間にわたり受精能を保持していることを示唆している。今回、貯精嚢中の精子数の変動、卵巣及び精巣組織の季節変化を詳しく調べ,ホルモン注射による産卵誘導により貯精嚢中の精子の受精能保持期間の確認をおこなうことで、有尾両生類での体内受精のしくみを詳しく
調べた。 岡山県上斎原村の河川と水田側溝に生息する個体群を1999年9月から2000年9月まで調査した。卵巣重量は産卵期の4~5月に最大となったが、精巣重量は精子形成中の8~9月に最大となった。10月頃から輸精管の精子を放出できる雄個体が見られた。雌の貯精嚢の精子数は繁殖期後の8月から10月にかけて最も少なくなった。5月に受精卵を産んだ雌を12月まで雄から隔離して屋外で飼育した場合,新たに受精卵を産むことはできなかったので,夏期に貯精嚢内の精子は受精能を失うと考えられる。一方,野外から採集した雌は冬期にもホルモン注射により受精卵を生むので,雌は秋の配偶行動で精包を取り込んでいると考えられる。5月に受精卵を産んだ雌を低温(4℃)で保存すると12月に受精卵を生んだので,低温下では精子は7ヶ月以上受精能を保持すると考えられる。これは秋に受け取った精子が春まで受精能を保持できることを示している.一方,4月でも貯精嚢に精子が見られない雌を確認したので,より確実な受精のために春に新たに受け取った精子が使われるものと考えられる。
投稿者: 秋山繁治 日時: 16:05|パーマリンク | コメント (1)
清心女子高等学校 秋山繁治
生態調査の方法
生態調査では,標識再捕法がよく使われてきた。標識再捕法は,調査地域の個体群の一部を捕獲し,標識をつけてから放し,再捕獲して,再捕獲したときの標識個体の割合から全体を推定する方法としてよく知られている。また,一定の時間を経過した後の再捕したときの位置情報から,移動方向や距離を調べることによって,季節移動のパターンなどを調べるのに使われてきた。標識は,昆虫では頭部や翅の一部に印をつけたり,ヘビでは鱗の一部を切断したり,カメでは甲羅に穴をあけたりする。両生類のカエルでは,指切り法(Toe Clipping:左右前肢及び左右後肢の指を切断して個体識別する方法)がよく使われてきた。この標識法の他に,最近になって,マイクロチップを埋め込む方法,色素を注入する方法(注1),発信機を装着する方法などの新しい手法が開発されてきている。
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投稿者: 秋山繁治 日時: 16:05|パーマリンク | コメント (0)
2004年11月17日
生物分科会主催の生物研究会を、平成16年11月17日(水)、私立清心女子高等学校を会場として開催させていただいた。参加者は45名で、その内容は、午前は研究授業と研究協議、午後は山口大学理学部自然情報科学科の岩尾康弘先生を講師にお招きして、「両生類の受精と卵割の分子メカニズム」というテーマでの講演(写真1)であった。全体的な計画は、「両生類の発生」を扱った研究授業で、両生類の初期発生の観察、その胚を用いての歴史的な実験(シュペーマンの結紮実験)に取り組む生徒の姿を見ていただき、その後で、大学の研究者から最近の発生生物学の研究成果とその技術の今日的な利用などについて情報を得るという、一日を通して両生類を集中的に扱うことによって、両生類についての理解を深めていただける研究会になることを目指した。

①アカハライモリの種としての特徴及び生態について紹介
雌雄の区別、春の繁殖期と冬の越冬期の野外での様子と繁殖行動を紹介した。積雪下の溜りで「イモリだま」と呼ばれるくらい多数のイモリが群れているシーンや、一連の配偶行動(配偶行動の後、雄が産み落とした精包を雌が受精嚢に取り込み、卵は総排出腔から産卵する直前に精子を受け取り受精する)の面白さ、そして、貯精の仕組みや受精のさせ方などに興味を示した生徒が多かった。
②初期胚の観察及びスケッチ
アカハライモリの卵は直径約2mmあるので、カエルの卵に比べて観察しやすい。今回は、観察に生きた胚を用いた。発生過程の中で2細胞期や4細胞期は時間的に短いので、ちょうど授業時間内に観察できるようにするには、周到な計画を要するが、固定胚の観察に比べて比較にならないほど生徒の感動は大きいと実感した。透明なゼリーを通して、はっきりと発生段階が確認できる。今回の授業では、スケッチに十分な時間が取れなかったのが残念であった。
③発生過程の全体像の把握(映像教材を利用)
教科書や副教材の図や実体顕微鏡による観察だけでは、時間の経過に伴う胚の変化は把握できないので、今回作成した“早まわし”の映像(写真2)を利用した。作成したAviファイルを
パソコンソフト(Media Player)で再生すると、タイムスケール上に時間進行の位置が表示されるので、 初期発生(桑実胚まで)がいかに早く進んでいるかを提示できる。また、考察で、映像に表示された時刻を使って、それぞれの発生段階(2細胞期、4細胞期、神経胚)にどれくらいの時間を要したかを計算させ、数値化することによって、発生の理解をより深めることができると考えた。
映像を見て、あらためて「図説と同じだ」と改めて声を上げる生徒もいたので、動きをある映像によって、発生過程のイメージを実感するのに役立ったことが想像できる。また、考察の計算については、動きのある映像から発生段階を判断する際にずれがあり、そのことが反映して数値的なばらつきはあったが、ほとんどの生徒は計算を完了し、初期の段階に要する時間が短いことは理解していた。
④胚の結紮実験
シュペーマンは胚の結紮に毛髪を用いたが、今回は絹糸で代用した。絹糸は3本の糸をよっているので、それを解いて、そのうちの1本を取り出して使う。最初に、糸でイモリの卵より少し大きめのループをつくり、その中央に卵をはめ込むように入れ、それから糸をピンセットで引っ張るようにして縛ればればよい。授業では15分しかなかったので、成功した生徒は1割程度だった。放課後にもう一度試みた生徒も数人いたことから、生徒にとっては好奇心をそそる実験だったようである。
投稿者: 秋山繁治 日時: 22:07|パーマリンク | コメント (0)
2004年01月01日
カスミサンショウウオと分布が重なる止水性のものとして、大分県を中心に熊本県と、大きく離れた高知県の一部に隔離して分布しているオオイタサンショウウオがいます。環境庁のレッドデータブック(※)の「絶滅の危険が増大している種」という絶滅危惧種2類(VU)にあげられている種で、生物地史を考えていく上で重要なものと考えられています。カスミサンショウウオより体が大きく、全長が10~16cmあります。また、尾の上下に黄色い縁取りはなく、全体的に緑がかった褐色をしています。卵嚢は大きく、外膜がしっかりしており、カスミサンショウウオのものと区別できます。
投稿者: 秋山繁治 日時: 17:42|パーマリンク | コメント (0)
2000年にだされたレッドデータブック(※)に京都・大阪地域の個体群が「絶滅のおそれのある地域個体群(LP)」として、保護の対象に取り上げられています。その原因は大規模な土地開発による生息地の消失と、それにともなう汚水の流入などの環境悪化、減反による 水田の乾燥化、そして、ペットとしての捕獲、アメリカザリガニや外来の捕食性魚類による捕食などがあげられていますが、このような状況は、保護対象となった個体群だけでなく、各地の止水性サンショウウオを取り巻く状況でもあります。
水田側溝のコンクリート化が進み、コンクリート製のU字溝が、陸上と水域を分離する「死のトラップ(落とし穴)」になっている例が報告されています。私自身も岡山市湯迫で、乾燥化したコンクリート水路の底にカスミサンショウウオの死体を見つけたことがあります。産卵場に使われていた素掘りの水路は乾燥したコンクリート水路になってしまうと、工事後数年間は、生き残った成体がしばらくは産卵にきますが、徐々にその数は減少していくのが常です(写真13,14)。


写真14.工事後:コンクリート化された水路
次にゴミの投棄によって生息地が汚染される場合があります。産卵に使われる場所は、人里離れた環境であることが多いのですが、そんな場所ほど不法投棄の場所になりやすいのも事実です。実際に岡山市内の産卵場所に、冷蔵庫や自転車、バイク、瓦礫などが投げ込まれている状況があります(写真15)。大型ゴミ引取りの有料化の煽りを小動物が受けているのです。

さらに、岡山市内でもペットショップでカスミサンショウウオが売られていました。人間のペット指向の多様化を受けて、これまで家庭で飼育されることが少なかった両生類すら乱獲される可能性があるのです。
人里に近い環境に棲んでいるがゆえに、近年、道路や水路の工事や圃場整備などの人間の生活に関するものの影響を受けて、生息地を激減させているサンショウウオの保護を考えていくと、効率化を優先してきた現代社会とのシステムそのものの問題点までみえてくるかもしれません。
※環境庁編。2000.改訂・日本の絶滅のあるおそれのある野生生物 -レッドデータブック- (爬虫類・両生類).120pp.
投稿者: 秋山繁治 日時: 17:42|パーマリンク | コメント (0)
アカハライモリの受精は、貯精嚢に貯えておいた精子を使った体内受精であると述べましたが、有尾類の約90%の種は体内受精をしています。両生類というと、カエル(無尾類)を思い浮かべられることが多いですが、体外受精をし、幼生として変態するまでの時期を水の中で過ごし、陸に上がって性成熟に達するというのは、今回紹介しているカスミサンショウウオを含むサンショウウオ科とオオサンショウウオ科だけです。
また、アカハライモリは、多精(一個の卵に多くの精子が入っていくタイプ)だと紹介しましたが、カスミサンショウウオはカエルと同じように、単精(一個の卵に一個の精子が入るタイプ)です。受精した卵は、卵膜の中で、卵割(細胞分裂)をして、2個、4個、8個、16個と細胞を増やしていき(写真9)、表面が滑らかなボールのようになった後で、それぞれの細胞が大きく動き出して神経、目、外鰓をつくり、幼生になっていきます。産卵後、3~4週間で卵膜を破って、卵嚢内を動くようになります。孵化した幼生は、イモリの幼生と同じくバランサー(平均体:幼生期の初期に身体の平衡を取る役割をする)をもっていますが、2週間程度で脱落します(写真10)。幼世紀は主に小さな水生昆虫などを食べて変態に向けて成長していきますが、動くものであればなんでも噛みつくため、幼生どうし共食いをすることも多く、自分たちの仲間を栄養源の一部にしています(写真11)。


写真10.外鰓やバランサーができている状態

写真11.孵化を始めた幼生
幼生は、6~8月に変態して陸上生活に移行します(写真12)。飼育下で2年目から産卵が見られたことから、孵化後2年程度で性成熟し、産卵場に出現すると考えられます。幼体、成体は昆虫やクモ、ミミズなどの小動物を捕食しているようです。冬期は、瓦礫や朽木、腐食土の下で越冬しています。

投稿者: 秋山繁治 日時: 17:37|パーマリンク | コメント (0)
カスミサンショウウオの成体は、繁殖場所である水田側溝や湧水が流れ込む水溜まりの周辺の林床で生活しています。地中のミミズやモグラなどの掘った穴を利用しています。夜行性で、地中で生活しているので、日常生活で出会うことはめったにありませんが、その姿を見かけるとすれば、繁殖期に産卵場所に集まってきたときです。
産卵は、県南部では2~3月で、県北部では4月が最盛期になります。県北部の上斎原村や西粟倉村のように残雪があって水温が上がらない地域では、5月になって産卵がみられる場合もあります。流れがないか弱い、そして水温が安定した場所を選んで、毎年同じ場所を産卵に利用します(写真4)。
産卵場所に訪れるのは雄が先です。県南部の備前市で、最盛期より随分早い1月1日に水中に潜んでいる雄を見つけたことがあります。気の早い雄は12月でも産卵場に現れて、雌をまっているのかもしれません。この時期は、雌雄ともに尾幅が広くなり、尾長も長くなります。特に雄の変化は顕著で、頭幅が大きくなり、尾がひれ状に見えるほど著しく変化をする個体もあります。
水中に入り、繁殖場所にたどり着いた雄は落ち葉などの堆積物の下、植物の陰、泥の穴、石の下などに縄張り(テリトリー)をつくり、水中でじっと雌が産卵にくるのを待ちます。近づいてくる雄には、「噛み付く」、「吻端でつつく」、「尾を激しく振る」などの行動をします。捕獲した雄の尾に傷をしたものが多くみられるのは、縄張り争いの結果かもしれません。産卵直後の卵嚢近くで雄を見つけることが多いのは、その場所で縄張りをつくっているからです。
雄は他の個体に出会うと、吻端を相手に近づけ、雌のときには尾や体全体を硬直させたよう姿勢で、ピクピクと振動させる行動をします。この行動で雌は雄が近くにいることを判断していると考えられます。雄に刺激された雌は、植物の根や茎、枯れ枝、石などにしがみつき、総排出腔開口部をおしつけるようにしながら卵嚢の端(ゼリー状のもの)を付着させてから、身体を離していきます。卵嚢の端は産卵後しばらくの間だけ接着力があるので、接着された部分を支点にして、房になったバナナ状の卵嚢を対にした形で産卵します(写真5、6)。県南部では一卵嚢に直径2~3mmの卵が30~60個入っています。卵嚢の形や含まれる卵数については、地域によって差があり、岡山県上斎原村で産卵されたもの(写真7)では、15~30個、北九州市のもの(写真8)では、一卵嚢に80~120個の卵が入っています。


写真6.産卵直後の卵嚢(玉野市)

写真7.カスミサンショウウオの卵嚢(上斎原村)

写真8.カスミサンショウウオの卵嚢(北九州市)
産卵が近くなると、雌の総排出腔付近から誘引物質(フェロモン)が分泌されるようで、雄の動きが急に激しくなり、誘引物質が付着した卵嚢を抱えるような姿勢で放精し、受精させます。産卵後10分程度で積極的に抱きつくような行動をしなくなるので、誘引物質が水溶性物質でできており、拡散して効果を失ってしまうと考えられます。産卵前の雌は、卵が卵巣から体腔に排出されているので、腹部をみると黒い卵の粒が見えるのに対して、産卵後の雌は痩せたような状態になっているので、産卵前か後かの区別ができます。雌は産卵を終えると陸上に上がっていきますが、雄はその場所に残って、次の繁殖の機会を待ちます。水中で雌をまっている期間はほとんど餌を採らないので、繁殖期の終わりには体重は減り、尾幅、頭幅がしだいに小さくなり、やがて繁殖場所を離れていきます。
投稿者: 秋山繁治 日時: 17:00|パーマリンク | コメント (0)
カスミサンショウウオについて
現在、岡山県にはサンショウウオ科の仲間が4種類生息していますが、カスミサンショウウオは県南部の児島半島から県北部までに最も広く分布しています。サンショウウオ科には、池や沼、湧水の水溜まり、緩やかな流れの淀みなどに産卵する止水性の種と、山地の流れの激しい渓流で産卵する流水性の種がありますが、カスミサンショウウオは西日本の代表的な止水性の種であり、岡山県では止水性の種はこの種だけです。
カスミサンショウウオは、全長は成体で7~11cm、雄(写真1)の方が雌(写真2)より体がやや大きいです。体色は暗褐色から黄褐色で、脇腹に霞のような斑点と尾の上下に黄色の縁取りがあるのが特徴ですが、地域による個体差が大きく、特徴の現れていないものもいます。県南部の標高300m以下の低地に棲むものと、標高600~1000mの県北部の高地に棲むもの(写真3:高地型)で、外部形態や卵嚢に違いがあるようです。


写真2.産卵前の雌(佐伯町)

写真3.高地型のカスミサンショウウオ(上斎原村)
投稿者: 秋山繁治 日時: 16:47|パーマリンク | コメント (0)
2003年05月10日
特集「身近な水辺、ため池の現状と保全」で、”ため池の脊椎動物(魚類と両生類)”を書かせていただきました。

投稿者: 秋山繁治 日時: 13:12|パーマリンク | コメント (0)
2002年07月01日
イモリについて
「イモリ」は、漢字で「井守」と書きますが、「井」が「井戸」や「水田」を表すことから、「井戸を守る」「水田を守る」の意味で名付けられたといわれてきました。井戸や水田付近で多くみることができたからその名がついたのでしょう。現在でもイモリは池や水田側溝、小川のゆるやかな流れの所、山地の湿地、といった水辺周辺で生息しています。体長(全長)は成体で雌が10~13cm、雄がやや小型で8~10cm。本州から九州まで広く分布していますが、日本固有種のアカハライモリの北限地である下北半島がイモリ科全体の北限にもなっています。岡山県では、県中部から北部にかけて多く分布しています。
投稿者: 秋山繁治 日時: 16:30|パーマリンク | コメント (4)
1999年10月12日
はじめに
文部省の調査によると、平成9年3月末で、高等学校でのコンピュータ普及率は100%、校内LANの設置も60%を超えている。文部省の2001年までにすべての学校をインターンネットに接続するという方針を受けて、全国的に公立・私立を問わず、コンピュータ設置台数を充実させる動きがでてきている。本校でも1997年度から整備が始まり、1998年4月の段階で、2つのコンピュータ教室に合計で48台の生徒用コンピュータを整備した。独自のサーバーを設置して専用線でインターネットに接続できる環境も整えた。今年後からは、これを利用して、高校1年生に「国際情報」という授業が週1時間行われている。本報告は、本校の情報教育のこれまでの経緯と、1年間の「国際情報」の授業について報告したい。
1.授業「国際情報」の誕生
文部省は、1998年7月の教育課程審議会答申を受けて、1998年12月14日、中学校学習指導要領を告示し、2000年度からの移行措置を経て、2002年度から全面実施するとし、高等学校については本年度中に告示を行い、2003年度から学年進行で実施するとしている。2002年度からの完全学校週五日制に対応して、学ぶ総量を減らしたうえでカリキュラム編成の自由化をすすめた内容になっている。「自由化」、「スリム化」、「コンピューター」が、改定の特徴を表すキーワードになっている。
本校でも、独自に教育改革のためのプロジェクトチーム(1994年7月から1996年8月)を組織し、これまでの教育内容の再検討を行い、新学習指導要領の改定が告示される直前の1998年度から教育課程を大きく改定した。そして、コンピュータとインターネットを取り入れた授業「国際情報」と自由選択科目「発展科目」(高校の学習範囲を超えた内容を生徒自身が選んで学習する授業で、広範囲な内容を含んでいる)が誕生した。「コンピュータ導入は受験指導の邪魔になる」とか、「授業の枠を超えた授業は冒険的過ぎる」という意見もあったが、新指導要領での「情報」と「総合的な時間」の誕生が追い風になり、1998年度から年次移行で実施されることが決定した。
2.情報教育を取り巻く状況
勤務校に私が赴任した翌年(1984年)から、本校の入試処理がコンピュータによって行われるようになった。当時は、BASICで組んだプログラムで、約1000人の成績処理と印刷をして、慣れない作業で夜中までかかることがあった。あれから15年経った現在では、入試処理だけでなく、生徒の個人成績処理や通知票・成績伝票の作成にいたるまで多くの場面で利用されるようになった。定期テストの問題もワープロソフトを使った活字になった。今やコンピュータが誰もが利用する道具になろうとしている。ここで、簡単にコンピュータの歴史を振り返ってみたい。
一般の人々にコンピュータというものが身近に意識されたのは、ほぼ20年前である。1980年頃に、理系やメカ好きの人々を中心にコンピュータがブームになった。8bitから16bit機へ移行したころである。NHKでもコンピュータ講座が放送され、N-BASICというコンピュータ言語で、どのようにしてプログラムを組むかが放送された。当時、シュミレーションに取り組んだ教員もいたが、実際には成績処理や入試処理などへの利用に限られていた。過大な期待があったが、多くのコンピュータが埃を被った状態になったのではないだろうか。1995年にOSとしてWindows95がリリースされてから、再びコンピュータのブームがやってきた。Windows95では、Windows3.1時代から大幅に変更され、視覚的に操作しやすいGUI(Graphical User Interface)が取り入れられ、普及していった。「使いやすさ」を標榜してWindows95は登場した。発売日の1995年11月23日の深夜、秋葉原では購入者が店先に行列をつくり盛り上がりをみせた。しかしながら、盛り上がりに相当するほどに画期的にコンピュータが利用しやすくなったかというと、そうでもなかった。そのため付属のマニュアルだけではわかりにくいと、初心者向けのOSの解説書やWindows95対応のアプリケーションソフトの解説書、雑誌が数多く出版されるようになった。NHK教育で『親子で入門千葉麗子のインターネット』(1997年7月から8月)、『ホームページはむずかしくない』(1998年7月から8月)、さらに、興味はあっても、どのように取り組んだらよいかわからないしりごみしていた先生対象に『しりごみしている先生のための実践インターネット講座』(1998年7月)という番組が放送された。また、1996年頃から、研究者が通信手段として利用していたインターネットが、画像や音も情報交換できるようにということで一般の人々に利用されるようになった。書店にも、コンピュータ書籍のコーナーが設けられ、インターネット、コンピュータ機器、プログラム言語に関する雑誌や単行本が目立つようになった。
インターネット技術を含むコンピュータの進歩は、学校教育にも影響を与えていった。「国際化」と「高度情報化」をキーワードにして、コンピュータ教育を学校教育に取り入れるべく、6年間にわたる自治体による公立学校へのコンピュータ整備計画(1996年度~)や通産省や文部省による「100校プロジェクト」(1994年度)、NTTによってインターネット接続設備、資金、技術を支援する「こねっと・プラン」(1996年度~)が進められた。また、第15期中央教育審議会一次答申(1996年7月)の中でも、初等中等教育段階での情報通信ネットワークの活用を本格的に進めるべきだとしている。
インターネットを教育に利用する財政的な措置については、1998年度から計画的にインターネット接続を開始し、2001年までに、すべての学校をインターネットに接続できるようにするとある(1999年1月の文部省ニュース)。具体的には、公立学校のインターネット利用にかかる通信費及びインターネット利用料等(1999年度に中学校は1校あたり年額132000円、高等学校は年額152000円)が地方交付税により支払われる。また、私学についても、マルチメディア助成や特色教育モデル校などで財政的な援助をが行われている。
情報教育の教育課程を考える上で基本になる学習指導要領でも、教育改革に向けて情報教育に前向きである方針がうかかえる。1998年11月18日に、中学校新指導要領改定案が発表されたが、E-MAILの利用まで含んだコンピュータの学習が「中学校技術・家庭科」に必須で盛り込まれていた。また、高等学校でも、新しく「情報」(2単位必修)が新設される。
また、地方の行政でも情報教育を推し進める動きがある。岡山県では、1998年10月に、高速インターネット情報網「情報ハイウェー」に全県立高校79校を接続された。対象の全生徒と教職員57、000人にE-Mailのアドレスを配布し、学校間の交流に活用するとしている。県立高等学校のホームページについては、1997年10月から全高等学校で立ち上げられている。
3.インターネットのもつ性質
コンピュータを使った授業を「情報教育」として位置付けるのに、インターネットは大きな役割を果たした。ここでは、インターネットというネットワーク・システムとは何か、そして、それがどのような性質を持っているのかを再確認したい。
インターネットは、「Internet」と表記するが、「Inter(相互に)」と「Net(Networkingの略)」で、「世界中のすべてのコンピュータをつなぐコンピュータ・ネットワーク」という意味である。地球上のあらゆるコンピュータと相互に接続できる環境がインターネットであるから、今では、誰でも接続すれば様々なサービス(ダウンロード、メールの交換、ネットサーフィンなど)を受けることができるようになった。しかし、元々は、一般人のコミュニケーションのために生まれたものではなく、アメリカで軍事用ネットワークを作る研究から生まれたものである。中央のホストコンピュータが壊れれば全体が不能になる「集中型ネットワーク」ではなく、一部が破壊しても、残ったコンピュータでネットワークを存続させることができるように考えられた「分散型ネットワーク」でとして開発されたのである。したがって、「分散型」であるという性質上、ネットワーク全体を総括する管理者がいないという性質をもっている。それゆえ、いろいろな情報が制御されることなく自由に流れている。また、当初の利用目的は研究者間によるテキストでの情報交換であり、現在のように商品売買に使うことなどは考慮されていなかったのが事実である。セキュリティなどの問題もある。TCP/IP(通信上の約束)を基盤にした通信が、新しい通信手段として優れていたから一般の人々が使うようになったというものである。また、HTMLやブラウザソフトにしても、優れていたがゆえに結果として世界的な標準になったのであり、徐々に環境が整い標準化し、世界中に広がっていった。
それゆえ、現在でもいろいろな問題点を含んでいる。システムへのウイルスの感染の危険、有害情報へのアクセスする危険、著作権の侵害、などがあるが、特に、情報発信の面での注意が必要である。インターネットは「通信」の範疇に入ってはいるが、1対1の「通信」という枠を越えて、不特定多数に情報を発信するという「放送」的な色彩を持っている。したがって、放送(=情報発信)する場合、その責任も問われる場合もあるということである。
1998年度の大学入試でグループ討議に、「学校教育でのインターネットの利用において、教育上悪影響を及ぼすような情報にアクセスできないように制限することについてどう思うか」というテーマを扱った大学があったという。情報の受け方や発信のし方そのものも、インターネットを教育の中で扱う際の問題となってくる。インターネットは、管理者がいないがゆえに、国境を越えるコミュニケーションの手段になった。教育は、規制で対応するのだろうか。
投稿者: 秋山繁治 日時: 22:24|パーマリンク | コメント (0)
はじめに
文部省の調査によると、平成9年3月末で、高等学校でのコンピュータ普及率は100%、校内LANの設置も60%を超えている。文部省の2001年までにすべての学校をインターンネットに接続するという方針を受けて、全国的に公立・私立を問わず、コンピュータ設置台数を充実させる動きがでてきている。本校でも1997年度から整備が始まり、1998年4月の段階で、2つのコンピュータ教室に合計で48台の生徒用コンピュータを整備した。独自のサーバーを設置して専用線でインターネットに接続できる環境も整えた。今年後からは、これを利用して、高校1年生に「国際情報」という授業が週1時間行われている。本報告は、本校の情報教育のこれまでの経緯と、1年間の「国際情報」の授業について報告したい。
1.授業「国際情報」の誕生
文部省は、1998年7月の教育課程審議会答申を受けて、1998年12月14日、中学校学習指導要領を告示し、2000年度からの移行措置を経て、2002年度から全面実施するとし、高等学校については本年度中に告示を行い、2003年度から学年進行で実施するとしている。2002年度からの完全学校週五日制に対応して、学ぶ総量を減らしたうえでカリキュラム編成の自由化をすすめた内容になっている。「自由化」、「スリム化」、「コンピューター」が、改定の特徴を表すキーワードになっている。
本校でも、独自に教育改革のためのプロジェクトチーム(1994年7月から1996年8月)を組織し、これまでの教育内容の再検討を行い、新学習指導要領の改定が告示される直前の1998年度から教育課程を大きく改定した。そして、コンピュータとインターネットを取り入れた授業「国際情報」と自由選択科目「発展科目」(高校の学習範囲を超えた内容を生徒自身が選んで学習する授業で、広範囲な内容を含んでいる)が誕生した。「コンピュータ導入は受験指導の邪魔になる」とか、「授業の枠を超えた授業は冒険的過ぎる」という意見もあったが、新指導要領での「情報」と「総合的な時間」の誕生が追い風になり、1998年度から年次移行で実施されることが決定した。
2.情報教育を取り巻く状況
勤務校に私が赴任した翌年(1984年)から、本校の入試処理がコンピュータによって行われるようになった。当時は、BASICで組んだプログラムで、約1000人の成績処理と印刷をして、慣れない作業で夜中までかかることがあった。あれから15年経った現在では、入試処理だけでなく、生徒の個人成績処理や通知票・成績伝票の作成にいたるまで多くの場面で利用されるようになった。定期テストの問題もワープロソフトを使った活字になった。今やコンピュータが誰もが利用する道具になろうとしている。ここで、簡単にコンピュータの歴史を振り返ってみたい。
一般の人々にコンピュータというものが身近に意識されたのは、ほぼ20年前である。1980年頃に、理系やメカ好きの人々を中心にコンピュータがブームになった。8bitから16bit機へ移行したころである。NHKでもコンピュータ講座が放送され、N-BASICというコンピュータ言語で、どのようにしてプログラムを組むかが放送された。当時、シュミレーションに取り組んだ教員もいたが、実際には成績処理や入試処理などへの利用に限られていた。過大な期待があったが、多くのコンピュータが埃を被った状態になったのではないだろうか。1995年にOSとしてWindows95がリリースされてから、再びコンピュータのブームがやってきた。Windows95では、Windows3.1時代から大幅に変更され、視覚的に操作しやすいGUI(Graphical User Interface)が取り入れられ、普及していった。「使いやすさ」を標榜してWindows95は登場した。発売日の1995年11月23日の深夜、秋葉原では購入者が店先に行列をつくり盛り上がりをみせた。しかしながら、盛り上がりに相当するほどに画期的にコンピュータが利用しやすくなったかというと、そうでもなかった。そのため付属のマニュアルだけではわかりにくいと、初心者向けのOSの解説書やWindows95対応のアプリケーションソフトの解説書、雑誌が数多く出版されるようになった。NHK教育で『親子で入門千葉麗子のインターネット』(1997年7月から8月)、『ホームページはむずかしくない』(1998年7月から8月)、さらに、興味はあっても、どのように取り組んだらよいかわからないしりごみしていた先生対象に『しりごみしている先生のための実践インターネット講座』(1998年7月)という番組が放送された。また、1996年頃から、研究者が通信手段として利用していたインターネットが、画像や音も情報交換できるようにということで一般の人々に利用されるようになった。書店にも、コンピュータ書籍のコーナーが設けられ、インターネット、コンピュータ機器、プログラム言語に関する雑誌や単行本が目立つようになった。
インターネット技術を含むコンピュータの進歩は、学校教育にも影響を与えていった。「国際化」と「高度情報化」をキーワードにして、コンピュータ教育を学校教育に取り入れるべく、6年間にわたる自治体による公立学校へのコンピュータ整備計画(1996年度~)や通産省や文部省による「100校プロジェクト」(1994年度)、NTTによってインターネット接続設備、資金、技術を支援する「こねっと・プラン」(1996年度~)が進められた。また、第15期中央教育審議会一次答申(1996年7月)の中でも、初等中等教育段階での情報通信ネットワークの活用を本格的に進めるべきだとしている。
インターネットを教育に利用する財政的な措置については、1998年度から計画的にインターネット接続を開始し、2001年までに、すべての学校をインターネットに接続できるようにするとある(1999年1月の文部省ニュース)。具体的には、公立学校のインターネット利用にかかる通信費及びインターネット利用料等(1999年度に中学校は1校あたり年額132000円、高等学校は年額152000円)が地方交付税により支払われる。また、私学についても、マルチメディア助成や特色教育モデル校などで財政的な援助をが行われている。
情報教育の教育課程を考える上で基本になる学習指導要領でも、教育改革に向けて情報教育に前向きである方針がうかかえる。1998年11月18日に、中学校新指導要領改定案が発表されたが、E-MAILの利用まで含んだコンピュータの学習が「中学校技術・家庭科」に必須で盛り込まれていた。また、高等学校でも、新しく「情報」(2単位必修)が新設される。
また、地方の行政でも情報教育を推し進める動きがある。岡山県では、1998年10月に、高速インターネット情報網「情報ハイウェー」に全県立高校79校を接続された。対象の全生徒と教職員57、000人にE-Mailのアドレスを配布し、学校間の交流に活用するとしている。県立高等学校のホームページについては、1997年10月から全高等学校で立ち上げられている。
3.インターネットのもつ性質
コンピュータを使った授業を「情報教育」として位置付けるのに、インターネットは大きな役割を果たした。ここでは、インターネットというネットワーク・システムとは何か、そして、それがどのような性質を持っているのかを再確認したい。
インターネットは、「Internet」と表記するが、「Inter(相互に)」と「Net(Networkingの略)」で、「世界中のすべてのコンピュータをつなぐコンピュータ・ネットワーク」という意味である。地球上のあらゆるコンピュータと相互に接続できる環境がインターネットであるから、今では、誰でも接続すれば様々なサービス(ダウンロード、メールの交換、ネットサーフィンなど)を受けることができるようになった。しかし、元々は、一般人のコミュニケーションのために生まれたものではなく、アメリカで軍事用ネットワークを作る研究から生まれたものである。中央のホストコンピュータが壊れれば全体が不能になる「集中型ネットワーク」ではなく、一部が破壊しても、残ったコンピュータでネットワークを存続させることができるように考えられた「分散型ネットワーク」でとして開発されたのである。したがって、「分散型」であるという性質上、ネットワーク全体を総括する管理者がいないという性質をもっている。それゆえ、いろいろな情報が制御されることなく自由に流れている。また、当初の利用目的は研究者間によるテキストでの情報交換であり、現在のように商品売買に使うことなどは考慮されていなかったのが事実である。セキュリティなどの問題もある。TCP/IP(通信上の約束)を基盤にした通信が、新しい通信手段として優れていたから一般の人々が使うようになったというものである。また、HTMLやブラウザソフトにしても、優れていたがゆえに結果として世界的な標準になったのであり、徐々に環境が整い標準化し、世界中に広がっていった。
それゆえ、現在でもいろいろな問題点を含んでいる。システムへのウイルスの感染の危険、有害情報へのアクセスする危険、著作権の侵害、などがあるが、特に、情報発信の面での注意が必要である。インターネットは「通信」の範疇に入ってはいるが、1対1の「通信」という枠を越えて、不特定多数に情報を発信するという「放送」的な色彩を持っている。したがって、放送(=情報発信)する場合、その責任も問われる場合もあるということである。
1998年度の大学入試でグループ討議に、「学校教育でのインターネットの利用において、教育上悪影響を及ぼすような情報にアクセスできないように制限することについてどう思うか」というテーマを扱った大学があったという。情報の受け方や発信のし方そのものも、インターネットを教育の中で扱う際の問題となってくる。インターネットは、管理者がいないがゆえに、国境を越えるコミュニケーションの手段になった。教育は、規制で対応するのだろうか。
投稿者: 秋山繁治 日時: 22:24|パーマリンク | コメント (0)
1999年08月05日
第29回全国性教育研究大会要項p40-43(1999.8.7発表)
パソコンを使った「国際情報」と発展科目「生命」の授業実践
(情報収集を取り入れた性教育の総合的な学習)
清心中学校・清心女子高等学校 教諭 秋山繁治
はじめに
1996年頃から、岡山県内の私学では校名変更・共学化、公立では11年度からの学区制の変更に先立っての教育課程変更などを含む「特色づくり」の試みが話題になるようになった。本校でも、独自に教育改革のためのプロジェクトチーム(1994年7月から1996年8月)を組織し、これまでの教育内容の再検討を行い、新学習指導要領の改定が告示される直前の1998年度から教育課程を大きく改定した。そして、コンピュータとインターネットを取り入れた授業「国際情報」と自由選択科目「発展科目」(高校の学習範囲を超えた内容を生徒自身が選んで学習する授業で、広範囲な内容を含んでいる)が誕生した。「コンピュータ導入は受験指導の邪魔になる」とか、「従来の教科の枠を超えた授業は冒険的過ぎる」という意見もあったが、新指導要領での「情報」と「総合的な時間」の誕生が追い風になり、1998年度から年次移行で実施されることが決定した。本報告では、授業「国際情報」と発展科目「生命」での、性教育に関わる授業実践について紹介したい。
なお、本校は、カトリックの中高6年一貫教育の女子校である。1999年度の生徒数は、中学校が542名、高校が770名で、進路は、4年制大学が83%、短期大学が11%で専修学校を含めると97%が進学している。
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投稿者: 秋山繁治 日時: 16:29|パーマリンク | コメント (0)
1999年05月31日
清心中学校・清心女子高等学校紀要No.13,p33-117(1999.5.31)掲載
清心中学校・清心女子高等学校の展望
アンケート「西暦2000年に清心学園は何を提供できるか」から将来を考える。
清心女子中学校・清心女子高等学校プロジェクトチーム代表 秋山繁治
■はじめに
1995年7月から1997年8月、本校では、「清心中学校・清心女子高等学校の展望」を考えるプロジェクトが計画された。今回は、そのプロジェクトの中で実施されたアンケートを中心に、教育改革の方向についてまとめたい。
今回のプロジェクトまで、教育内容などについての本格的なアンケートが実施されたことはなかった。今までの教育活動の見直しとともに、学校教育の構成者である教職員・生徒・保護者の意見に耳を傾けることも必要と考え、計6回(本校教員対象4回、生徒対象4回、保護者対象2回)を実施した。教員対象アンケートの内容は、①生徒会・生徒指導②教育課程 ③宗教教育・広報・入試・進路④行事であった。アンケートの内容は、メンバー8人がテーマ別に分担して試案を作成し、会議で検討及び校正を加えて完成した。実施後は、2回に分けて夏季研修会(1996年8月30日と1997年8月29日)で結果を報告した。
今回のアンケートの目的は、本校での将来に役立てる目的でなされたものであり、内部資料としての性格を持っているので、公開されるものではないという考え方もありうる。しかしながら、現在の教育情勢を考えるて、一つ一つの学校を閉ざされた内部環境としてとらえ、非公開にするのではなく、社会と有機的につながったものととらえ、情報交換によって進歩、発展していくものと考える方が好ましいと判断した。
アンケートを実施してからすでに2年になろうとしている。この間に、教育課程では、1998年度入学生より、コース制が廃止され、1年次は共通カリキュラムで学習し、2年次から分かれる新たなコース制に移行した(それまでのコース制は、Ⅰ・Ⅱコースからなり、入学の時点で、異なる教育課程が設定されていた)。また、生徒用パソコンが1997年10月に24台、1998年4月に24台が導入され、1998年度から高等学校1年生で「国際情報」(1単位)というパソコンを使った授業が展開されている。また、1999年度から高等学校の教育内容を超えた内容の授業を受けることができる「発展科目」(中国語・生命・女性史などの科目から選択履修)が高等学校2年生で実施される。また、1999年度から、高等学校での研修旅行が沖縄になり、歴史文化・戦争平和・自然環境の3コース分けて実施される。制服や海外研修についても検討がすすんでいる。現状では、既に改革が進んでいる部分や検討する時期を逸した内容もあるが、この結果を色褪せぬ間に公開し、本校の教育への取り組みを理解していただき、ご協力をいただきたい。また、多くの学校が教育改革に取り組んでいる状況で多少なりとも役立てていただければと思う。
投稿者: 秋山繁治 日時: 17:17|パーマリンク | コメント (0)
1998年03月31日
【新聞紹介】
1997年4月11日:三宅教諭ら4人に「野崎教育賞」受賞者決まる(産経新聞)
【口頭発表】
1997年6月:全国私立中学校高等学校研修会(名古屋市)
発表題目「生徒とのかかわりをつくる性教育を求めて」
投稿者: 秋山繁治 日時: 11:56|パーマリンク | コメント (0)
1997年08月01日
社会的にはブルセラという言葉で,話題になったブルマーだが,学校内の体育の授業であっても,ブルマーを着用するのを嫌がる生徒が増加し,不満の対象になっていた。現在,多くの学校でハーフパンツ等に変更されたり,規定を取りやめたりしている。1995年6月に調査した段階では,公立高校10校,私立高校6校のうち,ブルマーを義務づけているのは,公立高校1校,私立高校2校で全体で19%が義務づけているにすぎない15)。
余談だが,「丸刈り強制は人権侵害」として問題になってきた丸刈り校則が,1995年12月22日に岡山県内全公立中学校ではなくなった。規定のあった県北の中学校2校の規定が改訂されたのだ16)。
このように教育現場を取りまく状況は日々変化している。性教育を取りまく状況も変化してきた。「性教育なんて」という侮蔑の言葉を投げかけられたこともある。教育活動として許されない時期もあった。来るべき時代はどのような時代だろうか。個人主義で社会が滅びるという人がいるかもしれない。しかし,私はこれからは,個人が大切にされる時代であって欲しいと思う。
(参考文献)
性教育協議会:性に関するアンケート 集計.平成7年度研究集録.p47-50(1995)
2) 東京都幼稚園・章・中・高等学校性教育研究会 : 1993年調査 児童・生徒の性.学校図書(1993)
3) 浅田高世:「AIDS教育」の授業実践報告.日本 生物教育会第50回全国大会千葉大会要項.p120-12 1(1995)
4) 草伏村生:血液製剤で感染した私からの訴え. 月刊高校生1月号.p10-19(1993)
5) 広河隆一:薬害エイズ(岩波ブックレットNO. 373).岩波書店(1995)
6) 菊池治:エイズを生きる子どもたち(10代の感 染者から学ぶ).かもがわ出版(1994)
7) 秋山繁治:高等学校での性教育の実践と課題 (HRと教科での指導).全国性教育連絡協議会 第23回全国教育研究大会要項.p48-49(1993)
8) 秋山繁治:高等学校の性教育の実践と課題(日 常的な教育活動の延長としての実践).第1回 中国・四国・九州ブロック性教育研究大会香 川大会要項.p26-27(1995)
9) 秋山繁治:高等学校での性教育の実践と問題 点(ホームルーム担任として).日本性教育学会 第17回全国大会要項.p39-40(1986)
10) 秋山繁治:"SAFER SEX"の翻訳によるエイズ 学習.月刊高校生3月号.p38-45(1994)
11) 山陽新聞:感染者手記を利用し教育・清心女 高 秋山教諭・エイズ予防に取り組む.(1993. 1.22)
12) 秋山繁治:エイズを学ぶ海外研修旅行.月刊 高校生6月号.p62-69(1995)
13) EARVIN "MAGIC" JOHNSON:SAFER SEX (WHAT YOU CAN DO TO AVOID AIDS).(1992)
14) STUDENTS AND HIV()
15) 秋山繁治:学校の性教育はどこに向かってい くのか.第10回岡山県性教育研究大会要項.p5 -9 (1995)
16) 山陽新聞:丸刈り校則・全公立中で廃止に・最 後の2校も中国5県では初.(1995.12.23)
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:35|パーマリンク | コメント (0)
性教育を扱うときに,生徒に興味付けを行うためには,日常的に接っしている材料を使うことが有効である。いままで利用したものとしては,ポスターがある。
ポスターはもともと相手に対して強烈なメッセージを伝えるためにつくられたものである。どんなメッセージが含まれているかを生徒に課題として提供することによって,一緒に考える場の雰囲気をつくることができる。そして,ポスターが放つ直接的なメッセージだけでなく,背景の社会を反映したメッセージとしてとらえることによって,社会のあり方を考える材料を得ることができる。
電車内でつり下げられた競艇の広告の中に,いろいろな色のレオタードをまとった女性の身体(首から腿)を並べたものがあった。身体には,無秩序な番号がうってあった。女性の身体をボートにして,どれを選びますかということらしい。意識しなければ何気なく見過ごしてしまう広告ポスターである。誰からもクレームがつくこともなかっただろう。しかし,この材料を,女性の視点で見たとき,男性の女性に対する見方を反映したものととらえることができる。
1991年度世界エイズデーのためにエイズ予防財団がつくった二枚のポスター「いってらっしゃい。エイズに気をつけて。」,「薄くても,エイズにとってはじゅうぶん厚い」がかつて問題になった。一枚はパスポートを持った男性が,海外での売春に出かけることを認容した印象をあたえるものであり,もう一枚はコンドームの中に裸の女性という構図が,女性を侮辱しているということであった。
背景に,エイズが世界的な社会問題となり,緊急に注意を喚起する状況にあったことは理解できる。そのために,いままでにない思い切った直接的なメッセージを持たせた構図をとったのだと思う。社会的にインパクトが強かったのは事実だが,確かに問題はあった。このようなポスターを授業で提示するとき,すぐに社会的な反響や意見を紹介するのではなく,生徒にどんな感想をもつか考えさせることから出発すれば,生徒の考え方にふれる機会にもなりうる。
また,1993年3月5日発行の学校保健ニュース(日本写真新聞社)の掲示新聞も教材になる。『エイズは確実に死ぬ病気”純潔”こそがエイズを防ぐ唯ーの手段』という題の新聞に「年頃の異性と二人きりで喫茶店に出入りしたり,部屋や車内で二人きりになることから,不純異性交遊は始まっています。やさしい誘いも,断固としてことわる勇気をもちましょう」,「純潔とは心もからだもけがれなく非行をしないことです」という表現がある。先に第1章の生徒規則の男女交際の校則規定の具体例をあげたが,類似した表現があったと思う。このようにエイズに関する教育を喚起するポスターやパンフレットにも,依然として生徒の性行動を「不純異性交遊」ととらえるているものがある。このような教材を提示するとき,教師自らがどの視点に立っているのかを点検し,また,生徒の性行動について「不純異性交遊」ととらえる視点を生徒がどのように考えるかを点検して欲しい。
第4章で紹介したハワイのエイズ・パンフレットは,海外研修の際に,マウイ・エイズ基金の事務所(MAUI AIDS FOUNDATION)で入手したものである。エイズ・STD・性知識等についてのパンフレット37種類とエイズ関連のポスター3種類を提供していただいた。教育に使うということを伝えれば,積極的にいろいろな材料を無償で提供してもらえる。特にパンフレットは,日本のものと内容的に大きな差を感じる。多国語のものが提供されており,年代別につくられたもの,同性愛者を対象としたもの,女性のためのものなど,色々なものがある。文化の違いを感じさせる。エイズの歴史や他国の状況を考える教材として有効であると思われる。
どこにも,興味づける材料はあるし,いろいろな取り組みが,性教育に関係している。しかしながら,性教育は,生きるライフスタイルが問われる問題であり,型にはめて,教師から生徒へ伝える一方的な価値観で扱うことは,拒絶を招くことが多い。また,生徒の自己問題解決能力の発達を妨げる行為でもある。
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:32|パーマリンク | コメント (0)
1995年6月1日:月刊高校生6月号.pp62-69.
「エイズを学ぶ研修旅行」
どんな機会でも,性教育を学ぶ機会になりえる一例として,エイズについての研修を含んだ海外研修の計画を紹介したい。最近では,国外への修学旅行や海外研修,交換留学,海外視察など色々な機会が増えたこともあるが,生徒も教師も海外へ出かけることが多くなった。個人的に,家族で海外へ行くことが多くなったこともあると思う。また,学校でも,いろいろな国からの留学生や外国人教師に接する機会も増えた。現在本校でも,外国人の英会話教師が3人いる。このような状況の中で,本校では,夏期海外研修が1982年から始まり,毎年30~40人の生徒が参加している。1994年度はハワイ州マウイとネブラスカ州オマハの姉妹校で,それぞれ15名の生徒が研修した。海外研修は,引率する教師は英語教師だけでなく,いろいろな教科の教師が引率している。
高校で生物を教える私だが,1994年にハワイのマウイ島の姉妹校,セント・アンソニー高校へ行く仕事ができた。海外研修(SAINT ANTHONY,SEISHIN EXCHENGE PRPOGRAM)に参加する生徒15人を添乗員と二人で引率するのである。生徒はそれぞれ,姉妹校の生徒の家庭に一人ずつ振り分けられて2週間のホームステイの形で生活体験をした。
研修の全体計画は,姉妹校の先生が考えたもので,その目的は生徒に海外での生活体験をさせることと,英語による授業を体験させることである。このプログラムについては,事前の指導や姉妹校との相談は引率教師に任せられいる面があるので,参加する私たちの側からも課題を一つ提案しようと考えた。生徒が,この海外研修を観光地巡りと買い物が中心の旅行と思ったり,「お客さん」として英語の授業だけ受けて,大切にされてよかったとだけ思うようなものにしたくなかった。もしそうなるとしたら,大人社会の形式的な「接待」と変わらないと思ったからだ。生徒には,事前に課題の本(『日米学校事情・男女交際ってなんだろう』池上千寿子著)と銃社会・人種差別・エイズについての資料冊子を与えた。それから,出発までに英文のエイズ・パンフレットの翻訳を課題として与えた(パンフレットは,マウイ・エイズ基金で,昨年提供していただいたものを使用した)。それから,事前に送られてきたプログラムをみて,エイズについての講義を企画してもらうえないかということを依頼しておいた。与えた材料をきっかけにして,生徒自身が課題をもって現地で生活してくれることを期待した。
ホノルル空港では,私たちが7月31日に入国した日に,日本から約10,000人が入国した。ワイキキのエイズ・ホットラインの1990年のデータによれば,ハワイ大学だけで毎年約600名の日本人が留学してくるという。日本観光客への対応はなれている。
海に囲まれたハワイ州はいくつかの島からなっていて,ほとんどの観光客は人口の一番多いオアフ島に滞在する。私たちが滞在したのはサトウキビ畑とパイナップル畑がひろがるマウイ島である。マウイ島は,大きさではハワイ州で二番目で,火山活動が活発で人が住める地域の少ないハワイ島につぐ。人口ではホノルルのあるオアフ島についで二番目の存在である。マウイにも,ホテル街はあるが,オアフ島滞在の観光客がオプショナル・ツアーでやってくることが多い。観光地であるラハイナの商店街やハエヤカラ火山では日本人に会うことが多いが,ホームステイで生活していているかぎり,日常生活で日本人に会うことは少ない。
ハワイ州だけ訪れると,日本と米国の関係はかなり相互に深いことがわかる。また,日本の情報も十分に得ることができる。しかしながら,米国全体としては,日本とどのような関係にあるのだろうか。日米の相互の情報交換の面で比較してはどうだろうか。朝日新聞が1994年3月8日に掲載した日米テレビ報道記録がある。その記事によると,日本側ニュースのうち,米国または日米関係について伝えたものは1121項目,34時間54 分36秒。逆に米国側で日本または日米関係のニュースは92項目,3時間5分。日本の米国についての報道量は,項目数にして米国の日本についての報道量の約「12倍」になる。また,国際ニュース全体の中での日米それぞれがしめる割合は,日本が米国について報道している割合は33.0%,逆に米国の日本報道は3.4%だから,日本の方が米国を「10倍」報道していることになる。日本が米国を重視している面が浮き彫りになってくる。そして逆に,米国は日本を極東の一つの国として報道していることがわかる。
ハワイ州はどうだろう。ケーブルテレビでは日本語放送もあり,日本のドラマが放送されている。日本の情報は非常に多い。日系人も日本人も多い。ハワイ州は,米国の一部だが,日本人の思いの中で「最も近い米国」として存在するかもしれない。
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投稿者: 秋山繁治 日時: 08:29|パーマリンク | コメント (0)
1994年3月1日:月刊高校生3月号.pp38-45.
「SAFER SEXの翻訳によるエイズ学習」
性教育に関係した教育活動は,関係する各教科の授業やLHRの性教育の時間だけではない。ここで報告するのは,卒業を直前にひかえた時期に,生徒と一緒にエイズに関する本の翻訳作業したというだけのものであるが,そこから自分自身が学んだことを紹介しようと思う。
1990年の文化祭で,担任した高校2年生のクラスで,今の社会問題に対する意見を,教師に負けない内容で発表しようということになった。文化祭まで少しくらい苦労しても,文化祭当日は,自由に楽しみたいということで,本の形にまとめようということになった。ジャンル別に分担し,各自がワープロで原稿を仕上げ,製本し,一冊の本にすることにまとまった。具体的には,クラスを6つに分け,グループごとにテーマを決めて,原稿を共同で書き上げることを目標にした。
6月からテーマを決め,夏休みまでに資料を集め,夏休みに原稿を書き上げた。8月末の1週間の補習授業の期間にワープロ原稿を完成し,順番に並べた状態で製本所に持っていった。一冊の製本料約100円で依頼し,最終的には122ページの本ができあがった。
内容は,「臓器移植」「これからの女性のライフスタイル」「校則とは」「エイズ」「医療事情」「老人性痴呆症」などである。いろいろな本からの引用も多く,生徒の完全なオリジナルとはいえないものの,この取り組みを機会に,医療系の進路を考える生徒も出てきたりした。
このことをきっかけに1992年度,さらに,高校3年生の授業の中で,3クラス約100名全員で,エイズについての英語のペーパーバックを翻訳することを試みた。書店の洋書のコーナーを探したりしたが,なかなか適当なものが見つからなかった。結局,夏休みにニュージーランドやアメリカにいく教師や生徒に,中学生や高校生向けのエイズに関する本やパンフレットがあったら,購入してもらうように頼んだ。そこで,ニュージーランドへ中学生を引率した教師が買ってきてくれた『SAFER SEX(WHAT YOU CAN DO TO AVOID AIDS)』13)を翻訳することになった。
英語の教師でも,医者でもない私と生徒との違いは,少しエイズや性教育の本を読んでいるというだけである。自分自身も作業のなかで,必要に応じて勉強し,知識を得て,学習していこうと思った。
実施方法は,次のとおりである。
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投稿者: 秋山繁治 日時: 08:25|パーマリンク | コメント (0)
ここまで,性教育に関わる状況を私自身の経緯を含めて説明してきた。私自身も,今勤務する学校で性教育に関わる以前は,性教育についてまったく知らなかったと言っていい状態であった。本校は女子校であり,私が勤める前から,性教育は行われていた。性教育が計画された当初は,熱心な教師により,教育課程全体の中でどのように位置づけるかが,討議され決定されたと聞いている。しかしながら,私が着任した時は,形骸化した印象を受けた。外部の人に講演を頼んだり,映画を鑑賞したりした後で,生徒の感想をまとめるというスタイルが定着していた。性教育委員会の責任者との相談で,ホームルーム担任が3年間に一度は直接,生徒の前で性教育を行う形にしようということで,最初は高2で実施した。実際のところ戸惑った教師もいたと思う。とにかく,ホームルーム単位での性教育の指導が始まった。
週に1時間あるロング・ホームルームという限られた枠の中で,性教育を実践することによって,生徒とのつながりを深め,充実した学校生活の一助としての役割を果たすことを期待した。そして,全教師が担任として実践する中で,性教育の必要性についての共通理解が生まれ,より深化した内容を扱える基盤をつくることができればと思った。
教育界全体でいえば,個人的に性教育を研究し,実践している教師は次第に増加してきている。そして,各性教育の研修会での発表例から理解できる。しかし,エイズや性教育の研究指定校などになったために実施している学校はあっても,自主的に学校独自に,学校全体として計画的・体系的に実践しているところはまだまだ少ない。
また,性教育については,計画されたLHRや各教科の授業だけでなく,色々な機会に展開することができる。部活動の中で実践される場合もある。1995年度の高校演劇の全国大会においては,エイズを題材とした作品が公開されたが,その作品の作成にあたっては,関連した知識,押さえておかなければならない人権の問題等についての検討があったであろう。準備する過程で,意識しようがしまいが,エイズについての学習があったし,エイズ患者についての人権の問題も学習したはずである。性について学習は,教育活動全般に及んでいるのである。
文化祭で,「結婚について」調べる企画をたてたらどうだろう。最初はおもしろ半分かもしれないが,生き方の問題が含まれてきた場合,その機会に教師もアドバイスとして,いくつかの学習のためのテーマを提供できるだろう。いろいろな機会に,性についての学習を深化させる機会がある。性教育を直接目的としない活動の中に,学習を深化し,統合させることができる機会がある。では,私自身がいままで取り組んできた例を報告したい。
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:22|パーマリンク | コメント (0)
私が今勤めていいる高等学校に赴任したのは,全国的に中学校の校内暴力が話題になっていた頃の1983年である。最初は高校1年生の担任であった。高等学校の教育現場でも,生徒に対する一律の生徒指導が行われ始めた時期である。このような状況の中で,LHRの時間があっても,生徒と打ち解けた関係がなかなかできず,意見交換があるような運営はできなかった。入学してくる生徒の中には,教師からの言葉に対して嫌悪感を示し,干渉・強制と受けとめて反発する態度をしめす生徒もいた。
私自身が過ごした高校生活は,学園紛争も沈静化した時期で,学校生活は自由であった。「修学旅行は,3コース設定され,友達とグループをつくり希望の場所へいく」とか「制帽は廃止する」など,今考えても,生徒にかなりの自治を任されていた。また,逆にいえば,個人主義であり,三無主義(無気力・無関心・無感動)といわれた頃である。私自身が生徒指導で厳しく指導された経験をもっていない。
私が最初に感じたのは,教師側が生徒に対して要求したり,強制したりすることがあまりにも多すぎるのではないかということである。同和教育や性教育のLHRで,映画を鑑賞しても,本を読んでも,最後にまとめや感想を"書かせる"という形になる。制服の着方,式典での礼の仕方,朝のあいさつなど」,どうしても"やらされる"という負担感を生じさせる場面が多すぎるのではないかと感じられるのである。自分の意見を伝えたいが, "聞かせる"とか,"静かにさせる"とかが,さらに溝を広げるのではないかと思われた。そこで,毎日学級通信(実際には私信)を毎日配布するすることで,生徒との交流ができたらと思った。学級通信は読む気がなければ読まなくてもすむものとして与えた。最初は,ごみ箱に捨てられることがあったが,"読ませる "ことはしたくなかった。読まれなくてもできるだけ毎日出すということで自分の気持ちを伝えようと思った。とにかく1日B4版1枚の通信をできるだけ多く出した。1984年度は1年間で200号だした。この通信は1983年から1987年まで続いた。
この通信で感じたことは,教育は,教師から生徒へ一方的に指導され,評価するものととらえられているが,大人である教師も生徒とともに学ぶことも大切だということである。評価し,指導する対象としての関係でなく,新しい世代の,物事や出来事に対するとらえ方の中に,自分自身が成長する材料も転がっているということである。他の教師に教えていただいたことよりも,生徒との関係の中で必要に迫られ学んだことは多い。学級通信を出していた頃,本校にアメリカから留学で来ていた高校生が「日本の教師は生徒に尊敬と服従を要求する」と言った。個人的な意見ではあるが,そのように感じさせるところが,日本の教育にあったのだと思う。
学級通信は,生き方に関したテーマが多かった。「生き方を選択する自由」「善と悪について」「浮浪者襲撃」「現代の性」などを扱った。テーマは本や新聞記事から探して,問題を取り上げた。その中から「高校生が結婚を理由に退学処分になった事件」,「教師との結婚」,「高校生は結婚できるか」などのテーマを取り上げ,LHRで題材にした。
そんな時,同僚の教師から自分が今までやってきた取り組みを性教育の実践としてまとめて報告してみないかと誘われた。性教育とは何なのかあまりよく把握していないままに,具体的に実践したことと,実践を通して学校教育に対して感じた問題点を発表することになった。1986 年の第17回日本性教育学会の全国大会でのことである9)。
この大会で,他の経験豊かな教師の発表や性教育の研究者の講演を聞き,性教育について初めて具体的に知る機会を得た。それまで性教育については,学校内の性教育委員会の係りのイメージしかなかった。当時,男性は積極的に係りになる教師はいないような状況であった。大会に参加して,性教育というのは人間の生き方に関係した教育なのだということが,おぼろげながらわかった気がした。自分なりに,後で雑誌や単行本,教師用の解説書で学んでいくうちに,性教育を生殖だけにかかわる教育としてとらえるのではなく,全人格,一生涯かかわっていく教育ととらえなければならないということがわかってきた。ちょうど,その頃は,生徒の性行動に対しても,今までは犯罪と同じように,"させない"ように取り締まる行為,つまり,「規制したり,補導したりする行為」としてとらえていたが,そのようにとらえるのではなく,性を大人に成長していく過程で重要な役割を担うものととらえる視点から「指導と助言が必要な行為」と考えなければならないという主張がされ始めた時期であった。
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:20|パーマリンク | コメント (0)
本校においても,性教育が人間教育の中で必要であるとされ,17年前の1978年から試行錯誤を繰り返しながら行われている。現在は,性教育委員会という組織を中心として,設定されたカリキュラムにそって進められている。この委員会の構成は,顧問教師2名と中学校・高等学校各学年から代表1名からなっている。この委員会で,その年度の性教育のカリキュラムが確認され,各学年の代表を通して基本的な方針が各学年に伝えられる。それに基づいて,各学年の担任団が実際に行う内容を検討し,各HR担任がLHRの時間を使って実施している。
当初は,特設授業として校外から講師(医師・警察官など)を招いての講演や映画鑑賞が中心であったが,1985年頃から,HR教室で各担任が計画してすすめる形になっている。1992年からは,全生徒に基本となる教科書(『ヒューマンセクソロジー』一橋出版)を持たせて実施している。指導書及び副教材としてビデオも利用しているが,NHK放映の番組や書籍等を副教材として使用するなど,工夫をこらして実践している教師もいる。
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:17|パーマリンク | コメント (0)
(第2節 性教育への取り組み)
高等学校での性教育の取り組み方は,大きく分けて二つある。一つは,性教育委員会や学年団が企画してすすめていくものである。もう一つは,教科の担当者が授業計画の中ですすめていくものである。
前者は,性教育委員会で決められた内容にそってLHRの時間や,特別に設定された時間に実施されるものである。最も一般的に実施されているスタイルは,学年集団という単位で講演を聞いたり,映画を鑑賞したりした後に,その感想をもとにクラス担任が指導するものがある。利点は,今まで性教育にかかわったことのない教師でも,他の教師と共通した内容を扱うということで負担感をあまり感じることなくすすめることができ,また,他の教師とも相談しやすく,経験の浅い教師にとっては教師自身の学習の機会になるという面もある。しかしながら,逆にいえば,指導内容は画一的になりやすく,また他の教師に依存する気持ちをもたせやすいことから,計画する担当以外の教師にとっては,その場しのぎの一過性の取り組みになりやすく,それゆえ,「とにかく実施した」というだけの形骸化したものになりやすい7)8)。
教科の授業を主体とした取り組みについては,系統的な指導ができるのは,家庭科・保健体育科・生物・社会科・倫理など教科が想定される。現在では,性教育の副読本も数社から出版され,指導書や補助教材(ビデオ等)が準備されている。保健体育の「卵子」と生物の「卵」のように,同じ対象に対して用語が異なる場合があったり,重複した内容があったりするので,関係教科での情報交換があれば,より深まった無駄のない授業展開ができる。また,自分の担当教科以外の情報から新たな視点が与えられることがあるので,教師にとってもよい学習の機会になる。
特に家庭科については,従前の1978年に告示された高等学校学習指導要領においては,従来通り女子のみ4単位必修であったが,1989年に公示された高等学校学習指導要領においては,男女とも4単位履修にかわった。このことは,家庭科という授業で,社会生活及び家庭生活を築いていく基礎を"男女共習"できる機会が与えられたとうことを意味している。その背景にはライフスタイルの変化や女子差別撤廃条約との関連がある。
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:13|パーマリンク | コメント (0)
高等学校にも,中学校にも性教育という性教育という教科が存在するわけではない。また,高等学校学習指導要領では,道徳については「学校における道徳教育は,...学校の教育活動全体を通じて行う..」とあるが,性教育という言葉はない。しかしながら,全国私学教育研修会には,各教科の研修会と同じように性教育研修会があり,各教科の授業での取り組みや文化祭での取り組みなどの実践報告がある。また,岡山県でも,性教育の研究大会に多くの教師が参加している。それは,道徳教育の目的としての人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念..」,特別活動の「人間の在り方生き方..」などを反映した教育活動として,教科としては存在していないが,社会生活をしていくために欠かすことができない内容があるということで,性教育が教育現場の中に存在しているのだと思う。性教育は,各教科と同じように特設授業として,私立高校などでは「女性学」「人間学」などとして実施されているところもあるが,一般的には,各教科に分散されたり,学校行事のなかで行われている。内容的には,性を単に生殖器の関係した問題ととらえるのではなく,セクシュアリティーと考えられつつある今,性教育の重要性が強調され,扱う内容がどんどん広くなってきているのが
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:11|パーマリンク | コメント (0)
1985年3月に,日本最初のエイズ患者が厚生省によって認定された。同性愛者であった。実際には,1984年9月の段階で,帝京大学の血友病患者48名のうち23名がHIV陽性と判明していたが公表されなかった。日本以外の国でのHIVへの感染原因は,初期においては,同性愛者間の性的接触であり,今では異性間の性的接触による感染,薬物注射による感染が増大している状況にある。日本においても,異性間の性的接触による感染者が増えている。しかしながら,日本でのHIVへの感染原因としてもっとも多かったのは,血友病患者に治療のために投与された薬,つまり,アメリカから輸入された非加熱血液製剤によるものであった4)5)。日本独自の問題がそこにある。非加熱の血液製剤による犠牲者をうんだ原因が明らかに国及び製薬会社にあることが判明している。人為的に発生した薬害事件に中で,血友病患者,エイズ患者,HIV感染者に対する差別があった。血友病患者の実に約40%(約1800人)の感染が確認されている。その中には学齢期の子どもたちも含まれており,1989年の年齢で15才以下の子どもが144人も含まれている。諸外国では同性愛者に限られた病気として始まったのに対して,日本では血友病患者に限られた病気として始まったのである。
この薬害エイズ被害者が,国及び製薬会社五社を被告として,東京と大阪で損害賠償請求訴訟を提起したのが,HIV訴訟である。原告として高校生も製薬会社と国に対する責任を求めて法廷に立った6)。原告の病状の悪化は著しく,すでに多くの方々が亡くなられており,できるだけ早急に解決しなければならない重大な問題である。1995年10月に,東京地裁,大阪地裁から和解勧告が出され解決に向けて動きつつある。
エイズの問題を取り上げるとき,単に感染予防の知識だけ学習することを目指すのではなく,薬害事件として再びこのような悲劇が起こらないように社会的な側面からとりあげ学習することも重要である。
また、薬害エイズに関すて和解の道が開けつつあるが、薬害の被害者と性行為による感染者とを、「同情すべき感染者・患者」と「自業自得である感染者・患者」ととらえ差別する考え方がある。その捉え方は新たな差別をうむ可能性がある。どちらも死に直面した感染者・患者としてとらえ、その人権を守る配慮や人間の性に関わる問題を再考する場を教育現場として提供しなければならない。
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:07|パーマリンク | コメント (0)
最近おこった性教育に関わる出来事としては,エイズがある。エイズ感染予防対策の一環として,1992年10月に「AIDS正しい理解のために」という小冊子が,全国の高校生ひとりひとりに配布された。そして,エイズ教育が話題になり,教師向けの指導資料が配布されたり,研修会が設定されたりして,色々な機会にエイズ予防についての啓蒙活動が展開されるようになった。教師の中にも,熱心にエイズ教育に取り組む人たちが現れ始めた。例えば,1995年8月に千葉県で開催された日本生物教育会(JABE)第50回全国大会でも,大阪の高等学校教師グループが,生物授業で特別にエイズ教育のための時間を配当している実践例が報告された。発表ではエイズを感染予防の面からだけとらえるのではなく,生物学的(科学的)に理解するとともに患者や感染者の人権保護の面からも考えなければならない点が指摘された。
性に関する問題については,生徒指導的・道徳的に扱われることが多く,性に関する教育(性教育)の位置づけができないまま,多くの教師から敬遠されてきた。しかし,最近のエイズの感染原因の多くが,性的接触であるということで,性についての基礎的な知識を扱う性教育そのものが見直され始め,性教育をめぐる状況が変化してきた。エイズという外的な要因によって,人間の性に関する教育をあらためて考える機会が提供されたのだ。
最近になって,研修会などでエイズ教育の実践例が報告されるようになったが,内容的には,文化祭でのエイズを題材とした取り組みや授業計画など,エイズに限定した内容が多く,また発表者も限定されているのが現状である。エイズをきっかけにして,性教育の価値の重要さに気づき,「エイズ教育をするためにも,また人間性豊かな社会をつくっていくためにも,本当に性教育が必要なのだ」という認識が欲しい。
また,エイズに関する教育に使用する資料に「正しく理解することによって,エイズに対する誤解や偏見を取り除くことができます」という記述を見かける。科学的な正しい理解をすれば,差別はなくなるという意味かもしれないが,そうではないと思う。「他人の身になって考える」という隣人愛が学校も含めた社会全体に欠けているという点が大きな問題だと思う。それは今までの教育の中で一番見落されていたことであり,資本主義の論理と個人主義が作った社会の問題である。エイズについては感染予防的な知識を学ぶだけでなく,背景としての社会,性文化についても見直し,考えていかなければならない。
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:05|パーマリンク | コメント (0)
性に関する指導には,授業などで生徒に考える材料である知識を提供するというタイプ,つまり「知識をあたえる形」と,もう一つは生徒の行動を一般的生徒として好ましい方向へ導く,あるいは行動を取り締まるというタイプ,つまり「行動を制限する形」がある。前者は一般に授業で行われ,後者は,生徒指導という教育活動として行われる。
性に関する行動は,それだけで単独に規制されるものではない。逆に言えば,学校教育の歴史的な流れを反映し,生徒指導の一部として性に関する行動が規制されている。今の学校で生徒指導はどのように行われ,また,どのような方向に向かっているのだろうか。生徒指導が時代とともにどのように変遷したか,その背景も含めて調べることによって,答えが鮮明に浮かび上がってくると思われる。また,性に関する指導の方向も自ずと見えてくると思われる。
私が教師になった1980年頃は,校内暴力が大きな問題となり,「教育の荒廃」が主張され,教育改革についての論議が盛んになり始めた時期である。そして,対応策として「全教師が一体となった指導体制の確立」,「地域との連帯」が求められた。服装や髪型の適・不適など主観的な判断が入りやすいものについては,具体的に色や寸法が校則のなかに明文化され,生徒に強制力をもった一律の指導がなされた。全校生徒を運動場に並べて一斉の頭髪の検査をした学校もあると聞いた。本校も例外ではなく,私が赴任した1983年から1993年まで,頭髪の長さ,スカートの丈,爪の手入れについて,月に一回,終礼時にクラス担任の立ち会いのもとに,生活委員2名と生徒指導係の教師1名でクラス全員を並べて一人ずつ検査項目をチェックする指導が行われていた。これは,一地方の現象ではなく,全国的に行われた指導形態である。15年前に私は愛知県に住んでいたが,近くの中学校で,朝,校門の前で生徒を一列に並べて持ち物検査をしていた中学校もあった。何か収容所のような雰囲気が感じられたのを思い出す。
そして,年月がたち,校内暴力が沈静化に向かい出したとき,今度は,細かい規則による一律で硬直した指導(「管理教育」と呼ばれる指導)に対する批判が表面化してきた。1985年には日弁連が中学・高等学校の校則を調べ,「校則と管理主義が結びつき,違反した生徒への体罰や,登校拒否,いじめをまねいている」という報告を提出した。また,1986年に臨教審が,「学校が過度に形式主義的・瑣末主義的な校則に頼る風潮が根強い」と報告した。
校則に対する批判は,教育現場を知らない人の意見であるという,教師のとらえ方は根強いが,昨今では各学校ごとに校則の内容の点検及び簡素化を中心とした改善が行われつつある。
また,生徒指導にかかわる問題として「子どもの権利条約」がある。この条約は1994年3月29日国会で承認,参議院外務委員会の議決を受けて,国連に批准書が提出され,1994年5月22日に正式に発行した。この条約は,国際条約であり,法的拘束力をもち,国内法と矛盾があれば,国内法を改正を求めることできる。この条約の「子ども」とは,「18歳未満のすべての者」であり,当然,高校生も含まれる。
現在,「保護者の教育情報開示に関する直接請求権」や,「生徒の意見表面権」などについて,この条約によって新たに権利が発生したととらえる側と,これらの権利は既存の法規ですでに擁護されているとする側にわかれて論議されている。1985年に「女子差別撤廃条約」が批准された。「子どもの権利条約」の批准は,このような人権に関する世界的な流れの中の出来事として,理解しなければならない。性教育をセクシュアリティーの視点からの教育ととらえる考え方も,その世界的な流れの中にあることを理解しなければならない。
投稿者: 秋山繁治 日時: 08:01|パーマリンク | コメント (0)
実際の高校生の性行動はどのようになっているのだろうか。1993年の東京都幼・小・中・高性教育研究会が調べた報告書がある2)。高校生についてのアンケート調査をみると,「特定の異性との交際」という項目で,1984年,1987年, 1990年,1993年の4回の調査結果が,中学校1年生から高校3年生まで学年ごとにグラフで示してある。
この結果を世代的な変化という視点でみると,高校3年男子で特定の異性と交際している割合は,1984年度35.5%, 1987年度29.7%,1990年度23.1%,1993年度17.3%と減少している。同じく高校3年女子をみると,この十年間であまり変化なく, 1984年度32.0%,1987年度32.2%,1990年度31.2%,1993年度30.8%となっている。1993年のデータで各学年毎で男女の比較をすると,女子の数値が男子の数値の倍前後を示している。この報告の考察では「このような現象は男女の平等意識の高まりから女子が活発になり,男女交際に対しても積極的になってきたためと考えられる」と記述されている。
また,「性交経験」は,高校3年男子で,1984年22.0%,1993年27.1%。高校3年女子で,1984年 12.2%,1993年22.3%となっている。性交経験率は男女とも増加しているが,その原因は性について開放的になってきた社会の影響であると考えられる。テレビなどのメディアは年齢差を区別することなく,子どもにも大人にも同じ情報を提供し,また,都市であろうと,地方であろうと同時的に供給するので,性に開放的になっている状況は,都市だけに限られたことではない。
また,当然のことだが,男女ともに,性交を含むキスなどの性的な行為を体験する割合は,学年がすすむにつれて増加している。このような状況の中では,従来のように,性を「寝た子を起こすな」式に隠すように扱ったり,梅毒などの症例で「怖がらせて禁止する」ような否定的・抑圧的な指導はなされるべきではない。今の時代は,「性とどのように関わっていくのか」,また「どのような性行動を選択するのか」を,生徒自身が自分で考え決定することができるよう,適切な材料を与えていくことが必要になってきている。
投稿者: 秋山繁治 日時: 07:59|パーマリンク | コメント (0)
学校現場の日常で生徒の性に関わる行動に,大きな影響を与える教育活動としては,どのようなものがあるのだろうか。各教科の授業,生徒指導,担任による面接など色々なことが考えられるが,たとえば,生徒手帳には,直接的に性に関わる行動を規制する記述が見られる。今回,「男女交際」についての記述の有無を生徒手帳で調べた。1993年の岡山県内の高等学校27校(公立高校15校・私立高校 12校)を調査した結果,21校の生徒手帳の中に「男女交際」について何らかの記載があった。具体的な規定は次のようなものである。
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・不純な交友をすること(生徒心得・禁止事 項)
・交友関係は注意して選定を誤らないように し,特に男女間においては世人の誤解を招 かないようにする(生徒心得・校外)
・男女間の風紀を乱した者(生徒処罰指導規 定・本則)
・不純異性交遊(生徒心得・禁止事項)
・男女の交際は清潔であること(生徒心得)
・男女間の交際は,特に慎重な注意が必要で ある。明朗・清潔・淡々たる態度で行動し, 世間の話題にのぼったり,誤解を招くよう な こ とがあってはならない。そのためには 次の諸項を守る必要がある。
(1) 1対1の交際は望ましくない。(まし て男女2人で遠足や旅行をしたりするこ とは厳禁する。)
(2) 男女グループによる宿泊旅行は禁止す る。1日行程の遠足も教師か父母の同行 を要する。(生徒実践心得・交際)
・異性との交際については社会の誤解を招く ことがないようにし,仮にも不良交遊,不 純交遊のそしりを受けることがないように 注意しなければならない。(生徒心得・交 際)
・男女の交際は勉学中であることの自覚に立 ち,学校と家庭の適切な指導と理解を求めよう。したがってその交際は勉強と,お互 いの人格向上を中心とし,高校生らしくな い通信,品物の贈答,2人だけで興行物,キャンプ等に行ったり日没後の2人歩き等 はしないようにしよう。(健学の精神)
・不健全異性行為(本校生徒としての心得・ 寮生活について)
・男女の交際は友愛にもとづき,純真明朗で 節度を失しないようにしよう。(日常の生 活目標)
・お互いの人格を尊重し節度をわきまえた礼 儀正しい交際をしよう。
(1) 保護者の了解を受けた明朗な交際であ ることとする。
(2) 2人だけで旅行,興行物,ハイキング 等に行ったり,日没後の2人歩き等の行 動はつつしむ。(生徒心得・男女交際)
・不純異性交遊(生徒心得・禁止事項)
・男女間の交際は,健全で明るく,互いに人 格を高めあうものにしよう。(生徒心得・ 団体生活)
・交際を明朗にする。
(1) 男女両性の人間関係は民主社会におい てもっとも重要な問題である。
(2) 交際は特定の異性に限ることなく,ク ラスメートとして明朗に異性をみる能力 を養う。(生徒心得)
・男女交際はお互いに敬意をもち,高校生と しての良識にもとづいた正しい交際をする。 (生徒心得)
・男女間の交際は,公明正大で清潔な交際で なくてはならず,友情の域を脱しないこと。 (生徒心得・一般的留意事項)
・高校時代の男女交際は広く異性を理解し, 男女それぞれの立場と役割を自覚し,相互 の人間的成長を進めていくという意味で行 われるべきで,節度を保つこと。(生徒心 得・交友)
・不純異性交遊(生活基準・厳禁事項)
・男女の交際は,礼儀を守り節度を保つよう 自ら慎むこと。(生徒心得)
・公明でない男女の交際(生徒心得・禁止事 項)
・異性に対する交際はあくまで節度を守る。 (生徒心得・礼儀)
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投稿者: 秋山繁治 日時: 07:51|パーマリンク | コメント (0)
1996年6月25日:清心中学校清心女子高等学校紀要.No.12.p1-31
「性教育の日常的実践と今後の課題」
1993年に,岡山県性教育協議会で,教師に対して性教育についてのアンケートが行われた1)。調査されたのは,岡山県内の高等学校19校(476名)である。「高等教育において性についての指導が必要ですか」という質問に対して,「必要である」と答えた人が97%である。
その理由について年齢別にみると,20・30代では39%が「自分を大切にして欲しい」が最も多く,次に「性道徳の低下」が23%であった。それに対して,40,50代では,「性道徳の低下」,「自分を大切にして欲しい」がそれぞれ31%,33%で,二つの理由がほぼ同じ割合をしめている。また,男女別にみると,男性では「性道徳の低下」が32%をしめるのに対して,女性では,「自分を大切にして欲しい」が50%をしめ,「性道徳の低下」は15%にしかならないのが特徴的である。
この結果を全体的にとらえると,女性や若い世代の教師が「自分を大切にして欲しい」という,生徒への直接的な要望をあげているのに対して,男性や年齢が高い世代では,「性道徳の低下」という社会への影響を理由としてあげていることがわかる。この背景には,教育活動についての考え方に大きな違いがあることを示している。それは,教育活動を個人の幸福に最終的に帰結させるものと考えるか,または教育活動を社会に対する役割を果たすものと考えるかの違いを表している。前者からみれば,後者は個人を大切する視点を欠いているというようにとらえられるし,逆に後者から前者をみれば,個人主義だととらえられることになると思う。
このことは,ほとんどの教師が「性についての指導が高等学校において必要である」と考えているが,世代・性別でとらえ方が違い,考え方の違う教師間の共通理解がなかなか得られにくい状況にあるといえる。
投稿者: 秋山繁治 日時: 07:46|パーマリンク | コメント (1)
1997年07月23日
【教育助成及び教育賞】
平成9(1996)年度・岡山県教育弘済会・野崎(教育長)教育賞
教育業績「環境教育と性教育の実践」
【雑誌・論文発表】
1994年3月1日:月刊高校生3月号.pp38-45.
「SAFER SEXの翻訳によるエイズ学習」
1995年6月1日:月刊高校生6月号.pp62-69.
「エイズを学ぶ研修旅行」
1996年6月25日:清心中学校清心女子高等学校紀要.No.12.p1-31
「性教育の日常的実践と今後の課題」
【新聞紹介】
1993年1月22日:感染者手記を利用し教育清心女高秋山教諭エイズ予防に取り組む(山陽新聞)
1996年9月3日:生徒の人格尊重基調に・画一的知識は危険(山陽新聞)
【口頭発表】
1986年8月26日:日本性教育学会
第17回全国大会要項(岡山市).p39-40.
発表題目「高等学校での性教育の実践と問題点・ホームルーム担任として」
1993年8月4日:第23回全国性教育研究団体連絡協議会
第23回全国性教育研究大会要項(岡山市).p48-49.
発表題目「高等学校での性教育の実践とその課題・HRと教科での指導」
1995年8月19日:香川県性教育協議会
第1回中国・四国・九州ブロック性教育研究会香川大会要項(善通寺市)
発表題目「高等学校の性教育の実践と課題・日常的な教育活動の延長としての実践」
1995年8月:岡山県性教育協議会
第10回岡山県性教育研究大会要項(総社市)
発表題目「学校の性教育はどこに向かっていくのか。」
1996年2月:日本性教育協会
実践のための性教育セミナー(中国四国ブロック)(岡山市)
発表題目「わが校の性教育当面する課題と実践」
投稿者: 秋山繁治 日時: 11:44|パーマリンク | コメント (0)
1997年07月22日
【教育助成及び教育賞】
平成5(1992)年度・財団法人福武教育振興財団研究助成
研究題目「カスミサンショウウオの教材化」
平成8(1995)年度・文部省科学研究助成奨励研究B
研究課題「有尾類の教材化」
平成9(1996)年度・山陽放送学術財団教育助成
研究課題「アカハライモリの教材化について」
平成9(1996)年度・岡山県教育弘済会・野崎(教育長)教育賞
教育業績「環境教育と性教育の実践」
【雑誌及び論文発表】
1992年12月1日 両生爬虫類研究会誌.日本両生爬虫類研究会.No.41.Pp1-5.
「孵化後実験室内で飼育し産卵したカスミサンショウウオ」
1993年 岡山県自然保護センターだより.
「早春に産卵する両生類の仲間カスミサンショウウオ」
1994年10月1日:平成5年度年報(財団法人福武教育振興財団).p15-19.
「カスミサンショウウオの教材化」
1994年11月20日 LETTER FROM NATURE.おかやまの自然を愛する会.Vol.1(1):p7.
「岡山県倉敷市の水路にボタウキクサの群生を確認」
1995年両生爬虫類学雑誌(両生爬虫類学会).第16巻.第2号.p62
「孵化後実験室内で飼育し産卵したカスミサンショウウオ」
1995年12月1日 岡山県自然保護センターだより.Vol.4(12).p2-3.
「岡山県にすむ有尾類・幼生を中心に」
1995年 LETER FROM NATURE.おかやまの自然を愛する会.Vol.1(2):p26-28.
「ボタウキクサの旺盛な株分かれと花について」PDFファイル
1995年 LETTER FROM NATURE.おかやまの自然を愛する会.Vol.1(2):p25.
「牛窓長浜と岡山市中川町にスタミリンゴガイを確認」
【口頭発表】
1995年3月:兵庫陸水研究会・第14回例会(姫路市)
「岡山県のカスミサンショウウオについて」
1995年8月2日:日本生物教育会第50回全国大会(千葉大会).p32-33.
「カスミサンショウウオの教材化について」
1995年11月:日本爬虫両生類学会
「飼育下でのカスミサンショウウオの繁殖」
1995年12月1日:岡山県自然保護センター:自然保護センターだより.Vol.4(12).p2-3.
1996年3月:兵庫陸水研究会・第15回例会
「アカハライモリの発生実験について」
1996年8月6日:日本生物教育会第51回全国大会(佐賀大会).p46-47.
「アカハライモリの教材化について」
1996年2月:岡山県高等学校理科指導法研修講座
「有尾類の教材化について」
【新聞紹介】
1992年5月25日:カスミサンショウウオ・自然保護の生きた教材に・人工繁殖にも成功(山陽新聞)
投稿者: 秋山繁治 日時: 11:33|パーマリンク | コメント (0)
1993年04月01日
1993年4月1日発行 『岡山県自然保護センターだより』に寄稿した「早春に産卵する両生類の仲間カスミサンショウウオ」から抜粋
サンショウウオといえば、オオサンショウウオが有名で、体も大きく、国の天然記念物しかも個体指定の特別指定天然記念物で、県北の渓流にすんでいます。これに比べて、ここにすんでいるカスミサンシヨウウオはイモリぐらいの大ささで、体長は7~11cm内外と小さく、山林の落葉の下などにすみ、色も地味であまり目立ちません。
しかし、れっきとした両生類有尾目の一員で、同じ小型のハコネサンシヨウウ才、プチサンショウウオ、ヒダサンショウウオとともに県下の自然が残る山林に接した水田や湿地に生活しています。ハコネサンショウウオ、プチサンショウウオ、ヒダサンショウウオの3種は県北の森林に生息していますが、カスミサンショウウ牙は県北部にはあまり数は多くはなく、吉備高原を中心に県中部から南部にかけて比較的多くみられます、
このカスミサンシヨウウオは、有尾類と呼ばれるように成体は尾をもち、水中ですごす幼生と変態して肺を生じた成体とは外形的によく似ています。いわば変態は外形的には不完全ともいえます。体の色は、黄褐色から暗褐色、背中に黒い斑点、体側に白い斑点がかすみ状にたくさんあるのが特徴です。普段は山地に行動範囲を持ち、昆虫、クモ、ミミズなどを捕らえて食べています。夜行性で、昼間は石や倒木、落葉の下へ潜んでいて、このため足元にいてもなかなかお目にかかれません。しかし、繁殖期の1月から3月には、その山林近くの湧水が流れ込む溜りや水田の脇溝に卵を産みに現れます。この時期に見られるのは多くが雄で、後からくる雌をじっと水中で待っています。産卵は水中で、カエルと同じ体外受精です。卵の入った1~3回巻いた長い紡錘形の一対の卵嚢を産みます。卵は、約3週間で船化し、外鰓をもった幼生は水中の小動物を食べて育ち、約3ケ月で変態して成体になり、陸上生活にはいります。
自然の残された場所で、多くの人に気つかれず、臆病に、やみくもに出歩くこともなく、鳴き声もたてず、ひっそりと生活をしているのです。一年中水溜りが乾燥しない湿地をもっとも好んですみます。このセンターでは、幼生が見つかりました
が、多くの地域で水田側溝がコンワリート化され、かつて分布していたところにだんだん姿を見せなくなっています。
わたしが勤めている学校の山沿の水路では、1989年1月にコンクリートの側溝で成体を確認したのを最後に、それ以来姿を見ることはなくなりました。岡山市でも毎年産卵が見られた場所が、側溝工事後の一昨年の卵を最後に、産卵が見られなくなりました。環境整備と自然保護はどちらも大切です。しかし両立は難しいものです。環境整備で生息地がゆがめられても、けなげに生きているカ
スミサンショウウオなどの小動物に対して、彼らが安心して産卵できる本来の自然を少しでも多く残すと共に彼らを優しく見守ってやりたいものです。